
いつ遊べるのかと心待ちにしていた人も多い、先月ラボのみんなが作ったオリジナルの名画カルタ。お待たせしました、ついにカルタ大会の開催です!改めて集めてみると、すごい数だな…全部の作品を使って、みんなで楽しもう!

カルタ大会は、個人ではなくチーム戦といたします。チームのメンバーを決める前に、まずはみんなで大会の会場づくりから。たたみ風のい草シートの登場に「ええ〜?!」「ここまでやるんだ」と笑いが。もちろんです!お楽しみの大会ですからね、座布団も用意しております。

「本日はよろしくお願いします」とみんなで一礼をしてから、ルールの説明。学年や得意なこともミックスして、ランダムに3〜4名のチームを組みました。各チームからプレイヤーは毎回1人ずつ。のこりの他メンバーは、応援しながらプレイヤーにヒントを出すこともできますので、後ろに控える形になります。

ゲームはポイント制です。絵札をひとつ取るごとに、1点獲得できます。でも力任せにバシーン!と絵札を叩くとー1点、また足で踏むのもー1点です。みなさんご注意を。「きびし〜」さらにおてつきは…なんとー2点!「おてつきやばいじゃん!」「がんばろう」

みんなの絵札の作品をならべると、なんともすごい密度!一般的なカルタよりもビッグサイズなので、こんなふうに並ぶと圧巻です。あの名画、この名画、どれも特徴が捉えられた作品ばかり。

「ああ、あれだ」「あっちにあるね」などと言いながら、どこに何の作品が置かれているかを確認するように、みんなの目がキョロキョロと動いていました。早くも「とるぞ」とやる気を感じます。そしてチーム内のひとりがプレイヤーとなり、座布団にスタンバイ。レッツプレイ!

読み札の五・七・五が読まれ始めると、この"名画カルタ"ならではのおもしろさが随所に感じられました。まず頭文字が自由につけられていますので、たとえば「ふ」ひとつにもこんなふうにちがう絵札が複数あります。つまり頭文字だけ聞いて、すぐ動くのは危険ということ。読み札の内容をある程度聞いて、絵札の内容と合致していると思った時に、パッととる!

中には他クラスの人が制作したと思われる、初めて目にする作品もあり、五・七・五の内容と絵を瞬時に照らし合わせて見極める力も必要でした。チーム戦なので、プレイヤーの背後の他メンバーから「あの作品だ!」「フェルメールじゃない?!」「あっち、あっち!」などのお助けも。他チームに気づかれないよう、自分たちだけの合言葉を使うのもOKです。

もし読まれる五・七・五が自分の作品だったらすぐにわかるから、かなり有利だろうと思っていました。でも実際にプレイしてみると「私の作品、遠い!」とか、名句であるほどみんなの印象に残っているので、意外と他の人に先に取られてしまったり。結果的に接戦で、いい勝負になっていきました。

みんな、それぞれの他の子たちの作品と句の組み合わせを結構覚えていたようで、その記憶力や集中力に驚きました。「あ!あの人が作ってた作品だ!」とピンときた瞬間、どんなに遠くてもとってみせる!とばかりに、思わず体が!よくぞここまで!全身を伸ばして手に入れた時の快感たるや、すごい。

アート鑑賞の奥深さも相まって、思った以上におもしろい!チームの結束も増していき、クラスのみんながどんどんヒートアップしていくと、つい座布団も前のめりに…他のチームから「ちょっと!」「そこ、ずるい!」なんて声があがるほど、真剣で白熱した戦いになりました。

最年長の高校生たちが夢中になってプレイしていると、中学生たちも自然と緊張がほぐれていきまました。最後の1枚になると、「これは反射神経の問題だ」「とるぞ!」とみんなの目の色が違います。最後までバチバチ火花を散らしていました。各チーム、最終的に何枚ゲットできたかな?集計していこう。

実はこの勝負、単純に枚数だけで結果が出るものではありません。「特別ルールその2」ということで、獲得した絵札に応じてボーナスポイントが加算されました。「日本美術はボーナス1点」「同じ画家の作品が手元に2枚あったらボーナス1点」「描かれている人数が多い作品にはボーナス1点」「最も古い絵画作品には…プラス5点!」ここでもひと盛り上がり。

すべて集計して、チームの順位を決定しました。予想以上の盛り上がりをみせたカルタ大会ですが、この大会には大事な特典が。それは、この後の共同制作のテーマとなる名画を、上位チームから優先的に選べること。「おお〜!」自分たちが深掘りしたい作品を先に確保できるとあって、「ボーナスはないか?」「計算まちがってない?」念入りに作品やポイントを確認していました。

