みんなの耳を事前に撮影しておきました。耳の部分だけを抽出して、プロジェクターで見せてみると…「耳だけだとちょっと…」「誰の耳かぜんぜんわかんない」耳は、いつもみているようでなかなかじっくり見ないところ。そんな耳が今月のテーマ!
モデルと書き手を交代しながらスケッチをしました。モデルになる子は少し高い台に座り、数分ずつ耳のモデルに。なかなかじっくり見られることのない耳。「ちょっとはずかしい」「自分の耳ってどんな形なんだろう?」見られる方も気になります。
描き手になる子は、モデルの片耳をまっすぐ見て、立ちながら描くスタイルで制作しました。まずはドローイングで、モデルごとの耳のちがいを記録します。3〜5分で1点ずつ、なるべくたくさんの耳を描いてみよう。
たくさんの耳をラフスケッチしたみんな。いかに違いがあるかよくわかった様子。次は3名〜4名のチームを組んでセッティング。3名分の耳を、順番にじっくりスケッチした。ラフスケッチよりも1枚ずつに時間をかけ、奥行き感や形態をしっかりと捉えました。
耳だけを描いていると、なにか抽象的なものを描いているような不思議な感覚に。凸凹も描きごたえがあります。みんな1名ずつ丁寧に描写していました。
「ほんと、耳のかたちがぜんぜんちがった」「耳をこんなにたくさん一度にみたことない!」描いている間、ちらほらと耳に関するエピソードも登場しました。「僕の耳、穴があいてるんですよ!自分では見えないけど」「先生の耳はなんかかわいい形」、みんなそれぞれいろんな発見がありました。
この回から、耳を立体で表現する彫刻制作がはじまります。素材にするのはパラフィン(ロウ)。パラフィンを流し込む型は、プラスチックの板と油粘土で作りました。実物大の耳サイズの作品になるように調整しています。
それぞれ好きな色をとかしたパラフィンを作り、ゆせんで溶かして型に流し込みました。本物の耳そっくりの色にしたり、ポップなカラー、モノトーン風など様々な色を選んでいました。久しぶりの工作で、なんだかうきうき楽しそうな子がちらほら。
流しこんだパラフィンを保冷剤で冷やし、熱を冷まして固めます。まだ完全に固くなる前に荒削りをするので、じんわりあったかい程度になるまで様子を観察しながら進めました。
あたたかく、まだほんの少しやわらかさがあるうちに、特に奥が深いところを荒削りしておきます。めうちと、金属製の小さいヘラを使って耳の奥行きの部分を掘り進め、奥行きを出しました。
ひとつ目の制作で作るポイントを押さえたら、各自でのこり2個の耳の制作も進めていきました。さすがラボ、自分のペースで落ち着いて制作を進めていました。
つくる耳それぞれのちがいを観察しながら、来週に3点とも完成するようバランスよく作業を進めました。教室中が耳だらけ!? 不思議な雰囲気の中での制作。パラフィン彫刻の感触が新鮮だったのか、みんな黙々と楽しんでいました。
3点の耳の作品は、さいごに木箱に納めて完成させます。天然素材のためかなり歪みのある木箱を、まずはまっすぐに整えるため、天板と箱底にボンドを均一に塗り、板を貼りました。クランプで加重をかけ続け、しっかり固定しておきます。
糸のこをつかって、耳のまわりの大きな形を切り落としました。パラフィンは割れやすい素材なので、細心の注意をしながら。木材と違い、力をそれほど加えなくても造形できるので、さくさく進んで気持ちがいい様子。
クランプで固定していた木箱の様子を確認。アクリル絵の具でペイントをして各自の作品箱に仕上げました。それぞれの耳の色が引き立つよう、箱の色は無彩色「白・黒、グレー」の中から自分でセレクトしました。
彫れば彫るほど「まだまだ彫って良いかも?耳の穴ってかなり深い」。終わりが見えない!小さな作品ですが作りごたえ満点でした。みんな最後の最後まで手が止まりません。
仕上げに、ドライヤーで熱を加えて少しだけ溶かし、表面の滑らかさを出しました。「なんか急に耳っぽくなった!」「リアル!」「ひえー」ちょっとみんなのテンションもアップ。一気に仕上げモードに。
箱の中に画鋲を仕込み、その上に耳作品を差し込む形で固定しました。耳が箱に収まると「なんかドキッとする作品」「存在感がすごい…」小さいけどインパクトのある作品になりました。