
「なになに?」「どういうこと?」「重たいの?」こどもたちからの質問が多かった、謎のプログラム。そうです、この回はすっごく重たいものがテーマ!おもちゃやゲームでブロックをよく目にすると思いますが、世界最古のブロックは、今も身近で目にする「レンガ」って知ってましたか?なんと5000年前に作られた、日干しレンガでできた神殿や遺跡が今も残っているというからすごい。

いまのレンガの主流は『焼きレンガ』。北海道では北海道庁のかっこいい建物をはじめ、札幌の隣の江別市も有名なレンガの産地です。レンガは使う土や焼く温度によって色や質が変わるそうですが、江別の土はどう焼いても赤くなるらしいです。「へえ〜」「焼いてあるんだ」

素焼きのレンガは、ひとつひとつ微妙に色味がちがいます。それがたくさん積み上がることで、あの重厚な雰囲気が出てきます。そこで6×20cmのレンガのカードをこどもたちに配布。あのレンガの独特な茶系の色味を作ってみよう!これは本物のレンガと同じサイズなので、リアルに作ると本物らしさが出てくるかも?

今回使うのは、赤黄青と、白黒の絵の具だけ。あえて茶色の絵の具を使わない方が、色の変化に敏感になります。各色をどのくらいずつ入れると、あの雰囲気に近づくかな?絵の具はたっぷり用意したので、試したい色をどんどん使ってみよう。

色ができたら、次々にカードに塗っていきました。レンガの色って、実はけっこうバリエーションがあります。これもレンガ、そっちもレンガ!似た色同士も、似てない色同士も、並べてみるとおもしろい。

絵の具の色は、濡れた状態と、乾いた時でも色味がちょっとちがいます。乾くと素焼きっぽい雰囲気になるのもいいですね。さらに乾いた上から色をプラスすると…風合いもさまざまなレンガに変身。「あっ!苔がはえてる」「少し古びた感じ」こどもたちがいろんなレンガのイメージを生み出していきました。

みんなで制作すると、一気に100個以上のレンガができました。「すごい!」「大量だ!」色味も良い感じで、クラスによっても少しずつ雰囲気がちがいました。

大量のレンガで、教室の壁にレンガ小屋を作ることに。どんな形がいいかな?建築様式も、ヨーロッパのお城風、北海道庁風など、いろんなスタイルがあるので「どれもかっこいいねえ」「雰囲気ある」など声がありました。

各クラスでどんな小屋にしたいかの話がまとまったら、屋根・扉・窓のチームに分かれて制作をすることに。4月で「はじめまして」の子もちらほらいる中で、「私はこの制作がしたいです!」と新小3の子たちも意欲満点の様子。

たくさんの人手が必要な壁制作のチーム。「ひとつずつレンガ貼るの?!大変そう!」「大丈夫かな?」心配をよそに、はじめに高学年の子たちが基準となるラインをベースの素材に引いてくれました。「これならいける!」ボンドをローラーで塗る子、そこにレンガ用紙を敷き詰める子…チームワークで、レンガの小屋がせっせと積み上がっていく!

建築全体の雰囲気を大きく作る「屋根」の部分。とんがり屋根、丸みのある屋根など、形状を自由に楽しめる部分でもあります。どの曜日も、色や制作方法を楽しそうに相談しながら進めていました。

細かな作り込みで、建物のスタイルが変わりそうな、窓の制作。「やるなら絶対窓がいい!」とディティールにこだわりをもったメンバーが集まっていました。アーチがかった窓、アイアンの装飾がついた窓など、それぞれのクラスですごくこだわりがある様子。

こちらは建物の「顔」となる、ドアの制作です。「まずは設計をしっかり」「金具を描くね」「ぼくは全体の色を作る」「取手だけはまかせて」どのクラスも、メンバー全員のこだわりがひとつに集結した特色ある扉になっていました。

おや?こちらは独自路線でランプのパーツを作ってくれた子も。いいですね!アンティークな雰囲気がたっぷりです。重たそうに支えていますが、実は全部紙に描いた絵です。光の描写といい、すばらしいリアル感!

