
年度末となる3月。今年は高校2年生でトルネードを卒業していく人が特に多い年です。長い年月、学年もまたいで一緒にたくさんの制作をしてきたメンバーなので、みんな仲良く、お互いよく知っている間柄です。

そこで3月のラボは「集合写真」をテーマに、記念に残る絵画の制作をしていくことに!実は先月から、各クラスでこの制作のための集合写真を撮影していたのです。「謎だったけど、これだったのね」「えー!なんかエモい」壁いっぱいの大型絵画制作に挑戦です。さらに受験生や春から戻るメンバーなどもここに加わり、共同で制作していきます。

とにかく今回は、作品サイズが大きい!ほぼ等身大の集合写真です。さっそく制作の下準備として、写真を分割して出力したシートの裏に、木炭をびっしりと塗りこんでいきました。全員の姿を、画面にトレースしていくためです。これはトルネードでたびたび使う、即席のカーボン転写技法。

裏面に木炭の粉をつけたら、ひっくり返して、集合写真をならべてぴったり貼り合わせていきます。枚数が多いので...これはちょっとしたパズル感覚!写真の続きを探しながら、みんなで少しずつつなぎ合わせ、1枚の大きな写真にしていきます。

それらの作業と並行して、高校生を中心に下地づくりをする数名のグループも。ベースの背景色を作り、支持体となるボードの地塗りを担当していきました。さすが制作経験が豊富なだけあり、「オッケー、4色くらいね」「じゃあこの色担当で」「量はこのくらいでいいか」仕事の分担も、手の動きも早い!

久しぶりの大掛かりな共同作業ですが、この規模の作業も余裕でこなしていきます。「よーし、やるぞー!」なんて、なんだかすごく楽しそう。周りを汚さないように養生シートでカバーしたり、自分たちの作業用の身支度なども、テキパキと動き、とにかく手慣れている。「まずこの色から塗って、次はこうして…」段取りを自分たちで相談して進めていました。

一方、写真の貼り合わせの作業も、みんなで協力してどんどん進んでいました。ペイントされた画面を乾かしたら、トレース作業に入れそうです。ボードが複数枚に分かれていたので、それぞれの板をグループに分かれたメンバーで担当する形に。ちなみに1枚のボードだけでも、大きさが91×182cmあります。

画面の中にいる自分の姿も、他のメンバーの姿も、どんどんトレース。たまに「ちゃんと写ってるかな?」と確認して、なぞる力を加減していました。これからペインティングしていく上での下絵となりますから、ここはみんなけっこうていねいに作業していました。

トレースが終わって写真を剥がしてみると、作品の全体感がうっすらと見えてきました。「もうこれで良くない?」「なんかかっこいい」と早くも満足げ。いやいや、ここからですよ!と、それぞれのボードを壁にビスで留めて、つなぎ合わせていきました。こんな場面では特に、男子の存在が頼もしい。電動ドライバーもお手のもの。

ここまでの制作を、一度みんなで確認。よーく見ると、クラスのみんなの存在がうっすら描かれています。どんな絵になっていくのか、すごくワクワクする!まずはこの段階の作品の雰囲気を、それぞれ覚えておこう。それにしてもみんなすごく段取りがよくて、ここまで一気に進んだことに驚きです。せっかくだから、もう少し次に進めてみよう。

今回の制作のキーワードは“Big Picture”、「全体像」という意味です。誰か一人を描きこむのではなく、全体像を俯瞰して見ながら、個々の姿を表していきたい。まずは人物の部分を浮き上がらせるため、共通の色を使ったモノトーン表現で明暗をつけていくことに。まずはマネキンみたいなのっぺらぼうでOK!

絵画の制作では、「描く時間」と同じくらい、実は「見る時間」も大切なもの。全員が画面の前に立って一気に描けないこともあり、2交代制の制作にしました。まずは学年が上の人たちから「描く担当」に。みんなが見てる前で「緊張するじゃん!」なんて笑い声も。「見る担当」の人たちは、どう描いているのかを参考にしつつ、自分たちが使う絵の具や道具の準備もしていました。

この制作では、誰かひとりを描き込むのではなく、作品全体に手を入れていくことが大切です。自分の姿も、他の人の姿も、遠目で距離をとって客観的に捉えながら、協力して作品を仕上げていきます。「もうすでに良い感じ」「グッとくる」とじんわり見入る様子も。最終回まで、めいいっぱい制作を楽しみましょう!

