
このプログラムでは、キッズのみんなにパブロ・ピカソをご紹介。テーブルに座ってちょっぴり微笑むおじいさん。よく見ると「なんかおかしいよ」「手がパンだ!」「見て、ここ!」そうそう、この写真のタイトルは『ピカソのパン』。フランスの写真家ロベール・ドアノーが撮影したユニークな写真です。

他の人が思いつかないような方法で、ものの見方をガラッと変えたすごい人。91歳まで長生きをして、「こんな方法も芸術だ」と、ひとりの画家が描いたとは思えないほど、たくさんのスタイルの芸術を生み出しました。しかも描くスピードが早いのなんの!作品点数はなんと15万点と言われています。ギネス記録と聞いて、こどもたちも「へーっ!」

ほんとの名前はパブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス……ふにゃらら…ピカソ。ここには書ききれないほどものすごく長い名前!こんなの絶対に覚えられない気がします。お気に入りの服は、先ほどの写真にも写っているバスクシャツ。青いボーダー柄は、その影響から芸術家のスタイルを象徴するファッションアイテムにもなったほど。

今回はピカソにちなみ、まずはこの「しましま」を描いてみよう。模様作りが楽しくなる、マスキングテープが登場。もともとは、工事や塗装現場で、塗りたくない箇所を隠す(マスクする)ために使用されていた紙製のテープで、貼って剥がせるのが特徴です。最近ではいろんな色のものが人気で、雑貨としても定着していますね。

「色をつけたくないところ」にテープを貼ります。一見、テープのところに色が付くように見えますが、後から反転するのでご注意を。太め、細め、はたまたランダムに?! 作りたいしましまのリズムをイメージしながらテープを貼ってみよう。

「すきまを同じにしたい」「曲がっていたら直したい」早くもはじめのテープを貼る段階から、ものすごいこだわりよう。キッズのこどもたちの、職人気質な一面が顔をのぞかせました。中には太い、細い、細い、太い、細い、細い…など、自分で考えたリズムで作る子も。

テープが貼れたら、上から青い絵の具を塗っていきます。テープをしっかり貼ったので、ここは勢いが良い!大きな刷毛を持って、テープの上にも、テープがない部分にも、さっとひと塗り。そこから一気に塗り広げていきました。早くテープをはがして見たいけど…ここはしばらく乾燥を待ちましょう。

ところでピカソは、自分が着る服だけではなく、作品の中にも様々な模様を使っていました。色だけの表現だと平坦になりそうなところに、たくさん線を引いたストライプ模様や、クロスさせたチェック柄などを取り入れています。模様があると、隣の形とはっきりと区切られて、画面が分割される。絵に複雑なリズムが生まれています。

ここからは、ピカソのようにいろんな模様を作ってみよう。テープの形や幅、貼り方を工夫すると、しましま以外のいろんな模様ができそうです。青以外の色も、四角以外の形も、あれこれ試してみたいですね。「顔みたい」「これはハート」「まめ?」いろんな形の紙で、模様づくりの実験をしてみよう。

みんな大好きなローラーも登場して「やったー!」絵の具がさっと広がり、あっという間に塗り広げることができます。まずは、テープを貼らずに、1色目をさっとひと塗り。その心地よさに「ローラー楽しい!」「もっと作りたい!」1枚塗れたら、テキパキと2枚目の絵の具や形を用意して進めていました。

色塗り職人のようにどんどん作るこどもたち。しばらくすると、おもしろい色とかたちがたくさんできていました!すでに何かの絵が生まれていきそう。ここからさらに、先ほどマスターしたマスキングテープを使った模様づくりにチャレンジ。

絵の具が乾いたカードを選んで、テープを貼り始めました。特に幅が細いテープはこどもたちの興味を引き「組み合わせてみたい」「斜めに貼ってみたい」いろんなアイデアが浮かぶ様子。仕上がりを想像しながら、思うままに貼っていました。