5月の制作は、平面の絵画を立体に置き換えて、その世界観を空間に表現することにチャレンジします。聞いた途端「お〜おもしろそう!」という声が各クラスで上がりました。チームごとに、複数の作品を制作していけるといいですね。「よし、どれを立体化しようかな!」この作品選びもまた、真剣そのものでした。

3人チームでは、カルタ制作を通して見つかった、メンバーそれぞれのお気に入り作品を選ぶケースが多かったです。マティス、デ・キリコ、ウィリアム・ブレイク。一見関係なさそうに見えますが、どの作品もそれぞれの思い入れがあるものばかり。

こちらは同じモネの睡蓮の作品がふたつありましたが、それぞれ構図を変えていたり、句で推したいポイントが違う様子が伺えますね。ちがう切り口から立体を作ってみると、おもしろいことが起きるかもしれません。やってみよう!

それぞれの作品をどう立体にしていくのか、まずはイメージの共有や計画がはじまりました。カルタ大会ではじめて一緒に活動した相手とも、すっかり打ち解けてスムーズに話し合いがスタートしていました。遊びの後の空気はやっぱりちがいます。

ルネ・マグリットの《ゴルコンダ》。たくさんの男性が浮いている、不思議な作品。「数がいるからもう作り始めようか?」「どうやって作ろう?」たしかにこれは、手がかかりそう!チーム制作では、何かで迷ってもすぐ相談できる相手がいるのがいいですね。

具体的に制作プロセスを考えていくと、中には「どうなってるんだ?」と、構造を考える必要がある作品も多数。「一回作ってみようか」「もう制作をはじめよう!」手を動かしながら考えるのが一番、と早速あちこちのチームで必要なテスト制作が始まりました。この辺りはラボのみんなの強みですね。

絵画の世界観や特徴を捉えた立体制作は、ラボのみんなにとってかなり新鮮で、今までとはひと味ちがう刺激があるようです。自分なりの想像や工夫も盛り込めそう!ということで「次回も楽しみ」という声がありました。

"名画を立体化"の本制作です。前回のカルタ対決をした時のメンバーで共同制作を進めていきました。学年・男女ミックスのチームですが、カルタ大会を経ていつも以上に雰囲気が和気あいあい。振替で前回とちがう曜日に来た人も、どこかのチームに仲間入り。「よろしく!」

それぞれの作品には「ここを立体化で表現したい」というポイントが絞られていました。例えば登場する人物の"体の一部分"であったり、風景の地面の"角度"だったり、作品に登場する小さなキャラクターだったり。「ここなんですよ、ここ!」さあ、どう見せていく?

絵画を3次元に置き換えていく際、「空中に浮かせたい」というアイディアもあれば、「壁が必要」という場合も。実際に体験してみるとわかりますが、想像力だけではなく、構成力も必要になる制作です。またサイズ設定もそれぞれのチーム内での判断です。使いたい素材を教室の中で探して、試行錯誤の制作がはじまりました。

基本的に立体の芯には板や針金、紙、アルミホイル等を使い、石粉粘土で肉付けをしていますが、「粘土が得意!」という人と、逆に苦手意識がある人がいましたので、作りたい形や雰囲気、自分の得意に合わせた素材選択をしていました。どうすれば理想の形ができるか考えながら、自分のスタイルを見つけてほしいです。

こちらはエドゥアール・マネの《フォリー・ベルジェールのバー》を立体化。まずはバーカウンターを作りながら、全体のサイズ感を確かめています。もう既に、名画の続きの世界がこちらに飛び出してきたような感覚になりますね。イメージが膨らむと、次の展開がワクワク!

それぞれ担当する部分を作りながら「人体はやっぱり針金かな」「この丸っこい猫はどうする?」「アルミホイルかなあ」制作方法に迷ったら、チームのメンバーと相談しながらできるので、大きな不安もなく制作が進んでいきました。「あの方法もいいんじゃない?」など、それぞれの経験や切り口からアイディアが飛び交います。

「ここはなんとなく、粘土じゃないね」「他の素材はないかな?」各チームから、材料に関する質問や希望もちらほら出てきました。ルノワールの作品を作っているチームからは「ルノワールのタッチにぴったりの、ふわふわで色がついてる素材ないかな?」とのことで、羊毛を選択。この方法にしようと自分たちで決めて、手を動かすのが良いですね。

「この作品かわいい!」と葛飾北斎の《雀踊り》の立体化に制作意欲を燃やしていた人が、作っている最中に「まずい!」と声を上げました。「数が多すぎてマジで間に合わない…」たしかにこの作品は、丁寧にひとつずつを作り込んでいくと、かなりの手数になりそうです。作る数を減らして見せるか、それとも量で見せるのか...

いろんなポーズがあるこの作品を相当気に入った様子で「減らしたくない!!」その様子を見た他メンバーが「粘土じゃなくてもっと巻きやすい何かにしよう」と、素材の再検討を提案。それぞれのこだわりポイントを大事にしながら、少しずつサポートし合い、みんなで問題解決に向かっています。次回、完成しますように!

