この回のトルネードには、カラフルな風船がたくさん。もうこれだけで何だか気分が上がってしまうこどもたち。でもよく見ると、何だか大きさが微妙にバラバラなのはどうして...?
さらにモコモコの不思議な形が登場したので、みんな「おや?」と不思議そう。でもすぐに「なんかかわいい!」「作りたい!」と興味津々。「雲だ!」「雲をつくるの!?」とびっくりな反応。そう、トルネードに雲をたくさん作ります。晴天じゃなくて、曇天だよ!
以前からトルネードの教室に飾っているこの作品を見ていた子は「あれがやっとつくれるんだ…!!」とひときわうれしそう。実はこの中身には風船が入っています。「ああ、なるほど!」「おもしろい」冬に張子制作を経験した子どもたちは、紙を何層も貼って作るという構造がすぐにピンときた様子。
まずは張子の原型になる形を風船で作ります。くっつけ方次第でいろんな雲の形ができていくのがおもしろく、またいろいろ迷ってしまうポイントでもあります。「こっちにしようかな」「いややっぱりそっちの方が...」など、できあがりの雲の形を想像しながら組み立てていました。
それぞれイメージを膨らませながら、風船をどんどん付け足していました。張子の制作は、大きくなるほど大変だよ、と声かけをしましたが、いや、それでも!とすごく立派なサイズの雲を作る子も。意欲が高い!仮止めしていたテープに引っ張られて、時折「ボンッ!」と風船の破裂音がするなど、賑やかな時間でした。
紙を貼っていく前に、ちょっと下ごしらえを。のりのつきをよくする+風船の隙間にできる形を調整するため、下地にガーゼを一層張り込みました。薄い幕のような役目をすることをみんなよく理解できていたようで、この作業もとてもスムーズでした。
小麦+水を温めると粘り気が出る性質をいかした"小麦のり"を、鍋にたっぷりと用意しました。一度貼ったら剥落がほとんどなく、粘着力がとても強いという利点があります。手を水ですすげばさっと洗い流すこともできて、小麦アレルギーさえなければ、最高ののりです。
今回の張子制作では、刷毛ではなくスポンジローラーを使ってみることに。たくさんの紙に均一に塗り広げることができて、制作がとてもスムーズになりました。きれいにのりがつくと、みんなの作品も少しクオリティがアップした気がします。
下地の層には、再生紙を使うことにしました。水分が浸透しやすいことのほか、柔らかく曲面によく貼りつきます。でも、水分を含みすぎると破れやすくなるというデメリットも。特に1層目はまだ風船が固定されていないため、貼るたびにグラグラ...と不安定。素早く、全体に紙を貼ろう!がんばりどころです。
一通り紙を貼れたら、次は2層目の紙貼りです。貼り終えた部分がわかるように、1層目とはちがう色の紙を使って、ぐるりと全体を貼り込んでいきます。紙を貼り重ねていくと「すごくくっつきやすい!」「きもちいい!」などの声が。穴を見つけたら、しっかり塞いでおこう。
1層目よりも随分とスピーディーな様子で、作業しながらも「貼る紙はもっと大きくてもいいんだ」「こうしたらもっと早くてきれい」など、いろんな声があがりました。繰り返すうちにだんだんとコツを掴んできたようです。
3層目からは、再生紙よりも強度が高い、真っ白な障子紙を使いました。大きな張子作品ですが、破れにくい障子紙を使うことでだんだん強く、丈夫になっていき、のりの水分を含んでもグラグラ歪みにくくなっていきます。
作品の大きさにもよりますが、だいたい4層くらいが目標。だんだん仕上げに近づいていますから、表面の仕上がりにもこだわりたいところです。順調に進んだ子は「もっとやる!」と手が止まらない様子で、下の層の紙が透けないほど、真っ白になっていました。
最後に、筆やハケで紙のめくれや浮いている部分を押さえて仕上げました。のりが固まると修正しにくくなりますから、ここは手を抜かず念入りに。ぐるりと全体を見てていねいに仕上げていくと、表面がとてもなめらかになりました。
今回の制作はここまでで終了。次回まで、ゆっくり時間をかけて乾燥させていきます。うまく貼れていたら、叩くと「コンコン」と音がなるくらいカチコチになるはず!
