
今月のキッズコースでは、教室の一角に画家のアトリエが登場。トルネードに到着したこどもたちがみんな「ここはなに?」「誰の部屋?」「これはパレットかな」と、気になる様子。何が始まるのでしょう?

この目の部分を見せただけで「あ!ゴッホだ!」と叫んだ子もいました。そう!ひとふでひとふで、筆跡がはっきりとしたタッチで描く、オランダの画家、ヴィンセント・ファン・ゴッホ。こどもたちにも大人気の画家です。

ゴッホの絵の一部だけを拡大して見ると、まるで波のように渦巻いている。そこに点々と置かれた色のハーモニーが美しい。この一部分だけでも「"ほしつきよ"だ!」と作品名も当てられるほど、ゴッホの色やタッチは特徴的。

ゴッホは37年という短い生涯のうち、たったの10年間で、なんと1000点以上の作品を描きました。その間、パリで印象派の表現に衝撃を受けたり、日本の浮世絵の色や構図にも影響されながら、さまざまな名作が生まれました。

ヨーロッパ各地を点々としながら制作をしていたゴッホ。出身地のオランダから、フランスのパリを経て、光の明るい南仏・アルルへ。この地でもゴッホは絵画の研究に励みました。『黄色い家』に描かれているのは、ゴッホがアルルで借りていた家です。

こちらはその黄色い家の中。壁にはいくつかの絵がかけられ、こじんまりとした中にも愛着が感じられるお部屋です。質素な生活が伺えますが、よく見ると...ベッドには枕がふたつ、椅子も2脚。お友達の画家・ゴーギャンと一時期暮らしていたのも、このおうちでした。

実はこの作品、同じ構図のものが、なんと3枚も存在しています。「な、なんで?」「ぜんぶ一緒?」「いや色がちがう」こどもたちも興味津々で絵を鑑賞。「壁の広さもすこしちがう」「夜と昼なんじゃない?明るさがちがうよ」「飾りもちがう」まちがい探しみたいでおもしろい様子。

赤、青、黄など色とりどりで、寝室の内部が生き生きと描かれています。そこでこの回は『ゴッホの寝室』に使われている色を、みんなで研究。色を混ぜて、ゴッホカラーの絵の具セットを手作りしてみよう。作った色は、画家のアトリエ風のセットに持っていき、実際にキャンバスに塗ることも体験します。

『ゴッホの寝室』の画面を細かく分割して、みんなで制作していきます。絵の具を入れる容器には、それぞれの番号と色見本が。色ができあがったら、容器に入れたり、キャンバスにもどんどん塗ってみましょう。「ゲームみたいで面白そう!」と、制作がはじまりました。

「青がたくさんあるけど、ちょっとずつ違う」「これが好き!」絵の具のベースは、赤・黄・青の三原色と、白・緑・紫・茶を合わせた計7色。何の色をどのくらい混ぜ合わせるかは、自分で実験しながら進めていきます。

「たぶんいけそう!」「きいろが多めにいるかな?」「薄い色だから、まず白をたくさん入れて、それから色を少し足して...」「ぼく、黒っぽい色も作れるよ!」始まると同時に、制作のスイッチが入りました。

実際に色を混ぜてみると、「あ、いい感じ!」「…でも、ちょっとちがうなあ」「あともう少しで同じになりそう」こどもたち、ゴッホの絵の具に対してのこだわりがすごいのです。だいたい似てる、では済まされない様子で、調整に調整を重ねて取り組んでいました。

ものすごく絶妙な配合で、じりじりと色を合わせていたこちらの子。「すごい!」「そっくりだ!」この中間色は、大人でもなかなか難しい色だと思いませんか?いろいろ試しているうちに、感覚がどんどん研ぎ澄まされるようで、「いや、まだまだもっと近づけられそう」というこだわりよう。

こどもたちにも扱いやすいようにアクリル絵の具をベースにしていますが、できるだけ油絵の具の感触に近づけたい。そこで粉末のタルクやボンド、乾燥防止のためのグリセリンなども調合して、ゴッホ絵の具を仕上げていきます。いろんな素材を混ぜ合わせる感触も、こどもたちは楽しそう。

「よし!1色完成!」手作り絵の具ができたら、さっそくアトリエに持っていき、キャンバスに塗っていくこどもたち。色の番号でおおよその場所を確認して、とっておきの色を画面の上に置いていきます。なんだかここだけちょっと特別なステージのようで、色を塗れるのがうれしそうです。

おや、ゴッホ風のお帽子が、とてもお似合いですね!普段は使わないペインティングナイフや油彩用の筆を使って、キャンバスに向かっています。タルクやボンドで調整した絵の具は、ゴッホのように筆跡までくっきり残せそう。たっぷり厚塗りが良さそうですよ!

