
ポートレートは、とても興味深いテーマです。いろんな画家が手がけた人物画を紹介しながら、さまざまな表現があることを見ていきました。写真のようにそっくりに描くことのほかにも、「その人らしさ」の表現を探求してみるのもおもしろそう。

ウォームアップをかねて、「ある人」への質問とその答えを見て、どんな人物かを想像して絵を描いてみてもらいました。誕生日や身長、血液型のほか、家族構成や最近熱中していることがあるか?などの質問が並びました。これらのちょっとした内面の情報を見るだけでも、みんな想像が膨らんでいました。

それぞれが想像して描いた絵を共有したところで、とある人が登場。「ある人」は、トルネード卒業生のさきちゃんでした!「おお〜」と思わず声があがりました。現在大学生のさきちゃんは、夏休みの帰省でしばらく札幌にいることから、今回のプログラムでみんなのモデルを引き受けてくれました。ようこそ先輩!ですね。

トルネードで一緒に制作していた時期もある高校生のみんなは、お久しぶりの再会となりました。さっそく、モデルのさきちゃん研究をスタート。それぞれが気になった部分に注目し、目、鼻、耳、腕、首など、その人らしさはどこに表れるのか?を探りながらスケッチしていきました。

モデルを前にひとつの部分だけに注目して描くのは、何だか少し新鮮な体験でした。パーツだけでも、意外と誰だかわかるものです。お互いに作品を見せ合いながら、次々にいろんなパーツを描いてみました。短時間でぎゅっと描くのは、みんな「楽しい!」という反応。

ひとしきりスケッチの枚数を重ねたところで、休憩を兼ねてさきちゃんへの質問タイム。はじめに紹介した情報のほか、スケッチしながらもみんないろんなことが気になる様子。「好きな食べ物はなんですか?」「"INFP"(性格診断)の結果はなんですか?」などと興味津々で、次々に質問が。

その後もみんなの制作中に同じポーズをとり続けるモデルさんは、合間にたびたび休憩をとります。おしゃべり好きなラボの子たちが多く、特に高校生は年齢が近いこともあって楽しそう。「100万円をもらうのと、1/2の確率で一千万円当たるのとどっちを選びますか?」どうにか「らしさ」を見つけたい!と質問が絶えません。

さきちゃんについてあれこれ知りながら、どんなポートレートにするか検討していきました。ラフスケッチを描いたり、迷った時は追加で質問をしたり、あれこれ画材を試したり。各自次回の制作に向けて、構想を練っていきました。

質問に対するさきちゃんからの答えは、表現の大きなヒント。こちらの人は、さきちゃんの性格を質問した際に得た「迷いやすい」という答えをヒントに、揺れる様子を描いてみたいというアイデア。カラフルなラインが特徴的。

さきちゃんが登場する前から既に、「とにかく優しそうな人」と想像している子が多かったようです。その「優しそう」という部分に焦点を当てて表現しようと、こちらの人は色の構成で表現を試みていました。こういった感覚的なラフスケッチは、後々の制作でとても大事になっていきます。

どの角度から描く?背景どうする?どんな構図にする?あれこれ考える、楽しい時間です。実際のさきちゃんの姿をスケッチしている間に「ここから描きたい」と直感的に決めた人もいました。

「さきちゃんらしさ」を表現できるよう、画材のセレクトも大事な要素。画材で人気だったのは意外にもクレヨンやパステルなどでした。さらに使いたい画材に合わせて、水彩画用紙、キャンバス、木パネル、木炭紙などから支持体を選択。ポートレート制作に興味がある人も多いので、次回からの本制作が楽しみなようです。

前回のラフ制作を踏まえ、今日から2回かけてポートレートの本制作。モデルのさきちゃん「らしさ」を表現していきます。自分で選んだ支持体を受け取り、画材を準備。今年からラボになった中学生たちも、絵画制作のセッティングにずいぶん慣れてきました。

それにしても、さきちゃん「先週と何かちがうような…」聞いてみると、美容室に行ってきたそうです。髪の毛の色に変化あり!「かわいい」「それもいいね」とラボのみんなからの声。そういえば、さきちゃんの「自由さ」を描きたいという人もいました。まさに!

2回目となる制作ではすっかりさきちゃんと打ち解けて、仲良くなったラボのみなさん。前回休みだった人に「さきちゃんってね、○○が好きでね…」と教えてあげる場面も。

「こっちを見てください!」「笑顔でお願いします!」どんな注文にもニコニコと応じてくれるさきちゃん。トルネードでの長い制作経験があるので、みんなが何に困るのかをよく察してくれます。特定のポーズを描きたい人は、カメラで撮影させてもらい、写真も制作の参考にしていました。

中1で今年からラボになった人の中には今回、初めてのアクリル絵画制作をするという人も。未知で、楽しみで、ドキドキ!さきちゃんの「ポジティブさ」を表現したいとのことで、明るくあったかい色合いから使ってみるとのこと。

「笑顔」は日常で人の表情によく現れますが、実は肖像画には少ないのです。モデルさんがずっと笑っているのが難しいこともありますが、描き手側も自然な笑顔を表現するのは難易度が高いもの。でも...描きたい!描いてみたい!

