
毎日使っているプロダクトや家電、衣服やインテリア。何かしらのこだわりがあって好きなデザインを選んでいると思います。でもこの「デザイン」って、いつから始まったのかな?アーツ&クラフツ、アールヌーボーやアールデコ、そしてモダンデザインの始まりのバウハウス、さらにその反動のポストモダン...流れを知ると、改めておもしろい。

モダン建築等で多用されたコンクリートやモルタルは、セメントを主材料にした仲間です。無機質でクール、スタイリッシュな印象がありますね。強度や柔軟性、自由に成形できるなどの多くの利点から、現代の生活のさまざまな面でよく使われています。

始めての素材ということで、まずはその扱いのコツを知るところから。セメントを使って、試しにみんなで½サイズのミニ・コンクリートブロックを作ってみまることに。ちょこんと置かれた小さなブロックの姿に、思わず「かわいい!」

いくつかのグループに分かれて体験していきました。作る型のサイズを決めるため、まずは元のブロックのサイズをチェック。そこから縮小するために計算して、図面を起こしていきました。

型に使う素材はプラスチックダンボール、合板、断熱材、巻段ボールなど。接合にはガムテープやグルーガンを用意。素材選び、作り方いろいろ

まず外側の形については、縮尺を変えただけの直方体なので、パパっと手早く作り終えていました。さすがラボのみんな、協力しながら作業したのですごく早い。そして楽しそう。

問題は、側面の凹みや内側の穴の部分。ここはちょっと工夫がいります。グループごとに、何の素材でつくるか、どう固定するかなどあれこれ話し合いをしていました。結果、グループによって選んだ素材はバラバラ。どうなるかな?

こちらのグループはスタイロフォームをカットして、角を丸めたものを芯材にしていますね。なるほど確かに、セメントを流し込んでも硬くてつぶれにくそうです。

「後で取り外す時に、中が詰まっていると危険なのでは?」と、こちらは中を空洞にすることに。さらに「水分が染みないように」という点まで考えて、ガムテープで表面を覆うなど工夫していました。

さらにこちらは防水性のあるプラスチックダンボールをセレクト。巻きダンと同じようにくるりと丸めて筒形に。それぞれの素材にメリット・デメリットがありそうです。

形ができたグループから、セメントを混ぜていきます。ほとんどの人は石膏を溶く経験等がありますので、それほど難しくはないはずですが、やっぱり素材ごとにその扱いのコツはちがいます。初めての素材にワクワク。

セメントと水のおおよその量を測り、全体がもったりするまで混ぜていきます。水は少しずつ入れながら微調整していくので、ここは何人かで協力しながらできるといいですね。状態を確認しながら進めました。

良い感じに混ざったところで、型に流し込んでいきます。かなりもったりしてるので、すごく入れにくい様子。でも、気泡が残っていると、穴が空いてしまうから気をつけて。硬化には、ここから少なくとも30〜40分かかります。

固まるのを待ちつつ、ここからは、セメントを使ってテープカッターのデザインに挑戦します。普段からよく使っているものですが、みなさんのおうちのはどんな形?テープを伸ばしてサクッと切りやすいことや、指を怪我をしないようになど、いくつかのポイントがありそうです。

そういった機能と形が合体しているのが今回の制作のポイント。カッター部分の形は、切りやすい角度になっているか?回転するリールは、1度きりではなく長く使えるか?テープを引き出したときにボディが持ち上がらないような重量バランスは?そして見た目の美しさなどなど、考えるポイントがたくさん!

ある程度デザインを考えつつ、ラフをスケッチするうちに、先ほどのミニブロックのセメントが固まってきたようです。みんなで型を剥がし、中の軸を抜いてみたところ「できた!」でも「ちょっと形が...」など改善したい箇所もあった様子。欠けてしまったり、歪んでしまったところを確認しつつ、改善策を話し合いました。

おや、こちらのグループは、穴を作るために中に入れた芯が「抜けない!」と大騒ぎ。実は他のグループでも同じようなことが起こっていました。どうにか力で抜く、棒で突いて捻り出すなどして、全グループで取り出しが完了。「やった!」

型から取り出した後も、完全に硬化する前ならば、固いヘラやヤスリで削って多少の修正ができる様子。せっかくなので...きれいに仕上げようと、最後までこだわっていました。一連の体験で、硬化前・後のセメントの様子や、型との相性、注意点等もよくわかりました。

この回は、テープカッターのデザインが始まりました。まずはじめに、セロハンテープ1巻、サンプルのリールを配布。身近なものですが、いざデザインするとなると、どこからどう考えていこう?それぞれのアプローチがスタートしました。

いろいろなアイディアスケッチが登場していました。直線、曲線などそれぞれの好みも反映されている様子。実際に自分が日常で使うことを考えて「大きい巻きのテープじゃなくて小巻タイプに」「マステ専用にする」「3連にする」などの案も出ていました。

ある程度方向性が決まったら、自分がデザインしたテープカッターの模型を制作していきます。素材はさっと形が作りやすい断熱材。大きさや長さは?バランスは?実物大の模型を作り、自分の頭で考えた形が、実際に使えそうかどうかを見ていきます。実物のテープを当てながら、サイズを間違えないように確認しつつ進めていました。

