2025.9 in the kitchen

in the kitchen①

この月のジュニアのプログラムは、
久しぶりの観察して描く絵。
まずは日常生活でもよく目にする
調味料のボトルをモチーフに、
観察することと描くことの
つながりを体験しました。

こどもの観察画で大切にしたいのは、
「どう見えるか」「どう感じたか」という
見方や感じ方を深めること。
観察するポイントを少し増やすだけでも
自分の描く絵が変わっていき、
確かな手応えが得られた様子です。

プロセス

  • ウォーミングアップしよう

    トルネードには、いろんな分野の制作が好きなこどもたちが集まっています。絵が好きな子もいれば、立体工作が得意な子もいるし、同じ絵でも想像して描く絵が得意な子や、抽象的な表現が好きな子など、実にさまざま。この月は久しぶりに、観察して描く絵に挑戦です。まずはウォーミングアップから。

  • 1本の線だけで

    紙の中に1本の線を描くだけでも、画面に変化が表れます。線でもあるけど、見方を変えると区切られた白いふたつのスペースも現れています。ゆらゆらした線を描けば、ゆらゆらした白い形ができますね。じゃあ、まずはできるだけまっすぐな線を描くために、この白いスペースを意識しながら描いてみよう。紙の端を意識すると描きやすいよ!

  • うずを描く

    次は直線のうずまき。上から下へ、そのまま左から右へと、紙の中心に向かってどんどん進みます。この時も、自分が描いている線ではなく、隣の線との間にできる白いスペースを意識して見るのがポイント。同じ幅の道路を描くようなつもりでね。「上から下は描きやすいけど、下から上は描きにくい」など体の感覚も掴んでおこう。

  • 内と外

    囲まれた形を描くときにも、余白の意識は大切です。何かの形を描くと同時に、その周りの背景の形も決まります。「中の形を見て描くこと」と、「外側の形を見ながら描くこと」、その両方を実際に試しながら、いわゆる絵画の地と図の関係を体験しました。「でっぱり?いや凹みか?」「頭がこんがらがる!」

  • 調味料を描こう!

    いつもと違う見方をすると、あまり使わない脳の部分に負荷がかかり「つかれたー!」いったんモチーフの紹介をしながら、ブレイクタイム。「見たことある」「これ家にもあるよ!」今回は、いろんな調味料のパッケージを描いてみます。ボトルや箱、袋など、どれもラベルに文字や絵柄があるね。

  • わたしはこれ!

    「大好き!」とコショウを選ぶ子、「やっぱこれでしょ」とブルドックソースを選ぶ子、「どれも楽しそうだから迷うな〜」という子も。中には「あ!賞味期限が私の誕生日だ!」という理由で選んでいた子も。よく見てますね!

  • 作戦を考えよう

    モチーフを選んだら、それぞれどこからどう描くかを考えていました。白い紙に描くのもありですが、別の紙に描たラベルを画面に貼ったり、色紙に描いてみるのも良さそうです。自分のモチーフにぴったりな方法や画材を考えました。

  • 描いてみよう!

    はじめの一筆をどこにどう描くかは、やっぱりドキドキ...こどもたちの集中力も高い瞬間。ウォーミングアップで体験した、形の見方や余白を意識して描き始めます。下描きはしなくても大丈夫。色がついた文字や図を、自分の目と手の感覚で、そのままダイレクトに描いてみよう。

  • 見たまま描けてる!

    さっそく文字の形の細部まで、ていねいに見ながら描いています。文字としてではなく、形として捉えると、自然と雰囲気が出てきますね。見ることを楽しんでいるのが伝わります。すてきな作品になりそうな予感!

  • どれから描く?