白いキャンバスを前に、はじめの一筆はちょっと緊張するもの。ですがこの方は、最初からはっきりくっきりとした色を置き、思い切りの良い描きっぷり!描きたいイメージにまっすぐです。これには高校生たちも「すごい」とびっくり。

こちらは「暖かさ、やさしさ」を表現するために、パステルを選んでいました。粉の画材は、ぼかしの表現などにも適しています。まだはっきりとした形になっていないイメージを、少しずつ、じわりじわりと描き進めていきたい様子。

前の時間にジュニアのみんなが使っていたアクリルメディウムを、ラボでもちらりとご紹介。絵の具の色味や濃淡のほか、凸凹したテクスチャーもつけられます。「いいかも!」とさっそく自分の制作に取り入れていた人がいました。

こちらはさきちゃんのイメージに「自分が好きな花を重ねて描きたい」とのことで、画面の中に少しずつ花が咲き始めました。好きなものや得意なものは、やっぱり表現にからめやすい。さきちゃんらしさに、描き手の個性が加わっていきました。

こちらは「ふだん見られている意識が強い"顔"よりも、あまり見られないところを描く方が、その人の素が出そう」ということで、足元に注目。おもしろい視点をもっていますね。モデルが着ているゆったりした服の皺なども、しっかり描き込んでいます。

こちらは「いろんな角度からみた姿を1枚の絵に収めてみよう」と、ななめ、真後ろ、真横など、モデルのまわりをぐるぐる。場所を変えながら、さまざまな角度からのさきちゃんを描いていました。

さきちゃんのおやつをヒントに生まれたというキャラクターが登場。「かわいい!」さきちゃんが休憩中におやつを食べているのを、しっかり見ていたようです。イカ?おむすび?タコ?いったい何を食べていたんだ?!

色合い、色の強弱、色と色の境界の作り方など、絵画の表現要素は本当にたくさんあります。自分はどう表現したいのかを軸に、制作しながら選んでいます。

迷ったり、どうしたらいいか困った時は、近くの人に見てもらったり、トルネードのスタッフに意見を求めたり。途中でスケッチを複数枚描きながら、検討を重ねる様子もありました。それぞれの感じた「さきちゃんらしさ」を、試行錯誤しながら追いかけています。

いよいよ作品の仕上げの回です。それぞれ自分が「こう思った」「こうしたい」というイメージに素直に向きあって制作していきましょう。

トルネードのラボは、中1から高2までの計5学年。小学生でいうと、1年生から5年生と同じだけの歳の差があります。体力はもちろん、制作の経験量も、全然ちがう。中学生たちは、先輩たちのペース配分などを参考にしながら、慣れない長時間の制作についていこうとがんばっていました。

制作時間が長い分、時折出てくる迷いにも、じっくりと考えることができます。こちらは「さきちゃんの姿はしっかりと描けたけど...」そのまわりに良い感じの余白があり、これをどう仕上げるかを検討していました。「候補の色はあるんだけど、これをどう塗るか、どう仕上げするか」試作を重ねて、慎重に進めていました。

絵の周りを通り過ぎる人たちが「うわっ」「すごい!」とつい発言するほどのインパクト。パステルで何度も何度も色を重ねた上から、さらに細部の描き込みをして、密度を高めようとしています。たいへんそうですが、本人はとっても楽しそう!

「これ、楽しいかも!」という声が聞こえました。クレヨンで塗った後に、修正が必要なことに気がついて、ナイフで削っていたところ...むしろその削りの感触やテクスチャーがとても気に入った様子。その後の制作にも、この発見をうまく生かしていました。

「いろんな話は聞いたけど、やっぱりまだモデルの全部を知ってるわけじゃないから、その謎さを描きたい」というこちらの方。うんうん、そうだよね。そうかんたんにその人の全てを知ることなんてできません。アクリル絵の具をいろいろな方法で重ねています。

絵画モデルは、同じポーズでじっとしているのがお仕事です。これは想像をはるかに超える大変さ!一度決めたポーズを、角度も変えずに同じ体勢を維持し続けるのは、途中休憩をはさまなければとても続けられません。描き手も一生懸命ですが、描かれる立場のさきちゃんも、みんなのがんばりにしっかりと応えてくれました。

各自の「完成!」が見えてきて、続々と壁に展示する作品が増えていきました。どの作品にも、それぞれのこだわりが詰まっていて、見どころいっぱい。同じモデルなのに、独自の発想を加えて表現する力があると、こんなにちがう絵になります。できあがった作品をどう感じるか、最後にさきちゃんにもコメントをもらいました。

はじめに「ドキッ」とした作品は、こちらの青い作品とのこと。多くの子が"やさしそう"とか"温かいイメージ"を描くと聞こえていたので、この青に「えっ?」と意外に感じたそうです。描いた人にその理由を聞いてみると「意外性をねらいたかった」とのことで、まさにねらいどおりの効果が出ましたね。

絵に描かれて「あー確かに自分っぽいかも」とさきちゃんが感じたのは、足元に一緒に描かれている飲み物の存在。何気なく置かれている様子ですが、描いた人に聞くと「描いた方が画面のバランス的に良さそうだったし、本人のものだから」とのこと。持ち物には所有者の人柄や性格がよく表れるということですね。

こちら、中1の男の子の作品です。画面の中に、ぽつんと小さく描かれたさきちゃん。そのまわりには、さきちゃんが教えてくれた「好きなもの」や、身近なモノたちが描き込まれています。制作の様子からは、まだまだ描き続けられそうなエネルギーが感じられるほどでしたよ。

計6日間に渡る絵画モデル、おつかれさまでした!ラボのみんなも、たくさんの刺激や発見を得たようです。描いたモデルさんのことは、ずっと描き手の記憶に残ります。またトルネードのみんなに会いにきてね。