紙は水で湿らせると膨張し、乾くと元のサイズに収縮するという性質があるため、水分が多い画材(水彩絵の具や墨など)で紙に絵を描くとき画面が波打ち描きにくくなることがあります。この週は「水張り」という方法で木製パネルに紙をしっかりと固定し描きやすい描画面をつくる下準備を体験しました。
水彩紙に刷毛で水をたっぷり含ませ、紙の繊維を伸ばします。繊維が伸びきっている状態で、平らなパネルの上に専用のテープで4辺をしっかり固定させます。ここは一人ではむずかしいため二人組で作業を進めました。
あとは紙から水分が蒸発していくのを待つだけ。水が抜けると紙の繊維の間が再びぎゅっと詰まります。うまくいくと、水彩紙がまるで太鼓の皮のようなピンと張った表面に!
ラボはカッターナイフで鉛筆を削ります。カッターは動かさずに、鉛筆を持つ手を前後にスライドさせ、角度をくるくる回して...うーん、新しくラボになった中1のみんなは慣れるまでむずかしいはず。先輩たちの鉛筆のきれいさを参考に練習しました。
本製作は鉛筆とダーマトグラフを使って布の表現に挑戦。はじめにレオナルド・ダ・ヴィンチの布の習作を観察しました。柔らかさ、布の滑らかさまで感じられるのはどうしてだろう?いろんなグレーを使って白い布を表現しています。
布の柔らかさを表現するため、あえて色つきの紙に描いていくことに。地の色によって、少しずつ製作の内容が変わってきます。経験がある人ほど、色選びであれこれ考えて迷いそうですね。
鉛筆で暗めのトーンの部分をざっくりとらえていきます。徐々に明暗を観察しながら差をつけていきました。
明るい部分、ハイライトはダーマトグラフで白をのせて描きます。強さや鉛筆の色味との重ね方を工夫しながらふんわりとした布の表現を目指しました。
今週と来週でB2サイズの大きな絵画制作を実施します。ダーマトグラフ(白い色鉛筆)と鉛筆の割合を探り、どんな方法でトーンを作っていくか研究しました。
モチーフは「白いYシャツ」。新中1の子たちはメリハリをつけて描くポイントになる濃色のネクタイ付き。中2〜高2のみんなはネクタイなしで白いシャツをしっかり表現します。
モチーフが引き立つ色、また自分が描き込みしやすい画材が目立つ色も合わせてイメージして、アクリル絵の具をブレンドして作りました。
作った絵の具を、前回水張りしたB2サイズの画用紙の全面に塗りました。水張りしてあるので画用紙のデコボコが最小限に押さえられ、スムーズに塗ることができました。
制作のコツを掴んでいる上の学年の子の中には、わざと地塗りで色ムラを作っておき、モチーフの明暗を描き込む時の表現として利用する子もいます。これで作品のベース作りは完了。乾いたら描きこみをはじめます。
Yシャツをスケッチしました。大きな紙にバランスよくモチーフを納められるように、なんども線をひいては修正を重ね、あたりのコツをつかみます。
画用紙が乾いたら下描きをはじめました。地塗りした紙は表面が丈夫になって、描いた線を消すのもスムーズです。来週に描き込みしやすくなるよう全体に手を入れていきました。じっくり描き込むのが楽しみ!
前回地塗りしてあたりを描いたパネルに、Yシャツ全体の影の部分を鉛筆で描き込みました。背景色が暗めの子は、逆に白いダーマトグラフで明るい部分を描き込んでいきました。
暗い部分から明るい部分、トーンの幅を広げていきました。新ラボの子が「どうしてそんな風にかけるの?」と先輩たちの制作を見てびっくり。制作経験を積むほど、なめらかに使えるようになります。
特に光があたって白く見える部分にダーマトグラフをしっかりのせると、ぐっと作品に存在感が増しました。「わ、おもしろい」「そういうことか!」
Yシャツの布の質感、ボタンや袖の切り返し部分などの細かな部分も仕上げます。最初は扱い方を模索していたダーマトグラフ、「コツがわかったかも」という声がちらほらありました。
絵画制作が完了した後、水張りしていた木製パネルと作品(画用紙)を切り離しました。切り離した後も、作品は平らできれいな状態に仕上がり、パネルは何度も再利用できます。