各チームが「できたよ!」と仕上げてきたパーツを、最後にレンガ壁と合体させていくと…すてきな小屋が出現!ずっしり重量感がありつつも、なんだか絵本に出てきそうなかわいらしさもあります。各部分がお互いに影響し合いながらひとつの作品になっていくのは、実におもしろい瞬間でした。

レンガのひとつひとつ、屋根や窓、扉のこだわり。たくさんの子たちが、ひとつひとつを手作りしたパーツです。みんな集めて、ぎゅっと密度が詰まった大型作品になりました。「ここ、がんばったんだよ」と、自分の手仕事があちこちに見えるのもうれしいですね。

絵画は、ある意味では「上手なウソ」。それらしく見せるための、技術の結晶です。例えばシスティーナ礼拝堂の天井に描かれた、ミケランジェロによる『創世記』。筋肉豊かな神様や、人物の表情、髪や布の柔らかさもさることながら、今にも動き出しそうな躍動感が大きな魅力です。アートでは、この“ウソ”は悪いものではなく、むしろ見る人に伝えたり、感情と対話するためのひとつの手段といえます。

前回それぞれ撮影しておいた、「よいしょー!」と力の限り引っ張ったポーズ。この回からは、それをビッグサイズで描いていきます。"重さ”や”力”って、本来は目に見えないものですよね。でも一体、どう描いたら感じられるのかな?その謎を、描写しながら紐解いていきます。いろんな発見をしていこう!

自分の姿は、大きいので分割した状態で出力されていました。まずはこれを、1枚のシートになるまで貼り合わせます。枚数が多い上、出来上がりが大きいので、二人一組で進めました。広い面積が必要なので、床での作業です。

実はこれだけでも、なかなかの体力仕事でした。作品が大きくなるだけで、体感することがこんなに違うなんて!そういえば先に紹介したミケランジェロは、あの天井を描くために4年もかかり、長時間の上向きの姿勢による首や背中の疲労や、絵の具が顔に垂れてくることなどを後に書き残していたそうです。芸術家の労働は過酷だ…

自分のプリントを繋ぎ合わせたら、次はそれを描くための画用紙も同じサイズで作ります。自分の姿がすっぽり隠れるサイズになるまで、紙を継ぎ足していきました。

デジタルツールが発達した現在では、さまざまな道具や技法が出てきているコピーやトレースの方法。でもここではアナログな方法で、自分の像と画用紙の間に巨大なカーボン紙をはさんで、上からなぞって写します。カーボン紙って、最近は使う機会がめっきり減ってますよね。

自分の像の中で、輪郭や服のシワなどが、なぞるポイントです。この後どんどん描き込んでいく上でガイドにしたい部分なのですが、実際描いてみると「ここ、必要かな?」と迷ったり、「大事なところ描き忘れた!」なんてことも出てきます。アナログならではかもしれませんが、この辺りは制作経験が増えるに従い的確な判断ができるようになります。

トレースが終わり、写真をはがしてみると、線描の自分の姿が!早くも”らしさ”が感じられてきたようで「うん、似てる!」とうれしそう。服のシワなどまでしっかり描けていると「もうすでに立体感あるかも」

ここからペイントの制作へ。まずはトレースの線をいかしながら、皮膚や髪、服、それぞれのおおまかな色をつけて、色面のベースを作っていきます。写真はもちろん、鏡も見ながら、自分らしい色に調節。

三原色をたっぷり使って、なんと大胆な混色ぶり!前回もレンガの色づくりで、混色の実験をしていたジュニアのみんな。この回からは、それぞれ自分の姿を描くための混色になりますが、ほとんどの子が自信を持って取り組んでいました。特に、服の色はそれぞれはっきりと色がちがい、個性も出そうなポイントです。

作った色に水を多めに入れて、ドローイングが見えるくらいの透明度に調整。ここではまだトレースの線が大切なガイドになっていきます。薄塗りの層をつくるように、ていねいに着彩していました。

「描いているのも自分、描かれているのも自分…」なんだか不思議な感覚になりますね。制作が進むにつれて、同じ子がふたりずついるような、まるで騙し絵みたいな光景が教室に広がっていきました。

「床に並べたら、寝相がおもしろい集団に見える」…たしかに!みんな寝転がってるように見えるかもしれません。でもそれって、まだ作品に動きや力が感じられないということでもあります。よし、次回はすごいパワーのある作品にしていこう!

それぞれの写真や、前回制作した描きかけの作品が教室にずらり。たくさんいるね!並べてみると、その人それぞれのポーズがすごくおもしろい。この回はまず、うっすら色がついただけの自分の絵に、どんどん描き込みをしていこう。

めざせ、ミケランジェロ!? あの躍動感、リアリティ、そしてふしぎな存在感…言葉では表せない生き生きとした表現は、どうやって描いていたんだろう?こどもたちは絵の具や筆の描画をいったんお休みして、使い慣れたクレヨンで描いてみることに。

前回ベースに塗っておいた絵の具の上に、クレヨンで重ねてみたところ…おや、すごく良いのでは?! 別の画材にすることでみんなの描く感触もかなり変わり、思った通りの混色にしやすいようです。「こんな色を見つけた」「ちょっとちがう色もあった」制作に対する構え方や視点に、深みが出てきました。

頬にある、明るい色(ハイライト)、耳の中にある、暗い色(影)。とにかくいろんなところに、色が存在しているのです。さらっと見ているだけでは気づかない、さっきまでは目に止まらなかった色が、目に飛び込んでくる。描けば描くほど、観察するほどに、「え!こんな色もある!?」「これ楽しい!」