各チームごとに、どのあたりまでできているか進捗確認。そして今日で完成させるための相談をしよう。「報告!この作品はもう形ができてます」「これはまだ30%くらいかな?」それぞれのチーム内で、かなり進んでいる作品もあれば、遅い作品も。

振替でメンバーが足りないとか、テスト制作してみたら難しいものが1点あったなどの理由から、チーム内の作品数をしぼることも。「全部を中途半端にはしたくない!」「でも今、原型がちゃんとある作品はいける!」

それぞれの作品についての見通しが立ったところで、つづきの制作を開始。前回の粘土はすっかり硬化して、土台がしっかりした状態でのスタートです。さあやるぞ!

床や壁があるミニチュア舞台のような作品は、平らな面が多くあります。ここは平筆を使ったペインティングで、一気に塗り広げてベースを作りたい。びっくりしたのは、それぞれの名画らしい色作りや、タッチの再現の早さです。先月の模写効果でしょうか。

こちらの『ゴッホの寝室』担当の人は、たくさんの家具を黙々と作っています。ドールハウスのようなちっこい家具たち、うまい!色やタッチでさらに質感が増してきて、ゴッホの絵画の世界観に近づけています。

粘土で作っておいたものはペイントできますが、芯材のアルミホイルだけの状態だった作品。「どうするかな?」と教室を見渡してみると、そこにちょうどジュニアコースのみんなが使い終えた、大量のカラーガムテープが。「これいいんじゃない?」マティスの原色カラーにもぴったりでした。

別のチームでは葛飾北斎の作品に登場するたくさんの人体をどう仕上げようかと検討中。とにかく数が多いので「粘土をつけてる場合じゃない!」と、前回からマステで肉付けをしていました。今回はさらに「服は紙でいける!いい感じ!」とアイディアを出しながら猛進行。着物っぽさも出て、うまい。

こちらは「髪の毛」がポイントになる五・七・五のため、リアルな髪にしたい欲がムクムクと…「人の髪の毛はまっすぐ生えてるから…」よし、研究だ!ということで、麻の繊維を束ねて、グルーガンで接着しはじめました。

並行して、こちらでは同じチーム内のメンバーが、麻の繊維を染めはじめています。なんだかすごいリアリティ。それぞれが作ることを楽しんでいる様子で、良い共同プレーです。

こちらでは、モネの池の絵に登場する"橋"の作り込みに意欲を燃やしています。木製のアーチ橋の雰囲気を、断熱材をほんの少しずつずらしながら接着して、段差を表現しようとしているようです。細かい技!

同じくこちらもモネの作品を担当している人。水面の光の反射を表現するために、グロスメディウムを使うことを思いついたとのこと。濡れたような質感で、さらに透明感もプラスされます。

こちらのルネ・マグリットの《ゴルコンダ 》も、大量の人形が必要な作品。「これを空中に浮かべたい!」とのことで、まずは糸をつけていました。あとは上から吊るだけなのですが…「どうやって吊る?」 とその仕組みを計画しています。

制作後半になると、各チームで徐々に組み立てがはじまり、作品の世界観を仕上げていました。あれ?こちらはノーマン・ロックウェルの《Run away》を制作中。確か全体的に白い壁面で、もっとさわやかな雰囲気の名画だったはずですが…

この作品に添えられた五・七・五は『警察に 補導されてる 子と大人』という内容だったため、ちょっとイメチェンしたそうです。「補導されているということは、本来こどもが居てはいけない時間に、行ったらいけない感じの店にいるってこと」その感じを出したかったとのこと。言われてみると、めっちゃ出てる!おもしろい!

「やばい!時間がない!」「目立つ部分を先に仕上げよう」チーム制作なので、一人で制作している時よりも客観的な意見を出しやすいようです。「時間があったら、気になる部分の続きしよう」と手分けしながらフィニッシュワーク。「メンバーがいて助かった!」何もしない人は一人もいない。

終了時間ギリギリまで、かなりの熱量の高さでぐぐっとまとめてきたみんな。めずらしく少しだけ居残りしていたメンバーも。「ここだけは」「もうちょっとだけ」と仕上げへのこだわりがすごかった。

できあがった立体作品に、名画カルタの五・七・五がキャプションとして添えられました。立体化してリアルな世界に飛び出してきたおもしろさに加え、五・七・五のおかしみもプラス。ぜひ見て!と言わんばかりの存在感が満点です。

お迎えにいらした保護者みなさんも、カルタと名画を見ながら「なるほどね〜!」とみんなの着目点にクスクス笑いが起きていました。中高生たちの新たな視点で制作した作品は、大人目線でもかなり新鮮!