直線、曲線を組み合わせたこちらのデザイン。テープの丸みが意識されているようですが、遠くから見ていたら数字の「5」にも見える。「ほんとだ!」

こちらはきれいな直方体の中に収まるようにと設計していました。潔い!この形にセメントの質感が加わると、シンプルでかっこよくなりそうです。

おや、こちらはダイナソーデザイン?あれこれデザインを考えているうちに「これは恐竜の形みたい」と発見して進めてみたとのこと。造形がうまい!頭の部分にカッターがつくのですね。恐竜好きかと思いきや、「そうではないです」とのこと。

実寸の模型を作れば、実際の使い心地が試せます。結果がわかりやすいため、みんな形をどう工夫したら良いか方向性を探っていました。

リールは木材等の方が作りやすいかな?と思っていましたが、「ここもセメントで作れますか?」と相談あり。たしかに、物理的には可能ですね!どう作れそうか試してみよう。

それぞれのプロトタイプを元に、今度は同じ形をセメントで作るための型を制作していきます。凹凸の形がちょっとややこしい。へこませたいところは膨らませて、膨らませたいところはへこませる。「うーん、こんがらがる...!」

どんな型でも、まずは外側を囲んでおくのは基本です。中の隙間の埋め方で、自由な造形が生まれます。ひとつずつシンプルに考えて進めれば...いける!

構造の理解が得意な人は、イメージしたものを難なく型を起こせていました。が、それでも思う通りのものができるのか、実際に試してみるまではちょっと心配そうな場面も。

セメントを入れるのが不安な人の中には、まずは代わりに石膏を流し込んで、型の形をテストをする人もいました。使い慣れている素材なので、良いシミュレーションになりそう。

固まった石膏を取り出すと、形は「ばっちり!良さそう」とのこと。でも実際にテープを入れて使い心地をためしてみると、テープリールのパーツを入れる「溝」にもう少し改善すべき点があることがわかりました。一手間かけて試して良かった。

だいたいみなさん型が完成したところで、この回は終了。次回はまた、セメントが登場します。楽しみですね!

1週間教室で保管していた型をチェック。隙間はないか、型の凸凹は正しいか、テープカッターを中にセットしたか…全体を念入りに確認。ちょっとした段差もそのまま出てきますから、最後まで形が見えないのでかなりドキドキな様子。

複雑な形のテープカッターをデザインした人は、型もかなり複雑になります。ここまでくると...す、すごい!独特な空間認知能力が問われます。セメントを流し込むための「湯口」をどの部分に作ると良いのかも、それぞれよく検討していました。

型ができたところで、セメントを混ぜていきます。サイズや形によって必要な量が違いますから要注意。粉末のセメントと水分と合わせて攪拌していきますが、「手がつらい」「か、かたい…」と体力勝負。短時間で全体に水分を行き渡らせるのが大事です。

できるだけ、ざっくざっくと切るように混ぜて!ちょうど良い加減のセメントができたら、型に流し込んでいきます。ここも素早く、でもていねいに。空気が入るとそのまま穴が空いてしまいますので、隙間ができないように注意が必要です。

すべてセメントで作ってみたいという人は、リール用の型も作っていました。型がとてもきれい。セメントで成形するので、誤差も考えて設計してあるそうです。取り出すのが楽しみ!

このセメントの硬化時間は、最短でも約20〜30分。硬化の待ち時間は自由制作でOK!木材でリール制作を行いたい人は、切ったり削ったりしながら丁寧に作っていました。ここでも自分のデザインアイデアを活かしています。

流し込んだセメントの表面が温まってきたら、取り出しはもうすぐです。「ちゃんとできたかなあ?」とみんな気になってソワソワしていました。

まだ完全に硬化していない状態なので、型を外すのはできるだけていねいに、繊細に。ドキドキしながらも、注意深く外していきました。

「すご〜い!」とクラス中で声が上がっていたのは、こちらの"5"の形のデザイン。模型とそっくりそのままの姿が生まれていましたた。お見事!

凹んだ部分の型は、取り出すのが大変です。でも前回の経験から、コツが少しつかめてきている様子。ラジオペンチなどを使って、地道に型を外していきました。

型を全部外せたら、まず形をチェック。「テープが入らない!」なんてことがあったら大変だ…実際にテープをはめて確認していきました。まだ完全に硬化していないので、少しずつ削って修正もできます。

テープを切るためのカッターまわりは、機能に関わる重要な部分です。刃がしっかり出ているかな?不要な出っ張りなどがあったら落として形を整えます。

さらに手に当たると痛い角があれば削り落としたり、全体の手触りを整えたり。やすりを使って仕上げの調整をしています。軽く角を落とすことで耐久性も高まります。

さいごに、みんなの作品にテープを装着してその使い心地を試してみました。スムーズにテープがカットできると「使えた!!」と嬉しそう。水分が抜けて、しっかり硬化してから持ち帰ろう。