次に使う絵の具は、すでに塗っている色とはちがう色を塗ってみて!勘の良いこどもたちは「ひょっとして...?」ゆっくりテープを剥がしてみると「わあ!」「気持ちいい〜」きれいなラインが生まれていきました。筆で描くのとはちがう仕上がりに、こどもたちが大興奮。

テープを貼り、次の色を塗り、乾いたものから剥がしてみる。いろんなかたち、模様、色の組み合わせで、たくさんのカードができていきました。アイデアがむくむくと湧き出てくるようで、次々と試したくて制作の手が止まらない!みんな本当に手際が良く、コツをつかんだ子は乾かしている間にも次のカードを制作するなど、複数のカードを並行して作る姿も。

そろそろ最初に作ったボーダー模様のパネルも乾いている頃です。こちらはサイズが大きく、テープ幅も広いので、ていねいに剥がしてみよう。剥がしはじめに、ビリ!と下地も一緒に剥がれそうになりましたが「おっとあぶない!」「じゃあ、こっちから剥がしてみるか」など、すっかりコツをつかんでいる様子。

こちらのパネルは、ピカソが着ているようなシャツの形にカットします。少し厚みがあるので、ダンボールカッターで切っていきました。キッズコースでも何度か使っているので、カッターはもちろん、押さえるためのクランプの扱いまで得意な子が多かった!最近は小学校でもダンボールカッターを使う機会があるようで、「使い方がうまくてほめられた」というご報告も。

二人組になって、押さえ役とカット役を分担して、パネルをカットしていきました。成長を感じます。切るものをくるくる回して安全にカットする方向を検討したり、初めての小さな子のサポートをしてあげたり。

服の形ができたら、みんなやっぱり体に当ててこの通り。「ピカソになれそう!」わざと子どものような自由な表現をしたピカソ。次回はもっとピカソに近づくかも?! お楽しみに。

ピカソが友だちのジョルジュ・ブラックといっしょに始めた「キュビズム」という芸術運動。それまでの絵は、ひとつの場所から見た様子を描くのがふつうのことでした。でもピカソたちは、前から見た形や横から見た形など、いろんな角度から見たものを、ひとつの絵の中に合わせて描きました。このように描くことを"多視点"といいますが、実はこれ、子どもの絵にはよく見られる表現です。

"多視点"で表現すると、写真にもできない、それまで誰も描いたことがないような作品が描ける!この方法で、ピカソはいろんな女性の姿を表現しています。当時の美術の世界では、とても斬新なことでした。目がどっち向いてる?鼻は?口は?頬は?顔の作品を見てみると、たしかにすごくわかりやすい。

「ここがへんでしょ」「おもしろいかお!」「ちがう角度の部分がくっついてる」ピカソの絵を見たとたん、こどもたちがちょっと不思議に感じるところをどんどん教えてくれました。実は、この中には同じモデルを描いた作品がいくつもあります。例えばこの泣いている女性はドラ・マールさん。これも、それも、実はこっちも…「え、そっちも?」「全然似てない!」

ピカソの絵って、パズルみたい。そこで、目・鼻・口だけを切り抜いて、マグネットにしてみました。じゃじゃーん、これだけでも、すごいインパクト!何でしょう、この目力のすごさは…「これも目?」「これは鼻かな?いや、口か!?」「どっちもいける!」じゃあさっそく、こどもたちと遊んでみることに。

まずはまっすぐこちらを向いた、正面からの顔づくり。ぴったりのパーツはどれだろう?「これとか」「見つけた!」目は比較的探しやすいけど、鼻や口も揃うかな?たくさんあるので、あれこれ組み合わせて、いろんな顔を作ってみよう。

ふだんキッズのこどもたちがあまり描くことがない、人の横顔。横から見た目って、どんな形だっけ?「これかな?なんか変な形」「目の中が細い形かな」さらに鼻や口も探して…こちらのチャレンジでは、少し迷いが出てきた様子。「横顔なんて描いたことないよ!」「ちょっと横顔見せて」みんなざわめきながらも、いろんなパーツで試していきました。