    パッケージのラベルには、たくさんの情報が表記されています。パッと見て目に飛び込んでくるものの中から、どれを描くかを選ぶのも、それぞれの個性です。細かく描き込んで雰囲気を出したい子もいれば、大まかなイメージで大胆に印象を決めていく子もいて、アプローチの違いがおもしろい。

  • 色が「おいしそう」

    こちらは瓶の色が!もう既に、どこからどう見てもいちごジャム。クレパスをぐりぐりと塗り込み、赤の中に白を加えるなど色味も工夫しながら描いたそうです。思わずあの甘い味まで想像してしまいそう。

  • 「ここが描きたい」

    この牛がいるだけで、誰が見ても、森永の練乳!インパクトの強いパッケージデザインです。牛のイラストは色にも細かなこだわりがある様子で、じっくりていねいに描いていました。

  • ピカピカな紙に描いたよ

    コショウやタバスコなどの香辛料が好きだという子。クールなデザインの、GABANのボトルを選びました。このピカピカの紙がぴったりですね!はじめての感触。

  • 「左右対称に描きたい…」

    そんな時は、軽くガイドを描いておくと描きやすいかもしれません。特に高学年になると、こだわりがでてきます。中心線があると、その左右にどんな図柄が配置されているか、目で追いかけやすくなります。

  • 色を塗り込む

    ラベルを別に描いた子は、大きな紙の上に乗せて、本体も描いていきます。ラベルが先にあると、容器の形のバランスが取りやすくなる様子。モチーフは小さなボトルですが、作品にはどーんと迫力がありますね!

  • 切ったり貼ったり

    工作が得意な子は、ハサミで紙を切り貼りしながら工夫して仕上げる様子も。器用に細かいパーツを作って、描画の上に貼り付けるのが楽しい!色がはっきりしているパッケージだと特に引き立ちます。

  • 「すご〜い」

    「描けた!」という達成感のある制作だった様子。見応えのある作品がどんどん完成していきました。みんなの作品を見ながら「おいしそう」「そっくり!」「なんかすごいねこの絵…」「すっぱそう!」こども同士でもいろんな感想が飛び交っていました。

さくひん

in the kitchen②

この回の絵画モチーフは、
果物や野菜、魚や肉といった
“フレッシュな食材”たち。
香りや見た目などの
五感に訴える要素を大切にしながら、
そのもの「らしさ」を
ていねいに表現しました。

「こういう感覚がある」
「こんな雰囲気を感じる」
こどもたちの作品のあちこちに
それぞれの工夫が散りばめられています。

プロセス

  • 何が入ってる?

    この回のスタートに登場したのは、「はてなボックス」。こどもたちが大いに盛り上がる中、手を差し込んでみると...「ん?」「なんだこれ?」感覚を大事にした絵画制作をするために、まずは触わる感覚を目覚めさせていきます。

  • 「たぶんアレだ!」

    未知のものに触れるのはちょっとドキドキするものですが、それぞれ楽しんでいた様子。触り心地だけでけっこうたくさんの子たちが「たぶんあれだ!」「...だね!」とすぐにピンときていました。じゃあその触り心地を絵に再現するには...?ここから「感覚を描く」体験をしていきます。

  • 材料はメディウム

    形や色は全く見ない状態で、触った時の感覚だけを絵にしていく試みです。「おもしろそう!」人数が多いクラスでは、二つのグループに分かれて、お互い触ったものがなんだったのかを当て合うゲーム形式になりました。

  • 毛が生えてる?

    こちらは砂入りのメディウムをこんもり盛って、さらに歯ブラシで表面をちょんちょん。より毛羽立たせようとしていました。

  • こちらも歯ブラシ中

    こちらのテーブルでも、メディウムを塗った上に歯ブラシでひらすらトントントン…。細かい凹凸ができていました。乾くとザラザラとした表面になりそう。

  • ツルツルか、ザラザラか

    触った時の感触を思い出して、ていねいに作り込んでいきました。それぞれ描いた触覚のサンプルを、交換して触ってみると「すべすべしたもの?」「うわ、ザラッとしてる」「きもちいい〜」感覚が伝わったかな?

  • 正解は?!

    オレンジチームときいろチームの感覚を整理してみると、こんな感じ。「この触り心地の食べ物といえば…」と推理していくと...正解は "キウイ" と "しめじ" でした!どちらも触わった感覚が特徴的。

  • いろんな食材

    続いて、たくさんの生鮮食品が登場。みんな「うわあ!」とうれしそう。季節のおいしいものがてんこ盛り。改めて観察してみると、ツルツル、ゴツゴツ、プニプニ、食品の質感は本当にさまざまです。

  • 触れてみよう

    これからモチーフを選んで絵を描いていきますが、その前に実際に触ってみましょう。こどもたちに人気だったのは魚介類。ぬるぬるした感触がおもしろいようで、その感触を楽しんでいました。ただし生モノは念の為に手袋をしつつ...ですが、やさしくね!