地づくりからトーレス、そしてベースの描画まで、一気に進めることができた前回の制作。なんだかセピア調で、レトロな雰囲気が感じられる状態から、この回の制作がスタートしました。

もし誰かひとりの姿を集中して描き込んでいくと、おそらくこの「集合写真」の感じは一気に崩れていくでしょう。その場にいた全員を、できるだけ同じくらいの加減で描き進めていきたいところ。今回は「これはあの人かな」と雰囲気がわかる程度まで描き進めていきたいですね。

各クラスとも2〜3のグループに分かれて、交代制で描いていきます。土曜クラスのスタートは、高2のグループから描画を開始。前回と同じく、セピア色のモノトーンで、描画を補填していく形で描き始めていました。

中学生の割合が高めの日曜日のクラスは、学年混合の2グループに分かれていました。いつものことですが、とにかくにぎやか!全員仲が良いので、学年が違っても大きな混乱はありません。むしろみんな良い刺激になる様子。

短時間の方がぎゅっと集中できそうだったため、制作は5分間の交代制。リズムカルに、描く→全体を見る→次の制作の準備をするという流れを繰り返しました。数ターン目を終える頃には、ざっくりと描かれたみんなの全身の姿が、遠目でもはっきりとわかるようになっていました。下地ベースが完成!

ここから、実際に見えている色も使っていくことに。それぞれの服の色、髪の色などの固有色を使うと、一気に雰囲気が変わりそうですね!各自のパレットに絵の具を出して、ワクワクしながら次のターンがスタート。

やはり制作経験が一番長い高校2年生のみんなの制作は、特に中学生たちにはとても参考になる様子。みんなに見られながらの制作は「緊張するって!」「わ〜どうしようかな」と言いつつも、ぐいぐいと積極的でカッコいい!それぞれ「ここからやってみよう」と思う部分から手を入れてもらいました。どんな色で、どう描いているのか。一部始終、注目の的です。

一枚の絵を完成させる過程は、もちろんみんなそれぞれの方法があり、どの方法も間違いではありません。ひとつの色をベースに肌を次々に塗っていく人。共通する色を見つけて、画面のあちこちに手を入れる人。共通する服の色を描き足す人など、それぞれの着目点がありました。それでも「全体感」を意識しているため、偏った描画にはなりません。

「なるほど」先輩の制作を見ながら、いろんなことを吸収していた中学生たち。生で制作する様子を見ると、どう描いているかだけではなく、何を意識してそう描いているのかもよく伝わってくる。なかなか貴重な機会です。「じゃあ、私はここをやってみよう」とポイントを定めて、制作を引き継ぎます。

描く、見るの繰り返しをまた数回ターンをこなしたところで、作品全体がどんな様子になったのかをみんなでチェック。この後、どう描き進めていくのかの作戦会議の時間にもなりました。

いったん画面を引いて見ると、ある発見が。「この1人だけ、はっきり見える」。近づいてみると、まだ荒い表現の中にも色づかいに工夫がありました。描いた人に聞いてみると「こうするといいかなと思って試してみたんですが…」とのこと。なるほどね!こんなふうに誰かが一歩リードしてくれると、他のみんなも次の一手がイメージしやすくなります。

その他にも「この部分の色の強さに、全体を合わせようか」「ここは使う色を揃えたらよいのでは?」などの声があがりました。みんな鋭くて、的確!いくつかの点を軽く擦り合わせをして、制作再開。

個別に描く制作では「次はどこに手を入れたら良いんだ?」と迷うこともありますが、今回のように時折手を止めて、他の人が描いているのを遠目で見ていると、絵に必要な部分は何かが客観的に見えてくるようです。交代した後の進め方が早い!

実は、各クラスの制作を定点カメラで記録撮影しています。ラボのみんなにもその画面を見てもらうと「おおお!」「できてきてる!」「すごいね」ここまで着々と進んでいるぞと手応えが。

2回目の制作の終盤。「これはあの人だな」と、ひとりひとりの雰囲気が出てきている!集合写真っぽい空気もしっかりあります。画面が大きくて体力的にもたいへんな制作ですが、やっぱり絵ができてくるとみんな嬉しそう。

トルネードを卒業する高校2年生たちからは「あ〜次でラストかあ…!」「さみしい」「留年したらもう1年いられるの?」など感慨深そうな声が。今年度のメンバーで制作できる最後の回です。制作内容も相まって「エモいなあ」

