先生が作ったイヤーマフを紹介すると「え!作ったの?!」どのクラスもみんなびっくり。12月は羊毛を使って編んだり塗ったり絡めたりしながら作品づくりをしていきます。
羊の毛にはキューティクルがいっぱい。ぬるま湯と石鹸でこの細かなキューティクルを開き、よく絡め合わせることで毛と毛がくっつき縮み、しっかりした布ができあがります。よく目にするフェルトシートもこのように作られているので、他の布のような細い糸を織ったり編んだりしてつくられた生地とは、全く違うものなんですね。この作り方を発見した昔の人、すごい!
さっそく羊毛のフェルト化に挑戦。よく絡み合うためには繊維の流れが大事なので、はじめにていねいに羊毛をほぐしていきます。色によって少し柔らかさが違うので扱いには細心の注意が必要です。
繊維がたて、よこ、ななめに交差するよう薄い層にしながら重ねていきます。厚いところと薄いところの差があるとあとでダマになりやすいので、よく見ながら進めます。
石鹸を溶かしたぬるま湯を少しかけて、そっと手で押しながらふわふわの羊毛を落ち着かせていきます。丸い型を置いたらひっくり返して裏も同じように...途中で「どこまで進んだっけ?」など混乱しないよう、集中して!
できる限りやさしく表面をこすり、毛と毛をからませていきます。細かなキューティクルを絡ませ合うため、強すぎるとダメですよ。ここはあせらず粘り強くいきましょう。
きれいにできるとまるでおせんべいやおもちのような、つるりんとした仕上がりに。手のひらですっぽり包み込んでいるうちに愛着もわいてきます。
左右の耳分が必要なので、同じ工程をもう一度繰り返し。2回目は手際もよく、コツも掴めていますね。石鹸を洗い流し、脱水をしたら来週まで自然乾燥させます。続きが楽しみ!
前回の制作から楽しみすぎて、早く制作したい!という子が授業前からそわそわと...羊毛を絡めてフェルトにした次は、毛糸を編んで頭の部分をつなげる軸のカバーをつくります。
リリアン編みをするために、まずは編み機の制作から。といっても紙筒とクリップを利用したかんたんなセットなので、おうちでも作れそうなものです。好きな方はぜひ作ってみてください。
北国のこどもたちにとっては、耳あてもファッションの一部!? どの色の毛糸にするかの糸選びからものすごいこだわりよう。「似合うかな?」「どっちがいいと思う?」
編み物が得意な子も不得意な子もいますから、はじめの糸かけのぐるり1周がどのくらい混乱するかなと思っていましたが、みんな集中力があり割とすんなりクリア。そして2周目以降からは教室内が急にザワザワと...「やったことある!」と思い出す子もいれば「ヘルプミー!」の手をあげる子も。
適度な力でリズミカルにすいすい編んでいけるといいのですが、鉛筆の筆圧と一緒でどうしても力が入ってしまい、糸をきつい状態で編んでしまう子も。また黙々と静かに没頭する子もいれば、おしゃべりしながらでも手はしっかりと動くというタイプもいて、さまざまな取り組みのスタイルでした。
うっかり編み目がひとつでも抜けてしまうとさあ大変。原因のところまで毛糸をほどいて戻って編み直しという、編み物ならではの試練がありえます。助けて〜という子もいましたが、中にはとても冷静に自ら編み目を数え、編み直すことができるというツワモノも。ある男の子は「お母さんがいつも編み物しているのを見てる」とのことで、淡々と取り組むことに慣れている様子。(尊敬!)
ある程度の長さができたら、軸に使うカチューシャを通してヘッド部分を仕上げていきます。うれしすぎて小躍りする子もいれば、編むのが大変すぎるので「カラフルな毛糸をぐるぐる巻きつける」という決断をする子も。それぞれの方法で、次回仕上げをしていきましょう。
初回に作ったふたつの丸いおせんべいのような耳あて部分。そして前回つくった頭のつなぎのパーツ。それぞれの状態を確認して仕上げの工程へと入っていきます。
耳あての中に入れる芯の素材に、カチューシャのパーツを固定していきます。毛糸専用の針を使って、外れないようにぐるぐる、ぐるぐる。しっかりと縫い付けていきました。
ふたつの丸い耳あて部分に穴を開け、中に芯を入れて穴を閉じる作業。ここは毛糸針で縫うのではなく、羊毛用のニードルで穴を塞ぎます。針先に小さな切り込みが入っている特殊なものです。
このニードルをたくさん刺していくことでふわふわの羊毛の繊維が絡み合い、密度の高い、固い繊維のかたまりになっていきます(フェルト化)。羊毛フェルトのニードルは、とがっている針先部分よりもこの切り込みが重要なので、針先だけではなく深く差し込むことを繰り返すのがポイント。
全てのパーツがはずれないようしっかりとつながったら、まずは形の完成!早くも実際にかぶってみて「あったかい」とうれしそう。
形が完成した人から、毛糸や羊毛を使って好みの模様や絵を描き始めました。はっきりとした線を描くには毛糸を、色面やぼんやりとした形には羊毛を使い分けて。
動物の絵を描いたり、シンプルな幾何学形の模様を作ったり、それぞれの好みが反映されたイヤーマフ。これはうれしいぞ!持ち帰りするのがとても楽しみな様子。