次回以降にもみんなで使えるよう、たっぷり多めに作った絵の具は、専用のケースへ。クラスみんなで作った色を集めたら、たくさんの色の絵の具セットができました。固まらないように、しっかり蓋を閉めておこう。

似たような色でも、ほんの少しずつちがいます。スタッフも驚きの精度で、ゴッホらしい色合いの絵の具セットが完成しました。もうこの絵の具を見ただけでも、ワクワクしますね。終了後に「来週もまた絵の具作れる?」と、すっかり色づくりに魅了されていた子どもたち。次回もお楽しみに!

この回は、ゴッホの自画像がテーマ。ゴッホはわずか10年余りという短い画歴の中で、花や風景、肖像画などいろいろな絵を残していますが、自画像もたくさんの枚数を描いていました。その数、40枚近く。1年に何度も描いていた計算になるから驚きです。

制作年順に並べてみると、初期の作品はどれもとても暗い色合い。こどもたちも「暗すぎて見えない!」と驚きの反応。そこから一気に色彩が明るくなったのは、パリで印象派などから刺激を受けた時期。美しいゴッホの豊かな色彩は自画像にも大いに反映されていました。

ここからは、好きな1枚を選んでいきます。背景が渦巻く表現が気に入った子は「絶対にこれ!」浮世絵が好きだという子は「ほくはこれ」他にも「この色が好き」など、選ぶポイントは人それぞれ。

まずはボードに、ゴッホの自画像をそっくりに描いてみることに。クレヨンを使って、顔の形や服装、背景など描ける部分を線で描いていきました。「なんかドキドキする」「そっくりになるかな」とりあえず顔の輪郭線が描けているだけでもOKだよ!

次は、ダンボールカッターが登場。顔の部分を切り抜いて、絵に穴をあけてしまいます。ここに自分の顔を当てたら...そう、ゴッホになれるかも?!久しぶりにダンボールカッターを使うため、危険がないようしっかり準備してから取り組みました。

「ゴッホさんの顔だから!」と、切りこみすぎないように、ていねいに手を動かしていました。作品にすぐに思い入れを反映できる、こどもたちの想像力はすごいです。そして扱いに少し注意が必要な道具を使う時は、こどもたちの表情がイキイキとします。

「よし、切れた!」はじめは「ちょっと顔ハメは…」と恥ずかしがっていた子たちも、上手に切れたのがうれしい様子。「撮って!」と言わんばかりにニッコリです。なんだかサイズもぴったりでいい感じだね!

そして前回のプログラムで作った、ゴッホカラーの絵の具が登場。「今日も色が作れるの?」とみんなウキウキです。この特別な絵の具を使えば、自画像もそっくりになっていくかも?! 新しい色が必要になったら、それぞれ自分で作りながら制作を進めよう。

前回の画家のアトリエコーナーでも少し使っていた、コシの強い硬めの筆。普段みんながよく使っているのは、馬の毛やナイロンなど柔らかめの筆ですが、この油絵具用の硬い毛は....なんと豚の毛です。「え?ブタさんって毛があるの?」とびっくり。

ゴッホの絵に近づけるために、みんなで作った絵の具をたっぷりとぜいたくに使いましょう。パレットの上にこんもり乗せたら、ナイフですくったり、筆にたっぷりとつけて。ゴッホの色はどれもきれいで、気分が高まる!

顔の部分は切り抜かれているので、その周りの色やタッチをよく見ながら描いていきます。描き進めていくうちに「ナイフを使ったらなんかいい感じ」「ポツポツ絵の具を置くと似てくる」など、それぞれに発見がある様子。

グリセリン入りの絵の具は、乾きが遅めです。下に塗った色と混ざり合ったり、筆あともはっきりと残したり、または消し去ることも自由自在。「なんかゴッホに似てる!」

ペインティングナイフの使い心地も、こどもたちにはとても新鮮な様子。筆で描くのとはまたちがった感触で、絵の具を広げたり、削ったりすることができます。バターのようにたっぷりと乗せてみよう!