ラボのみんながしきりに「エモい」と言っている大型作品、いよいよ仕上げの回です。ワクワクですね。前回と同じく、各クラスとも数名のグループに分かれて交代制で制作を進めていきました。振替等でメンバーが多少変わっても、「どこでも描きますよ!」という意気込みで、制作にはまったく問題なし。

作品全体を大きな目線で見直してみると、まだまだ色の浅い部分が残っていました。この作品では、だれかを主役にするのではなく、全員の存在を、できるだけ均等に見えるように仕上げていきたい。そこでまずは写真資料を参考に、”強めたい部分”を見極めて、みんなで協力して色を置いていきました。「ここだね」「こっちも必要かな」

服の色やしわなどに手を加えていくと、まずは人それぞれの姿勢や骨格の特徴が表れてきました。”その人らしさ”って、いわゆるみんなが気にしがちな服装やヘアスタイル、顔のつくりだけではないんですね。立ち姿や、座る時の足の力加減など、言葉では表しにくい「らしさ」がこんなに表現できるアートは、やっぱりおもしろい。

みんなの全身像が見えてきたところで、「まわりに影とかないのが気になる」という声が。じっくり見る時間がある分、指摘することも鋭くなってきました。「じゃあ影やりますか!」と、数名が全体の影の調整に着手。それにしてもこの制作、背が高い人がいるとすっごく助かる!長い腕を伸ばして大活躍。

「人と人のすきまが気になる」たしかに…だんだん描き進めていくと、今まで気に留めていなかったスペースの存在も目立ち始めます。描くべきところがはっきりと掴めてきました。

だんだんとみんなが「ここが足りてない」という部分の発見が上手になってきました。「口の色がない人がけっこいる」「肌のベースの色がない」など、いろんな人の同じ箇所を分業的に手をいれはじめていました。いい仕事です!

全体に強い色が入ると、今度はその間の色を入れたくなってきた様子。どう描こうかな?と考えなくても、迷うことなく自然に手が動いて、次々に描いていくように。前回よりも、明らかにみんなの手が早くなっています。

全体感を調整するために、色と色の間を少しあいまいにする表現にも挑戦していきました。ここでは筆ではなく目の細かいパフスポンジを使って、ちょっと新しい感覚のペインティング。「お化粧みたい!」筆跡が残らないので、写真ぽい表現とも相性が良さそうです。

中高生の中にはメイクに詳しい人がいて「シェーディングはくっきりじゃなくグラデーションが大事だから…」それとちょっと似ている、なんて声も。あいまいな表現は、多くの人がモヤモヤとすると思いますが、はっきり描ききらずに、何かが出てきたポイントで手を止めるのも、表現のうまさの一つ。

特に顔の部分は、その効果がわかりやすいようです。色をパフで絶妙に調整して、少し離れて見てみると…「え!笑ってる!」「幸せそう(笑)」色をぼんやりとしかのせていなくても、少しの手がかりを作っておくだけで、あとは見る人が想像を膨らませてくれる。

さらにハイライトを加えていくと、みんなの表情がより豊かになりました。こんなふうに「何を描くか」「描かないか」を探りながら、何かが出てきたぞ、と気づいたところで手を止める。長く見ていてもいろいろ想像できて見飽きない、いい表現ですね。

何度も交代しながら描き、それぞれのラストの描画では「ここだけは気になる」という部分を描きこんで終了!遠目でも、近くでも、いつもなら見過ごすようなこともチェックするつもりで取り組みました。他の人たちが描いた”自分の像”を見るのも、おもしろい。知らない自分を、他の人の方がよく捉えてくれていることもありました。

色使いやタッチも、お互いの手元や手法を参考にしながら進めたことで、一体感が出ていました。でもできるだけ均一に描こうとしても、やっぱりそれぞれの像から、その人らしい特徴がしっかりとにじみ出ている!人がもつ雰囲気や存在感は、不思議と表れてくるものだよねえ、とすごく感心。何年経っても記憶に残る印象って、こういうものかもしれません。

勢いのある取り組みで、メンバーたちを引っ張ってくれた高校2年生たちは、これがトルネードでの最終の制作。それぞれのやりたい分野を「がんばりま〜す!」と卒業になりました。春からまた新しくラボで制作を始める新中1の人たちも加わります。一年一年、自分自身の”感性”に磨きをかけていこう!