2024.11 名画であそぶ

名画であそぶ①

アートの受け取り方は人それぞれ。
このプログラムでは、約180点の世界の名画を
現代の子どもたちの視点で、
感じるままに鑑賞することからスタートしました。

名画をぐるりと見渡すように鑑賞していくと
服装や身につけているもの、表情、ポーズ、
さらには室内の様子や風景など、
画家が生きた時代を象徴するヒントが、
さまざまな形で描かれていることがわかります。

「なぜだろう?」「どうしてこう描いたの?」
「きっとこんな感じかな…」
ひとつひとつをじっくり見ていくうちに
絵が“何か”をしゃべりだす!
主役も脇役も関係なく、
それぞれが生きた時代を旅するように
新たな発見や出会いを楽しみました。

プロセス

  • いろんな名画がある

    教室に来るといろんな名画がたくさん。「お、モナリザじゃん」「エッシャーだ」「風神雷神だ」以前別のプログラムで紹介した名画もあり、作家名や作品名を覚えている子がいました。今回は肖像画のほか、風景画や抽象画なども含め約80点ほどが登場しました。

  • 名画を素材として使う

    今回のプログラムでは、名画に登場するものをいろいろ組み合わせて遊びます。切ったり貼ったり、意味を変えたりいたずらしたり。「そんなことしていいの?!」きっと昔の画家さんたちも、みんなが一生懸命遊べばその制作をどーんと受け止めてくれるはず!

  • 名画を素材として使う

    普段は1枚ずつ絵をることが多いけど、ぜんぜんちがう時代に、別の国で描かれた人たちを組み合わせて考えてみると…色んなストーリーが絡み合いそうでおもしろい。こどもたちの手にかかると、自由な新しいドラマが生まれ、いろんな想像がムクムクと膨らんでいきそうです。

  • 名画の中の人が喋ったら…

    試しに「この絵の中の人、何か言ってそうじゃない?」と問いかけてみると、それぞれいろんな切り口からセリフを考えはじめました。こんなこと言ってそう、と誰かが発言する言葉に「え?」「ひどいー!」など教室に笑い声。みんなで1枚の同じ絵を見ても、それぞれに考えることがちがいました。

  • ぴったりなセリフを考えよう

    さらに好きな絵に自由にセリフをつける取り組みを進めていきました。この作品がどのような意味で描かれたのかを知らなくても、見ているうちにふと出てくる言葉があります。ミレーの落穂拾いにつけられた「つかれた。」のセリフ。たしかにそんな風に思ってるかもしれないですね!

  • 絵画の内容を知らなくても

    「いらっしゃいませ」とつけられたこちらの作品、みんなから「これは言ってるね」「うまい!」と大絶賛。実はこれ、ロートレックの『鏡の前の自画像』なのですが…先入観なしに見ていくと、確かにバーの店員さんに見えますね。いや、もはやそうとしか見えないくらいの説得力。

  • 現代に置き換えてみたら

    「何枚でも考えられる」とこどもたちの発想が広がる様子には驚きでした。ベラスケスが描いた豪華な宮殿の絵、ラス・メニーナスには何と「電気 高くて変えなかった...」のセリフ。時空を超えて、今のこどもたちの発想が組み込まれていくのがおもしろい。

  • たしかにそう見えてくる

    エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』の舞台が、サイゼリアになっている!ニヤニヤしながらセリフを書いたり、他の子のセリフを見て笑ったり。絵にぴったりのセリフが見つかると、もうそういうシーンとしか思えなくなるようなおもしろさがありました。

  • 名画の人物を解き放とう!

    ここからはさらに「名画の中の人を自由にしてみよう」と声をかけ、それぞれのキャラクターを、絵の中の役割から解き放つとどうなるか?を考えていきました。試しに、ムンクの『叫び』とボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』の花の妖精フローラを並べてみると?

  • 組み合わせると...

    「花の妖精が助けに来た!」「いやちがう、妖精に捕まりそうになってる?!」いろんな声があがりました。大きさを変えてみたり、並べ方の配置を変えてみると、さらにいろんな見え方に変わっていきました。他の絵の背景を置いてみると、まさにニューワールドの入り口!

  • 素材を探そう!

    どんな世界観になっていくかは次回以降。まずは気になる名画のキャラクターを切り抜いたり、背景として使ってみたい名画を選んだりしました。素材はあればあるほど組み合わせを試せるので、できるだけ多くカット。

  • 初めてのデザインカッター

    ハサミで切りにくいような細かな部分には、デザインカッターを使ってみました。初めて使う子がほとんどなので、まずは使い方や注意点を伝達。初めての道具にみんな興味津々。力加減が難しいのですが、曲線のカットにはとっても便利です。

  • ムンクが人気!?

