2025.1 かるがる

かるがる①

みなさんのおうちに「民芸品」はありますか?
たとえば北海道では熊の木彫り、
東北地方ではこけしや赤べこ、
群馬のだるまや博多人形など、
日本全国にはさまざまな民芸品が伝わっています。

日本で大正時代に起きた民芸運動では
その地の無名の工人たちが作る手仕事が注目され、
”日常生活にある美”の価値が再発見されました。

このプログラムは日本の手仕事に敬意を払い
民芸のひとつ、張り子の技法に挑戦。
古くから伝えられてきた
さまざまな材料・技法を体験していきます。

プロセス

  • ”みんげい”体験

    美術の世界には、特別な人たちによって、特別な地位の人たちのために作られた希少な工芸作品が多く残されています。”民藝(民芸)”はそんな美術作品とは少し違う、「民衆による、民衆のための工芸」といわれます。

  • 伝統工芸の「張子」

    家の中にある飾りやおもちゃ、日用品など、様々な民芸品は現代でも人気です。各地に伝わる民芸品を見ながら、今回みんなで挑戦する張子について紹介しました。

  • 特徴はまるっこさ

    主な素材は紙ですが、陶器のような真っ白い肌合いを持ち、まるっこくてどこか可愛らしい印象。細かな部分の作り込みができない分、絵付けで仕上げをしていく楽しさがあります。

  • どんな形にしよう?

    今回の取り組みでは、動物系、建物系、乗り物系、キャラクター系など、どんな分野の張子でもOK!「ミジンコがいいかも」という子もいたりして、こどもたちから出てくる発想がおもしろい。

  • 原型づくり

    作りたい形が決まったら、さっそく粘土で原型づくり。突飛な発想で、「そんなの見たことないよ?!」みたいな形のものでも、自由に作れるのが張子のいいところ。

  • 首振りにしたい

    首をふるので有名な赤べこ。自分の作品でも「首振りはできる?」と興味津々な子が各クラスに数名。工程が複雑で難易度高めなことを伝えると「それでもやりたい!」と挑戦する子がちらほらと。

  • あれもいい、これもいい

    あれもいい、これもいいと迷いながらも粘土での成形は楽しそう。それぞれの原型作りを進めて、できた人からぐるぐるとブルーのフィルムで包んで仕上げます。

  • 和紙を使う

    今回は日本に古くから伝わる和紙を使用。風合いの良さも人気のポイントですが、洋紙よりも繊維の絡みが強く、水に強いことも特徴のひとつ。濡らして絞ってもやぶれにくい、しなやかさを持っています。

  • のりも手作り!

    張子に使うのりは、小麦のり、米のり、片栗粉のりなどいろいろな種類のものがあり、張子作家さんによって好みも様々なようです。今回は小麦のりを使いました。しかも自分たちで混ぜた「自作のり」。

  • 使い方にもコツがある

    のりは和紙に直接塗るのではなく、いったん机のシート上にハケで塗り広げ、そこにちぎった和紙を乗せて「和紙シール」のようなものを作ります。

  • 和紙を貼り付けて層にする

    まずは形の全体にぐるりとまんべんなく貼っていきたいところ。始めてみると予想していた以上に和紙を使うことがわかり、のり付きの和紙を作っても作っても、あっという間になくなっていく!

  • 表面の様子を観察しながら

    下地の青いフィルムの色が透けて見えている部分は、和紙の層がまだ足りないところ。紙が薄いと中身を取り出した後にへこんでしまうので、貼り足りないところを注意深く確認しながら進めました。

  • めくれを押さえて

    のりの染み込み方がちょうどいいと、和紙がピタッと張り付くので「気持ちいい」「楽しい!」段差やめくれがある部分は指でおさえて、最後の手段は...筆で撫でてみる!「すごくツルツル」

  • 乾燥させよう

    和紙をきれいに貼り終えたら、次回までゆっくりと乾燥させます。白い形が抽象的でおもしろく、「なんかかわいい」「どうなるのかな?」続きが待ち遠しい!

かるがる②

日本に古くから伝わる材料や技法の中には
とても扱いが難しく、
繊細な注意を要するものもあります。

また工芸品はいくつもの工程を経て作られます。
固さやカーブ、厚みや力加減など
いずれも言葉や数字には表しにくいものが多く
その技は工人たちの"手の感覚"に支えられています。

こどもたちは初めて触れる素材に新鮮な様子です。
それぞれの作品をとても大事そうに扱い、
各工程の制作を楽しみました。

プロセス

  • カチカチです

    粘土の原型全体に、ていねいに紙を貼り重ねた作品を、静かに寝かすこと約7日間...水分はほぼ蒸発し、小麦粉のりでカチカチに固くなっていました。

  • 切っちゃうの ?!

    ここから中の原型を取り出すために、固くなった紙に切り込みを入れてパカっと開く必要があります。「どのくらい切るの?」「ちゃんと出せるかな」大事な作品に刃物を当てるのはちょっとドキドキ...

  • 出てこい!

    おそるおそる割って開けてみると...「おおおっ!」紙の層がしっかりと作られていて、想像以上に強くてじょうぶにできていました。前回のていねいな紙貼りが功を奏しましたね。

  • 軽っ!

    中の粘土をすっかりきれいに取り出してみると、思った以上に軽くてびっくり。さっきまで粘土でずっしり重たかったのに...その違いになんだか愛着が増すようです。

  • 切れ目を紙で閉じる

    できるだけ目立たないように、切れ目の部分を前回も使った和紙や小麦のりでていねいに接着します。

  • 見慣れない画材が登場

    さてここからは、普段あまり見慣れない画材や技法が続々と登場。できるだけ伝統的な手法を体験できるよう、昔ながらの天然の画材を揃えました。天然のものは良くも悪くもパワーが強いため、扱いには繊細な注意が必要です。

  • 胡粉って?

