
絵は「具体的な形のあるもの」を描くものばかりではありません。絵の具の染みや殴り描きのように見える「形のないもの」、でも動きやエネルギーを感じる作品もたくさんあります。アンフォルメル、タシズム、抽象表現主義、具体派などいろいろな作品を紹介しました。

このプログラムでは手先ではコントロールできないくらい大きな画面で、いろいろな表現を体験していきます。まずは1800cm角の紙と、墨汁、大きなブラシを用意。画面が大きいので、二人一組になって床に紙を広げるなどの準備をしました。

紙のうえで体を大きく動かして、黒い墨が生み出す表現を試してみよう!...と言っても、はじめはみんなおそるおそる、何をどうしようかと緊張の面持ち。

10分間で取り組んでみましたが、とりあえず手は動かしながら、線を引いたり、黒の面を広げたり、ふわっと筆を振ってしぶきをあげてみたり。だんだんと画面がにぎやかになってきましたね。

その様子を見ていたサポート役の人たちは、クラス全体でどんなことが起きているのか客観的に観察できていました。描き手と役割を交代すると、開始と同時にピシャ!と一撃。墨の飛ばし方に勢いがある!

この体験は描き手だけではなく、その行為を見学している側もすごくおもしろい。まさにライブペインティングです。他の人のチャレンジを見ているうちに、だんだんと発想が広がります。

全員が一通りの経験したところで、「次からは、他の人がしていない表現をしてみてください」と伝達。「えーっ?」と声があがりつつも、それぞれグルグルと新しい行為を考えはじめた様子で、一気に盛り上がりました。

教材テーブルにある残りが少なくなったガムテープを見つけて、スタンピングしはじめた人も。手描きにはないタッチが描画に加わり、新鮮味のある表現が広がっていました。

なんと「見ないで描く!」と目を閉じて描くという人も。サポート役の人が見守ってくれていたので、何か危険があった場合には知らせてもらえるだろう、という安心感。

こちらは大画面に書道を始めた?! と思いきや、どうやら文字ではない。「とめ」「はらい」などを使って画面を構成していくという発想でした。おもしろい!

次々に制作していくため、描き終わった作品は天井のポールに吊るしていきました。が、運んでる途中で「破れちゃった!あちゃー」でも、それもちょっとカッコいいのでは?

それぞれ独自のチャレンジをしたり、その様子を鑑賞しているうちに、だんだんと体が動くようになりました。かがんだ姿勢も画面の大きさも、体力的にかなり疲れる制作だと思いますが、後半になるほど熱気ムンムン。

画面の動きと体が一体化していくうちに「楽しい!本当は紙の上でごろごろ転がりたい!」無心に取り組むと、画面にもエネルギーが溢れていくのがわかりました。

ラストはみんな筆運びも軽やかな、思い切りのいい制作でした。最初の取り組みとは一転し、「早くスタートしたい」とさっさと準備を整え「10分じゃ足りないよ!」という声も。新年の幕開けにふさわしい躍動感!

1950年代から活動をはじめた具体美術の作家たちは、足で描く、絵の具のボトルを投げつける、ラジコンカーで描くなど独自性と革新性に満ちた絵画手法で美術の概念を広げました。この回はラボのみんなも自分で使う絵の道具から作り、その使い方を工夫しながら表現の幅を広げていきます。

まずはアイディアを出し合って、自作の道具を作ります。中でも繰り返しの模様ができる回転する道具は、その使い方によってもいろいろな展開ができることからみんなの人気ツールに。

「大きな道具を作りたい!」と、棒にいろいろなパーツを固定してオリジナルの道具を作成。ゴシゴシできそう。古びたホウキも人気アイテムでした。

こちらの人が見つけた道具は手のひらサイズの小さめですが、威力は抜群!「これは研究しがいがありそう」と気に入って、いろんな表現を試していました。

道具を自作すると思い通りの狙ったタッチが表現できることもあれば、全く想像と違った結果になることも。それはそれでまたおもしろいらしく、偶然できたものからいろいろな新しい表現が生まれました。

自分の制作だけではなく、他の人たちが何を使ってどんな結果になったのか、すごく気になります。「うわ、すごい」「いいなー」参考になりそうな取り組みがたくさん。

ものの形だけではなく、動きが紙の上に記されていく様は、実にユニークです。描き手も鑑賞する側も、先が読めない意外な制作で偶然性を楽しみました。

「楽しい」「これは気持ちいい」など、その都度いろんな声が聞こえてきました。制作中の「音」もおもしろく、シャッ、ペチッ、カラカラ、こどもたちの声とはまた別の賑やかさ。

後半は色も少しずつ取り入れました。同じ道具を使っていてもこれまで見えていた表現とは全くちがう種類の刺激が感じられ、画面上の空気感が変化していきました。

たっぷりの墨の表現にさまざまな色が重層的に重なり合う中で、予期せぬ表現も生まれていました。「なんかこの絵は危険な感じがする!」

「おもしろい」「気持ちいい」などそれぞれ感覚的な表現を追求しているこの制作。それに題名をつけるとしたら?と聞いてみると「生命感」「水の勢いみたいなもの」「台風」など自然や動きに関するものが多くありました。

前回までの作品を改めて見直してみると、実に多種多様な表現をしていたことを振り返ることができました。まるで”表現サンプル”とでも呼びたくなるような作品群。

この回はこれまでの制作を踏まえ、自分自身で描きたいテーマを決めて表現手法を選びながら制作に取り組みます。大きなサイズの紙に、今回は時間をかけてじっくりと向き合います。

「どうしようかなー」と言いながら、自然と体が動いていました。「とりあえずこの技法が気になる」「少し描きながら考える」という人も多く、てらいなく制作スタート。

「一度描き始めた後にでも、リカバリーはできる」「意外といいこどが起きるかもしれない」など、真っ白な画面を汚すことを必要以上に恐れない。良い姿勢です。

描いているうちに手がかりがみつかり、作品全体の構想が広がっていったようです。どんな絵にするか、制作の途中で変化していく人も多数。

小さな画面では難しいだろうという表現も多くありました。普段の制作とは全然ちがったプロセスで取り組んでいたことも特徴のひとつ。

思うがままに、感じるままに、絵の具を重ねています。できたものを見て、その次の手を考える。経過を楽しみながら制作をすすめていました。

できる表現は無限にあります。使う色、絵の具の薄め方、ローラーに巻かれている量のちがいなどで、まったく異なる表現に変化する。

描きたいことに適した道具が見当たらない、また画面に何か変化が欲しい時などは、それぞれのタイミングで自作の道具を制作。

1枚の画面に何度も表現を重ねていくと、深みのある画面表現になっていきました。見ても見ても見飽きない不思議な魅力。

形のない表現に感覚が研ぎ澄まされていくと、いろいろなところに目が止まるようになります。「パレットもいい感じ!」「そうそう!」

自分の描きたいもの、表現したいことを、抽象/具象それぞれの方法で製作していきました。大きな画面での制作は「たいへん」「でも気持ちよかった!」