どのパーツもドラ・マール。あっち、こっち、そっち、どっち?! 見え方によって全然ちがう印象です。でも多視点の顔には、いろんな向きのパーツが入るはず。じゃあもう、全部のマグネットを使っちゃおう!と、ゲームのように多視点の顔づくりを楽しんでいきました。

うわあ、これだけでも本当におもしろい。いろんな組み合わせで顔ができていきました。さらに女性像ということで、それぞれの想像する髪型をつけ加えていくと「これ、新しいドラ・マールさん!」よく見ると、耳を鼻のパーツで代用していたり、鼻のパーツを口に加えたタバコに見立てたり。こどもたちの遊び心が満載です。

まるで福笑いのようなピカソの顔。中でもバリエーションが多かったのは「目」の表現。ピカソは目だけを見ても、さまざま色や形を組み合わせた描き方をしていることがわかりました。「黒目の中に渦巻きみたいなのがある」「まぶたにたくさん線がある」「まつ毛かな?ギザギザしてる」「黒目が黒くない!」みんなも紙やシールを組み合わせて、オリジナルの目を作ってみることに。

カラフルないろんな形の素材が登場すると「やってみたい!」「これを使う!」まずはコロンとした白い眼球からスタート。そこにそれぞれ選んだ目を貼ってみると「じーっと見てる!」「下の方見てるみたい!」貼る位置を変えるだけで動きがでます。

さらにいろんな形の色紙を当て見ると、こどもたちから自然と「これ眠たそうだ」「あ、怒った!」などと声が上がりました。まぶたをかぶせると、いろんな表情や感情が生まれるんですね。「なるほど!」「どんな表情にしよう!?」少しの角度で変化し、絶妙な表情も生み出せます。

こちらは「怒りすぎて泣いちゃった目」。大粒の涙がこぼれてるよ!思わず「どうしたの?!」と駆け寄りたくなるような目です。瞳の色や、まぶたの角度からも感情がにじみ出ています。

こちらの子は「これは使えるぞ」とピーンときたのか、大きさがちがう丸シールを貼り重ねて、キラッと光る瞳の輝きやうるみを表現。うわ〜、すごくシンプルなのに、不思議と感情がありますね。

ジロリ!とこちらを見ている目が気に入ったのか、同じめからシリーズでたくさんの目を作っていました。少しの角度で変わるので、絶妙な表情も生み出せるようです。

ピカソのいろんな絵を参考に、目の表現を研究していた子も。そうそう、ピカソはけっこうまつ毛を描いていたり、ドラ・マールのくっきりまぶたを特徴的に捉えている作品が多くあります。

いろいろと作って研究していくうちに、いつの間にか横や斜めから見た目を作っている様子もちらほらと。はじめは「横から見た目なんてわからない!」と言っていたこどもたちも、いつの間にかピカソの感覚に少し近づいてきたのかも?! 「子どもは誰でも芸術家だ」ピカソの言葉どおりですね。

みんながそれぞれ、たくさんの目のデザインを作り続けていました。合わせるとすごいアイデア量だ!1週間で「目の画集」が1冊できそうな勢いです。ピカソもびっくり?

そして前回のプログラムで作った色や模様の紙に貼り付けてみると「ひとつ目のモンスターみたい!」なんだか謎の生き物のようなものができました。目と地のカードの組み合わせによっても、なんだか雰囲気がすごく変わりますね。不思議な絵を描くピカソの話、次回もお楽しみに!

いい目だ!なんと不思議で面白いパーツ。「一つ目のモンスター?」「何になるの?」次回の制作で明らかになりますよ。

たくさんの人をモデルに、いろんなふしぎな絵を描いてきたピカソ。この制作ではなんと、こどもたちがピカソ自身の肖像画に挑戦! くっきりとした目鼻口に、ぎょろりと鋭い眼差しのおじいさん。どこか茶目っ気がありつつも、やっぱり只者ならぬオーラが満点です。さて、どう作ろう?!