    この真っ白な粉は日本古来の顔料で、貝殻から作られている「胡粉(ごふん)」。そこに動物の皮脂からとれる「膠(にかわ)」を混ぜて、陶器のような質感に仕上がる白の絵の具を作ります。

  • うまくいくと

    日本の伝統人形にも使われているように、表面がツルツルでやわらかな白肌に近づきます。反対に、乾かないうちに胡粉を塗り重ねるのは絶対にNG!急激な乾燥もひび割れの要因ですのでご注意を。

  • 胡粉を練る

    「練るってどういうこと?」粉の状態に膠液を1滴ずつ落として、指1本で混ぜていきます。耳たぶくらいの硬さを目標に、状態をよくみながら「柔らかすぎず、硬すぎず」。

  • ツヤが出てくる…

    胡粉と膠が混ざり、だんだんまとまってきたらお皿にペチペチと叩きつける!その名も「百叩き」。作業しているうちに、だんだんとツヤが出てきました。

  • お湯で解く

    ツヤが出てきた胡粉の塊にお湯をかけ、3分待ってお湯を捨て、さらに少量のお湯で解く...それでやっと使える状態に。細かな工程が多く、現代の"買ったらすぐに使える絵の具"とは全然ちがうぞと実感。

  • 棒を刺す?!

    今回は胡粉を筆で塗るのではなく、胡粉の中に丸ごと張子をポチャンとつけていきます。手で持つところがないため、自分の張子に棒を刺しました。「りんご飴みたい」

  • たっぷりの胡粉液にひたす

    みんなが練って作った胡粉を集めたら、たくさんの胡粉液ができました。そこに張子を潜らせて、全体をコーティングしていきます。それぞれチャンスは1回!

  • 緊張の一瞬

    「うわー」「いくぞ」長くつけると紙にしわができてしまうため、つけるのは1秒、つまり一瞬!張子は中が空洞なので、入れた途端に浮力で上がってくる。それを一気に沈めるためにちょっとコツがいります。

  • 最後まで気が抜けない

    胡粉が塗られた張子をゆっくり移動して、そっと台に刺すところまで緊張は続きます。胡粉液の垂れを筆でやさしく拭き取ったらひと段落。時間をかけてじっくり乾かしましょう。

かるがる③

張子は細かな形の作り込みが難しい反面、
色を使った絵付けの技は、
作り手の腕の見せどころといわれています。

さまざまな伝統芸術・工芸で使われている
顔料や膠などを取り入れて
日本の手業を体験しました。

現代の子供たちの発想や感覚が、
思いがけないユニークな表現を生み出し、
張子玩具の素朴で温かい雰囲気に
ぴったりの仕上がりになりました。

プロセス

  • 岩絵具を使おう

    岩絵具は千年以上も前から受け継がれる画材。絵画や工芸、建築にも用いられる粉末状の顔料で、紙や布などの素材に定着させるために膠と混ぜて使います。

  • 面相筆

    そして今回は細かな描き込みをするため、面相筆を用意しました。字の通り人や動物の顔や表情を描くための筆。穂先が細く、扱いはなかなか難しい。

  • 筆さばきをマスター

    顔料の前に、まずは面相筆の扱いを確かめるために墨でその描き心地を体験。「線がプルプルする...」穂先が揺れないように、ちょっとしたコツがあります。

  • 文様を考える

    せっかくの機会なので、ここで日本の文様についてもご紹介。「知ってる!知ってる!」「市松模様だ!」ひとつひとつに名前や由来があり、縁起ものや幸せへの願いを込めたりして使われていたことがわかりました。

  • 絵付けのデザインを検討

    日本の伝統文様をうまく生かすか?それとも全てオリジナルで進めるか?予想以上に伝統文様をどこかに使いたいな〜という子が多くいました。試しに面相筆で描いてみると「おお!」「いけそう」

  • うごいた!

    首振りの赤べこ、起き上がりこぼしのタイプを選んだ子は、みんながデザイン制作をしている合間に細工をすすめました。形が完成したら、どちらもツンツン触れたくなる愛らしさ。

  • 絵の具をつくる

    描きたいものが決まったら、岩絵の具の準備へ。はじめての感触に「なにこれ不思議!」「ねっとりしてる」興味津々でいろいろな声があがりました。

  • 絵付けをしよう!

    絵の具も筆も普段使うものとは少し違って、みんなワクワク新鮮な様子。岩絵具は、普段使っている絵の具のように伸びてくれません。しっかりと「のせていく」のがコツです。

  • 一発勝負!

    下描きもなしに描いていくので、緊張気味。紙に描くのとは違って立体の凸凹した面に描くため、思い通りに描くのはかなり大変なはずですが...すごい集中力。

  • 「よし、上手にできた」

    器用な子が多いのか、面相筆の扱いのコツを早々につかんで、上手に描き進める子が多くいました。色や柄が入ると自分の想像が一気に具現化してうれしそう。

  • 大好きなキャラクター

    白いものってなんだろう…と考えてホワイトタイガーを作ったり、マンガのキャラクターを描いたり、映画のベイマックスを作ったり。現代っ子たちの「好き」がたっぷりの仕上がりになっていきました。

  • 新鮮な体験

    日本の画材や民芸の技法に触れることは、伝統文化を学ぶ貴重な機会になります。特に、子どもたちが実際に体験することで、その魅力を肌で感じ、新たな創造にもつながることを願っています。

さくひん

アートスクール・トルネード

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