1週間乾燥させたみんなのくも。モコモコ並んでいる様子がかわいいらしい。乾くと白さが増して、すごく軽くなっていました。さらに柔らかそうな見た目に反して、叩くと「コンコン」と音が鳴るほど、固い!
芯の部分は十分な強度ができていますが、さらに表面を白くすることと、継ぎ目をなめらかに仕上げるために、今回のプログラムの前半はまた張子の制作を少し続けます。小麦粉のりの手触りが気に入った子も多いようで、うれしそうな様子。
固いベースができたことで、仕上げの紙は「すごく貼りやすい!」前回よりもかなりスピードアップしていました。のりの気持ち良さに、あえてローラーを使わずに「手でのばしたい」という子も。のりをつけた手でくもをなでると、浮いていた紙がピタッと張り付いていく。ナデナデ...と自分のくもが愛おしい様子。
下地に使った色付きの紙の色がところどころ透けている人もいましたが、仕上げの紙を貼ったら「よかった、ちゃんと白くなった…!」安心の声も。張子のコツをすっかり覚えて、仕上げの方法にはそれぞれ工夫が見られました。十分な層ができても「まだまだ貼りたい」と、形にこだわりたくなる様子。
こちらの子のくもは、特大サイズ!貼り終わるのか心配になるほどでしたが、「大きな紙でも上手に貼ればうまくできる!」と自分でコツを発見して、見事に作りあげました。がんばった!
張子の仕上げができたら、くもは再度乾燥させるため、教室の一角で一休み。ちなみに今月は、晴れの日でもトルネードの中は毎日くもだらけ。かわいいくもに囲まれて、まるで天国ですよ〜!
そしてここからは一転して、小さくて細かな制作が始まります。くもがあるなら、何がありそう?「雨!」「かみなり」「風が吹く!」そうそう、くものまわりにはいろんな天気が発生します。そんな天気の「かたち」を考えてみましょう。
雷や雨のかたちは何となくイメージがあるかもしれませんが、風のかたちって...?それぞれいろんな想像が膨らみます。そこでまずはいろんな図形のカードを元に、天気を連想するようなかたちを探っていくことに。これらを組み合わせれば、どんなかたちでも自由自在。おもしろいパーツになっていきそうです。
材料は小麦粘土です。手触りがおもしろい材料が続いて、みんな「ひゃー!」と大喜び。この粘土は小さい子どもたちにも扱いやすい質で、なめらかな形が作り出せるのが特徴です。「小さい時に使ってたよ」「なつかしい」「久しぶりだ!」
粘土の扱いを確認するために、試しに球体をみんなで作ってみたら...「こんなにきれいにできるの!?」「つるっつる!」しばらく手の中で転がしていれば、自然とシワやデコボコがなくなります。ていねいに作っていこう。
モミモミしたり、平らに広げたり。手で触っているうちに、いろんな形が思いつく。「こうかも」「これもいいかも」と、ヘラや棒などのいろんな道具も使いながら、「ああ〜楽しい!」
図形のカードに描かれているのは平面ですが、粘土で作るのは立体の形です。例えば「三角」のカードであれば、三角柱でも、ピラミッド型でも、同じシルエットになればOK!ちょっと頭を使いつつ、ゲーム感覚で取り組みました。
ひとつのカードでも、いろんなかたちのバリエーションが生まれていきました。できたものを並べるていくと、すごい数に!多いクラスでは100個以上もありました。「その手があったか!」なんて発見もたくさん。
小麦粘土も、数日置いておくとカチコチに固くなります。これらの形を使って、次回はさらにおもしろい形に展開させていきますよ。お楽しみに!