    どのクラスでも「ムンクがほしい」「3倍の大きさでほしい」「たくさんほしい」とムンクの『叫び』が大人気。この感情が露わに表現された人物像には、こどもたちも惹きつけられるようです。いろんな場面のキーパーソン、または名脇役として登場しそう。

  • 注文お願いします!

    その時々でいろいろな組み合わせや場面設定を変えて試す子も多く、「この人を1/2サイズで欲しいです」「5cmくらいのうさぎが必要」こどもたちからは、けっこう明確にサイズ変更の希望がありました。一体どんな作品になるんでしょう?

  • すべてコラージュ!

    中には名画のパーツの意味も無視して、コラージュの素材として使っている子も。これも大胆ですごくおもしろい!元々の素材が名画の要素ということもあり、やはり色合いがきれいだったり、模様づくりの素材としてもすごく魅力的なものが多くありました。

  • 新しい名画が生まれそう?

    いくつか集めた素材を配置してみると「おお〜」「意外と合うね」「面白い!」お互いのアイディアを見せ合うのも、とても刺激的。それぞれの発想から新たな視点を得ることができました。なんだか新しい名画が誕生しそうで、次回の続きが楽しみ!

名画であそぶ②

ゴッホも、ムンクも、
レンブラントも、北斎も――
絵画から切り取られたディティールが、
子どもたちの「あそび」のパーツに大変身!

逆さにしたり、大きくしたり、
組み合わせたり、動かしたり。
気づけば、場面が変わり、時代も変わり、
感情も、関係も、いつの間にかキャラクターさえも
どんどん変化していきます。

ひとつの想像が次の発想を生み出し、
こどもたちの中にあたらしい世界が
次々と広がっていきました。

プロセス

  • 名画でどう遊ぶ?

    名画のパーツがいろいろ集まってきたところで、この回は「どう遊ぶ?」に注目。たとえば歌川国芳の『見かけハこハゐがとんだいゝ人だ』は、イタリアの奇才・アルチンボルドの果実や季節の植物でできた横顔と仕組みが一緒。絵と絵を組み合わせることで人体にできる例。

  • 絵に奥行きを与えてみる

    平らな絵に仕上げる以外にも、空間の中に配置することで動きがでてくる例。素材を箱の中などに立てて前後のちがいをつくると、一気に空間としての世界が広がり、関係性を変えやすくなったり、ストーリーも表現しやすくなります。

  • しかけをつくる

    さらに箱にちょっとしたしかけをつくり、キャラクターを棒で動かしたり糸で吊るしたり、磁石やゴムなどで工夫すれば…表現は無限大!自分がつくりたいストーリーに合わせて、どんな動きを作るか?発想や知恵の見せどころです。

  • ゲーム化しちゃう?

    こどもたちの中にはゲームが大好き!という子も少なくありません。いろんな名画のプレイヤーを登場させたり、オリジナルのルールを考えてボードゲーム、カードゲーム、対戦型やスポーツ系などなど、普段の遊びと組み合わせるアイディアもありかも。

  • 前回のと変えたい!

    このように冒頭で頭をシャッフルするような話をしたところ、想像していたことがさらに広がりを見せ始めた様子。みんなすごい勢いで制作を始めました。「前回のを使わないかもしれないけど、新しく切り抜き素材を作っていい!?」と言う子も。

  • 自分も名画に登場!

    作りたいものがだんだん決まってきた、でもたくさんの名画をくまなく探しても「イメージ通りのポーズが見つからない…」という子には、「自分でポーズとっちゃおう!」自ら作品の素材になり、名画の世界に突入するという新たな展開もみられました。

  • 自分で遊ぶ

    自分の写真と名画の組み合わせでは、何種類かの体のポーズを撮って名画の登場人物の頭部に合わせ、「これは合う!」「これは怖い!」などと楽しんでいた子も。着ている服が現代になるだけで、昔の絵に描かれた人たちも、途端に身近な人になってしまう。

  • グルーガンを使って

    最近よく制作に登場するグルーガン。いつの間にか使い方のバリエーションが広がっていて、接着のために使う以外にも、「うすく伸ばして透けるシート状の素材にする」「固まってないグルーから糸をくるくる引き出して巻き取る」など、素材としても人気でした。

  • これは「視線誘導」!?