色で描く感覚をつかんでいくと、どんどん制作が進みました。色と色の境目も、カーボンでなぞった線が消え、色のちがいによる表現になってきています。クレヨンも力いっぱい使っていくと、色同士が画面の上で混ざり合い、だんだん厚みが出てきました。

特に小学校高学年のこどもたちは、「ここまで強く描いてもいいんだ!」と手応えがあった様子。クレヨンをのびのびと、ぐいぐいと大胆に使って、気持ち良さそうに描いていました。このプログラムからジュニアになったばかりの3年生のこどもたちも「うわ、すごい!」「やばあ」と刺激を受けていました。

「できたんじゃないか!?」「いい感じだと思う」制作に手応えを持つ子が増えていきました。描けば描くほど、なんだかリアルになっていく。さあ、ここでいったん紙の余白をカットしてみよう!

それぞれバラバラなポーズなので、中には輪郭線がかなり複雑な子もいましたが、ここはできる限りていねいにすすめたい箇所。ここまでがんばって描いた自画像です。集中して切っていました。

「…よし!切れた!」切り終えた自分の姿を持ち上げてみると、少し離れたところの子から「うわー!」「いるって!そこにいる!」「その持ち方はまずい(笑)」同じ子が二人いるような不思議な光景に、教室内がにわかに盛り上がりをみせました。

そして分身たちの傍らには、1回目のプログラムでみんなが作った、あのレンガ小屋が登場。自分像を手に「こんにちは」「入れますか?」などと、早く切り終えた子たちが集まって、いつの間にやら遊びがはじまりまっていました。うんうん、中に入りたくなるよね!でもね、今回はなんと…

この重たそうなレンガ小屋を、みんなで引っ張るぞ!「えええー!?」うんとこしょ、どっこいしょ、といえば、まるで絵本『おおきなかぶ』のよう。こちらの福音館から出版されている、彫刻家の佐藤忠良さんが描いた絵は、きっとみんな何度も見たことがあるでしょう。

クラスみんなの作品を集めて、さっそく作戦会議が始まりました。実際に並べてみると「小さくぎゅっとなってるポーズの人は、前のほうがいいかも」なるほど、『おおきなかぶ』とは逆路線ですね。「後ろ向きで引っ張ってる人は、列の最後のほうが引っ張りやすそうです」こどもたちから、いろんな提案がありました。

壁に貼った時に、どんな絵になりそうかな?ためしにパソコン上でも画像を配置してみました。お、おもしろいっ…!すごく「引っ張ってる感じ」が出てきそうな予感がします。人数が多いクラスでは「めちゃくちゃ長い絵になりそう!」「少しずつ重ねて、2列にしたほうがいいかも」ということもわかりました。

みんな納得する並び方が決まったところで、絵を壁に貼っていきました。自分の分身の裏にテープを貼り、列の先頭の人から壁面に貼り合わせていきました。ここはセンスの見せどころですね!クラスみんなで協力していこう。

パソコン上では何となくあいまいだった手前や奥の関係性は、実際の作品を動かしながら調整していきました。「こっちの人の手を前に出そうか」「足だけ前に出すと、何か良くない?」「この角度の方が、がんばってそう!」遠目から見る役の子も、冷静に全体を見れていて、それぞれからいろんな意見が飛び交います。

小屋を引っ張るためのロープも、自分の分身に持たせてみました。自分像の手が、ロープをしっかり掴んでいるように調整しながら、それぞれの絵に仕込んでいきました。そして反対側の端は、レンガ小屋へ。

絵の中にロープを張るのも、こどもたちにはちょっとしたチャレンジでした。自分が支えている時はピンと張っていても、接着して手を離したとたん、だらんとゆるんでしまう。さらにテープの貼り方を工夫しても、徐々にゆるんで「ええ ?!」「これでもか!」あれこれ試しながら進めていました。

みんなの分身がロープを持ち始め、小屋にかけられていくと、「力いっぱい引っ張ってます!」という感じが高まっていきました。見ていると「がんばれー!」「よいしょー!」なんて、思わず一緒に加勢したくなる絵面です。

必要なクラスは仮壁を増設して、全長6m超えのパノラマ作品が完成。ひももピンと貼れると、全員が「うーん!」と足を踏ん張って、力を込めてめいいっぱい引っ張っている感じが出てきました。「せーの、よいしょー!」と言わんばかりの力強さ!

ひとりひとりの描写密度も高く、よく描いたなあと感心するほど。さらにその作品たちが重なり合い、組み合わされて一つの絵になると、動きがあり、力もあり、感情もある、驚くほどの見応えに!春一番、パワフルな作品になりましたね。