なんといっても、モデルの顔をあんなにいろんな視点から描いた画家さんです。こどもたちも前回までにつくったパーツで、ピカソの顔を形を作ってみることに。「あ、鼻みたいなのができた!」「これ、おもしろいかも」組み合わせを変えたり、重ねる順番を変えてみるだけでも、いろんな見え方になってくるから不思議です。

「見て!顔が北海道みたいな形」「眠そうだけど、笑ってる」顔の形はもちろん、ちょっとした角度の変化で表情もいろいろ工夫することができて楽しそう。目の色がちがったり、鼻の向きを曲げてみたり。自由に組み合わせを試しながら、自分がピンとくる位置を探っていました。

ピカソは、キッズのこどもたちに驚くほど人気でした。パーツの置き方を決めて、さらに「おじいちゃんだから」と、クレヨン片手にピカソの目元のしわや髪型などを描き足す子もいました。それぞれがピカソに対して思い描くイメージに沿って「ピカソっぽく」仕上げていました。

クラス中、本当に見事なくらい全然ちがう顔ができてきました。これにはピカソもびっくりでしょう。ボードに貼り付けて後ろに帯をつけたら「おめんだ!」と、小さなピカソに変身!教室中、あっちもこっちも、にぎやかな顔で溢れんばかりの様子です。

顔だけではなく、ピカソのお気に入りのボーダーシャツもできています。教室にはピカソのお家もあるし…ということは、ひょっとすると「あの写真になれるのかも?!」でも「手がないんじゃない?」「あのパンがないと!」

当時の地元のパン屋さんが考案したという、手型のロールパン。紙粘土に絵の具を加え、コネコネとよく練って、パン生地の色を再現していきました。「ロールパン?大好き!」「乾燥すると美味しそうなパンができない」なんてこだわりも。濡れタオルで保湿しながら作業をしていくことに。

ドアノーの写真をよく見直してみると、テーブルに置かれたパンの指は、5本じゃなくて4本でした。よくこねたパン生地を、4つの塊に分けていきました。きれいに作るために、キッチンスケールで量を確認しながら生地を分割。「パン屋さんみたいで楽しい」

平らな板を使って押しながら転がしていくと、まっすぐな棒状になる!きれいに形が整って、気持ちがいい様子。全部の粘土をコロコロして...だんだんと手慣れてきて、みんな職人気分。

さらに針金の芯材にくるくると巻きつけて、コロネのような形に。「おお!」「めっちゃパンだ!」こちらの転がし作業は、コツをつかむまで少し時間がかかる子も。はじめの力加減が大切なようで、スタートのコツを掴めたら、制作がスムーズに。「こういうことか!」

U字にしたコロネ状のパンを2つ重ね合わせたら、ピカソのパンのような形になりました。「やっとできたー!」さらにこんがり、焼き色をプラス。お化粧のようにパステルの粉をポンポンつけると「ちょっと焼けてきた!」パフの感触が心地いい様子。

本物のようなふっくらとした焼き上がり。これは本当に...おいしそうっ!キッズの制作を見ていたジュニアのこどもたちも「すごいじゃん」とびっくりしていました。

手のパンが完成したら、さっそくピカソの部屋のテーブルへ。ピカソのお面をつけて、ボーダーのシャツを身につけたら…はい、撮影!「ピカソさん、もう少し顔を前に」「自分の手は隠してね」そっくりな写真になるように、撮影するスタッフも一緒に楽しみました。

当時はモノクロームの写真でしたが、現代版でカラフルに作ると、さらにいきいきと感じられますね。お面のうしろで、じっと隠れんぼしているこどもたちの存在が、とてもかわいいです。ピカソの顔・服・パンの手の3セットがあれば、おうちでもピカソになれるかも?!「おとうさんにかしてあげよう!」なんて声も。