  • この感じを描きたいな

    ひとりひとつずつ、自分で描いてみたいモチーフを選びました。好きな食べ物を選ぶ子もいれば、触った時の感触を表現したいという理由で選んでいく子も。「どう描こうかなあ」と考えながら。

  • 色面をつくる

    大きめの画面に拡大したモチーフを描いていきます。まずは水彩絵の具で、大胆にそのものの形を大まかに描いていきました。大きめの筆で、伸びやか!

  • ここから先は?

    さっそく、色の違いを発見して絵に反映させる様子が見られました。しっかり厚みのある水彩画紙なので、何度も色を重ねながら作っていけますよ。

  • りんごのツルツルさ

    モチーフや自分の好みに合わせて、アクリル絵の具+メディウムも。こちらはりんごの皮をつるりとした表面に仕上げるため、グロスメディウムをたっぷりと重ねてみています。

  • やわらかい!

    さんまのお腹、とってもやわらかいんです。「きもちいい」「どうしたら表現できるかなあ」と、触り心地をたしかめながら考え中。いろいろ工夫ができそうです。

  • ブロッコリー

    こちらは、花のつぼみが集まったブロッコリーのつぶつぶした感じを表現したい様子。砂とメディウムを混ぜた絵の具をたっぷりとのせた上に、さらにブラシでつついてあのつぶつぶ感を出していました。これは伝わる!

  • 秋サケ

    今が旬の秋サケの切り身を選んだ子。サケの身に入っている白い筋(サシ)を表現しようと、指で絵の具の濃淡をていねいに調整しています。濃すぎず、でもはっきりと見える白い筋の、絶妙な加減を目指していました。

  • ラディッシュ

    こちらは、ラディッシュの表面の「すべすべな感じを出したい」「ツルツルとはちょっとちがう」とのことで、少しマットな感じを表現するために、タルクの粉をパラパラとふりかけていました。絵の具に混ぜずに、あえて粉で!なるほど!

  • 茄子

    こちらは秋茄子がモチーフ。独特な深みのある紫色を表現するために、モチーフをじっくり見て、少しずつ違う紫を塗り重ねていました。光沢や陰影もついて、なすに触った時のツルツルした様子まで感じられます。

  • 完成!

    どの作品も、それぞれのこだわりや工夫が感じられる作品になりました。質感や触り心地にこだわると、描写の密度がぐっと高まった様子です。

さくひん

in the kitchen③

自分の作品を客観的に見る力は、
制作を深めるうえでとても大切です。
この回は、みんなで作品を鑑賞しながら
「この絵でどんなことを伝えたい?」
「作品の魅力はどこかな?」と、
制作者と鑑賞者それぞれの言葉で
ディスカッションしていきました。

考えが整理されたり
少し客観的な分析ができると、
「もっとこうしてみよう」と新たな工夫や
表現のアイデアも生まれていきました。

プロセス

  • 鑑賞しよう!

    この月に描いたみんなの絵画作品、名作ぞろいです。この回は、1点ずつじっくりと鑑賞する時間を設けてみました。「こだわったところ」「表現したかったこと」などを、まずは作者が話します。発表者は画家風のベレー帽をかぶっていますね。

  • こだわりを聞いて!

    「文字の形に注目しました」「光を表現するためにまず暗い色を塗ってからハイライトを入れました」「ラベルの中の文字バランスが難しかった!」など、作者のこだわりや工夫したところを聞くことができました。こどもたちもスタッフも、みんな興味津々。

  • 鑑賞者のみんなは

    発表を聞きながら、まわりのこどもたちから次々に質問が飛び出しました。「何色使ったんですか?」「ここはどうやって描いたんですか?」鑑賞者でありつつも、制作者でもあるこどもたち。「ここ、すごい!」と思った部分への質問が、すごく具体的です。

  • いろんな感想や意見

    描いた本人が「失敗したなあ」と言っていても、他の子からは「ここがすごい」「何が失敗なの?」と反対の意見を聞くことも。他の人の感想を知ると、自分の作品を客観的に見る力が養われます。

  • 鑑賞の言葉をまとめる

    作品1点ずつに、こどもたちから出てきた言葉が集められていきました。それまで自分では気づかなかった見方や魅力も発見できて、鑑賞者にはもちろん、作者にもたくさんの収穫のある充実した時間でした。

  • 作品の仕上げをしよう!