    こちらの子は、さまざまな名画の中のキャラクターをひとつの場面に見事にまとめていました。その秘訣は「目の動線」。絵画の世界では、関係性をつくるために鑑賞者の視線を誘導する技術がよく使われていますが、それを自然としているなんて驚き。

  • 集中力がすごい!

    白と黒の鳥を同じ数ずつ切り抜いて、ゲームを作りたい! 細かい部分もカッターを上手に使っていました。今回はどうしても細かい作業が多くなりがちな制作なので、集中する時間が長く、達成感とともに最後はヘトヘトになっている子もいたほどです。

名画であそぶ③

新たな物語や派手なアクション、
ゲーム性やとっておきのジョークなど、
子どもたちは実にさまざまなアイディアで
作品を仕上げていきました。

小さな素材も見逃さず、
真剣なまなざしで名画の中を探しては、
「いいもの見つけた!」
「これ、使えるかも!」と
声を上げていました。

多彩な画家たちにインスパイアされ、
多角的な視点で作品に触れているうちに
子どもたちも思わず熱中するような
不思議な魅力がありました。
名画の力は、やっぱりすごい!

プロセス

  • 完成形をイメージして制作しよう

    いよいよ作品の完成に向けての制作が始まります。それぞれ使いたい名画、作りたい遊びの形がほぼ決まってきていて、みんなやる気満々。作品の中身についても、外側の仕上げについてもしっかり考えて進めていこうと声かけをしました。

  • 名画をパズルに

    みんな遊び方を考えるのがすごく得意!集めた素材をみながら、どんな仕組みがあると楽しめそうか?とあれこれ考えていました。こちらの子は、図形のような形からピンと閃いた様子で、ロシアの作家・マレーヴィチの抽象絵画の形をそのまま生かし、パズルに仕立てていました。

  • 半立体化する

    北斎の描く波の、大迫力!画面に奥行きをもたせると、一気に臨場感が高まります。俵屋宗達の「風神雷神」と組み合わせて、大波の中でバトルをする作品に仕上げていました。波間でうずくまる人たちの危機的な状況まで、見ている方がハラハラしてしまう!

  • 磁石を使って

    叫び声に耳を塞ぐムンクの作品を使ったこちらの子は、「ドカーン!!」と隕石がぶつかったシーンを作っていました。轟音と共に衝撃が伝わりそうなこの作品、隕石を動かすことができるように、磁石を使った仕組みを追加していました。

  • 背景はお好みで

    名画の中にいる楽器を演奏してる人を集めて、音楽隊を編成したこちらの作品。「旅するように、背景は変えられるようにしたい」とのことで、背面はあえてナシ!試しに教室の夜景と合わせてみると…あら素敵!優雅で楽しげな雰囲気です。

  • 「乗りまーす!」

    複数の名画の中から「勢いよく動くポーズ」を集め、現代の電車に駆け込む場面を作った子も。駅や電車もよく作り込まれているせいか、名画の登場人物たちが雑多な駅の空気感にうまく溶け込んでいて、思わずクスッと笑えます。

  • 波のシズル感

    グルーガンはこの仕上げの回でも、いろいろな使われ方で活用されていました。こちらの子は、迫力のある波にリアリティを加えるため、透明のグルーで水の質感を加えていました。ツヤツヤの質感で、ゆらゆら動く波の音が聞こえてきそう。

  • 白黒を活かして

    こちらはエッシャーの白黒の世界観を生かしたボードゲーム。騙し絵のように1枚の絵に組み合わされていた鳥をひとつひとつ細かく切り抜いてバラバラにし、白と黒に別れた対戦ゲームを作っていました。時間内に相手の陣地へ多く鳥を飛ばした方が勝ち!

  • 名画釣り

    こちらの子は、名画で釣り遊び。パズル状になった名画を釣竿で釣りあげていくと、下から別の名画がどんどん出てくるというレイヤー構造になっていました。釣っても釣っても楽しめる!しかも釣竿には、ムンクの顔が仕掛けられていましたよ。

  • 額縁をつける

    おおよその形や仕掛けができた子から、それぞれの作品に合う額縁を作りました。スチロール素材を凹ませたり、グルーガンで盛り上げたりしてデコレーションの工夫をしていました。金の絵具で仕上げるとゴージャスな仕上がりに。作品全体の印象がグッと引き締まる!

  • 遊び方の説明書

    完成後はそれぞれ、作品のタイトルやポイントのほか、どう遊べるかの解説ボードを書いて教室に展示しました。ずらりと並べてみると、それぞれがつくった新しい世界観や、遊びの工夫がたっぷり詰まった作品群に、こどもたちはもちろん、大人も大いに楽しみました。

さくひん

アートスクール・トルネード

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