こちらはきれいな並行線が登場しています。「フォークを使ったら、たくさんの線を一気に引ける!」これはいいぞ、と背景のうずうず模様を描いていました。

パレットの上で混色するだけではなく、絵の上でも色を混ぜて混ぜて…「ゴッホの首の色ってなんか変な色だね?」「大丈夫!作れるよ」など、すっかり色づくりに自信がついた様子です。

こちらは楽しすぎて、思わず手で絵の具をまぜまぜ!パレットの上がまるでゴッホのよう。絵の具の色がゴッホなので、混ざり合う過程もとても美しい。

すごく良い雰囲気!こちらもだんだん完成してきているようです。前回も使った画家のアトリエのイーゼルに立てかけて、楽しそうに仕上げのひとふで。

勢いづいて、切り抜いたゴッホの顔の部分にも描いてくれた子も。目元がとってもよく似てる!すごくゴッホだね!

この月、ゴッホにいろいろな刺激を受けてきたキッズのこどもたち。この回は、自分の顔を描いてみよう!「ゴッホみたいに描けるかなあ?」「いや無理でしょう!」「すごいもん!」教室がざわざわ。

前回のゴッホの自画像を選んだポイントは「色」という子が多くいました。好きな色、色の組み合わせなど、どのあたりを見ていたかな?思い起こしてみると「この後ろの色がきれいだったから。」そう、背景の色は、作品全体の印象を決めるたいせつな部分です。

どんな色にする?たくさんの手作りゴッホカラーの絵の具から、自分が使いたい色をチョイス。絵の具をたっぷりのせても丈夫な厚手のボードに、背景の色からのせてみました。青系や茶系など、ちょっとくすんだような色味もステキだね。

色だけでなく、ゴッホの筆致が気に入っている子もたくさんいました。「ぐるぐる」「うねうね」「ツブツブ」など、前回の制作でゴッホの絵の特徴をよく知っています。それらを「今日はたくさんやってみたい!」と、手や指まで使って、色が混ざり合う様子も楽しんでいました。

背景色がだいたいできたところで、白いシールを画面にふたつ。「なんかかわいい」と、これを貼るだけで目に見えてくるから不思議です。ここから自分の顔を描いてみよう!

鏡を覗き込みながら、自分の肌にちかい色を作っていました。絵の具の色づくりは、もうすっかり手慣れた様子。微妙な色味のちがいにも敏感で、他の色を少しずつ足しながら自分で調整しています。

「よく似てる」というよりも、もはや同化してる?! …す、すごい!「できる限り色を近づける」という段階の取り組みをする子が増えていました。

自分たちで作ったゴッホカラーの絵の具は、ボンドや粉を混ぜて硬めに調整しています。筆で色を「塗る」というよりも、ぺたり、ぺたりと「のせる」ように使うことができます。この感覚が気持ちいい!

ゴッホみたい!少しずつ絵の具をのせていくと、画面にでこぼこした跡が残ります。厚く盛ったところは、ナイフで削って下の色を出すこともできるよ。ぜいたくにたっぷりと使ってみよう!

ゴッホの絵が気に入ったこどもたち。改めて見てみると、顔に赤や緑なんかも混ざってる?!顔にそんな色は見えないはずなのに...離れてみると「ぜんぜん変じゃない」「光が当たってるように見えるよ」おおお〜、ゴッホさんすごい!

肌の色、髪の色、服の色など、どんどん進めてみよう。ちがう色を試したり、別の描き方を試したり。きっとゴッホも、何度も何度も絵の具をのせたり、取ったり重ねたりしながら、作品を描いていたはず。

いろいろ試しているうちに「ぼくもイーゼルで描きたい」という声も出てきました。もちろんOK!絵を立てて描くと背中もぴーんと伸びて、描く姿勢がかっこいいですね。

鏡を見てたら「光があるよ」「ほんとだ!」ゴッホの自画像の瞳の中にも、光が描かれていました。なるほど、目の印象ってすごく大事だね。みんなの目には、何色の光があるかな?

前回描いた顔をくりぬいたゴッホの絵に、自分の顔を当てて「ぴったりだ!」自分もゴッホになれたみたいだと喜んでいました。