何重も紙を重ねて、すっかり丈夫になっているみんなのくも。天井から吊るす用の糸をつけるため、くものてっぺんにめうちで穴を開けます。そういえば中には風船がある...「こわい!」「割れたらどうしよう」「いや、割れて欲しい!」ヒヤヒヤ・ワクワク。開始から盛り上がる!
中の風船が割れても、この通り。しっかり固まったくもの形は、そのままです。細い糸で天井から吊るしてみると、空間でくるくる、ゆらゆら。ぽっかり浮かんだ様子が「かわいい!」
作品に糸がついた子から吊るしていくと、教室の一角がどんどんくもだらけに。天国みたいで、ここでお昼寝したい〜、いい夢見そう!
ここからは、くもから吊るすオーナメントを制作していきます。前回みんなで協力して作ったカラフルな小麦粘土のかたちを出してみると、すっかり固まっていました。これを「原型」にして、抽象的な「天気」のかたちをデザインします。
柔らかい油粘土の上に、原型をいくつか押し付けると...おもしろい形の凹みができます。2つ3つと組み合わせてみたら、どんな形ができるかな?気に入った形があれば、単体でそのまま使ってもOKです。「好きな形を考えていいの?」「うわーおもしろそう!」
そして油粘土につけた凹みの中に、溶かしたキャンドル用のワックスを流し込んでいきます。ワックスを使うと聞いて「やったー!」と喜ぶこどもたちが多数。でもこれはものすごく熱いので、やけどによくよく注意してね!
ワックスは、クレヨンと一緒に溶かすといろんな色を自由自在に作ることができます。どれにするか迷いそう。単色でもかわいいですが、複数の色を組み合わせるのも楽しそうですね。
制作をはじめて少しすると、ハプニングが続出。型の穴が浅いと「ああ!こぼれちゃう」さらに固まったかたちを取り出してみた子が「(形が)薄っ!」など。「どこに問題が?」とその都度考えて、それぞれ工夫していきました。
原型を油粘土にしっかり押し付け、深めに穴を作っておけば、この通り。ワックスのきれいな形が取り出せそうです。どうやら型の作り方が大事そうですね。
さらにワックスが冷えて固まる前に、雲から吊るすための紐を沈めておきます。ゆるすぎず、かたぎず、挿し込むタイミングを見計らっていこう。
コロンとした丸っこい形に仕上げたい人は、同じ形をふたつ作って、組み合わせていきました。色違いの双子ちゃんも、くっつけてみたら印象が変わっておもしろいですね。
ひとつの原型を、油粘土に何度か押し当て、花のような凹み型にしたり、小さな半球をたくさんつくったり。ひとつの原型からアイデア次第でいろんな形が生まれていました。
ひとつの凹みに、ちがう色を次々に流し込んで色の層を作っている子も。「こんなふうにしたいな」「できるかな?」と想像して、やってみて、実際はじめて取り出した見た時に「ほんとにできた!!」とうれしそうな顔に。
凹みに手を加えて、新しい型にする人も。こちらは穴にヘラなどを押し当てて、ザクザクと傷をつけていました。流し込んだ白いワックスを取り出すと、この通り!炎のイメージだそう。素敵です。
いろんな原型で作った単体の形を、ビーズみたいにひもに通してワックスに「ちゃぽん」。全部がまとまってコーティングされて、ひとつにまとめる人もいました。シンプルな形も、重ねることで新しい造形に。美しい!
ふたつみっつと作るうちに、型やワックスの扱いのコツを掴んでいく子が多かったです。それぞれの好みやアイディアで、たくさんのオーナメントができていきました。
コツコツと技法を研究していた子は、自分がイメージした通りの、理想の形を作れるようになっていました。形はシンプルながら、どの角度から見てもツルツル、きれいな形。本人も「これはがんばった」と満足そう。
「これはカミナリだ」「雨」「雪」「ひょう」など、それぞれいろんな天気ができていきました。雲の下に穴を開け、抜けないよう差し込んだら、作品完成!ひとつの作品づくりを通して、いろんな技法や素材を体験することができました。