    それぞれの作品を客観的に見直すことができたところで、ここから仕上げの一仕事。絵画のフィニッシュワークは、最終的な印象を決定づけるとても大事な仕事です。自分で描いた調味料か食材、どちらかの作品を選んで、作品がどう変化するのかを体験していきます。

  • 背景を切り落とす

    まずは作品の背景をいったん切り抜き、モチーフを描いた部分だけの状態にしてみます。切り抜いてみるだけでも、何だか印象が変わって見えるから不思議。切り抜かれた作品は、一気に自由な存在になりました。

  • 構図を再検討

    改めて、作品の構図から考えてみよう。小さめの台紙の上に置くと絵が大きく感じられ、大きめの台紙に置くとゆったりとした雰囲気に。さらに角度を変えたり、一部を切り落としたりすることで、作品の印象を自由自在に変化させることができます。今回は特別に、文字も付け加えて配置を考えていきます。

  • 構図で印象が変わる

    実際に自分の切り抜いた作品を台紙の上に置きながら、あれこれ考えるこどもたち。縦構図か横構図か、斜めにおいてみたり、あえてはみ出させてみたり。いろんな可能性があることを実感している様子。自分がこの作品で伝えたいことを、より強く印象づけるには?

  • 背景色はどんな?

    一緒に見せる色によっても、急にモチーフが引き立ったって見えたり、全体の雰囲気がガラリと変わるもの。鑑賞会でみんなから出てきた言葉もヒントにしながら「自分の作品の良さ、らしさは何だろう?」とていねいに検討していきました。

  • 画材や技法を選ぶ

    作品に出したい効果を考えながら、パステル、クレパス、アクリル絵の具、色鉛筆など、好きな画材を選んでいきます。ローラーを使って全体を均一に塗ったり、マスキングしながら複数の色を使ったり、細い罫線を描いたり。ただし、あくまでも主役はモチーフになるよう、全体の印象に気をつけて。

  • グラデーションが人気

    大きな画面を潔く1色で仕上げる子もいましたが、逆にあえて複数色の背景にする子も。そしてどのクラスでも、グラデーションに挑戦する様子が多くありました。自分の作品の持ち味をいかせるよう、色の組み合わせを慎重に選んでいました。

  • 文字との組み合わせ

    今回は構図でいろいろな可能性を試せるように、文字も配置してみることに。要素が増えると、作品全体に動きを作りやすくなりますね。サイズちがいの3種の文字の中から選び、それぞれ切り抜いていきました。文字の外側をステンシルの型に使って、文字色を変える子も登場!

  • 配置の工夫

    パーツを切り抜き、構図や色などを組み合わせながら、自由に再構成してみると...印象がガラッと変わり、いろんなアイディアが飛び出しました。こどもたちの中からストーリー性が生まれていくのが、見ていておもしろい。元の絵からは予想もつかなかったような、斬新な絵に変身する作品も!

  • コロコロトマト

    こちらのトマトは、あえて画面の端に置いたことで、コロコロと転がりそう!文字の配置からも、目線が行ったり来たりと誘導されます。トマトがくっきり引き立つ緑の背景も、フレッシュな印象ですね。

  • オトナの雰囲気

    こちらのタバスコの作品を見た子がポツリと一言、「このタバスコ、なんかちょっと高そう」。確かに、このしっとり控えめな背景色や、ゆったりと置かれた構図がそう感じさせる印象を作っているんでしょう。オトナのタバスコ、大成功!

  • さんまが...

    泳いでくる!大胆な構図に脱帽です。さんまの絵を大きく切り落とし、あえて頭だけを使うこの潔さ。それとは対照的な、大胆な文字の配置。シンプルな背景に、これらの十分すぎるほどの存在感。すごい!

さくひん

アートスクール・トルネード

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