レポート

はせがわさん

2018.02

 

水墨画の最高傑作のひとつとしても知られている長谷川等伯の『松林図屏風』。屏風の中に、霧がかった昔ながらの日本の景色が広がり、しっとりとした空気まで伝わってくる作品です。この絵がおもしろいのは、実際に描かれているのは松の木や竹だけで、霧や空気はどこにも描かれていないということ。まるでマジックのようなこの余白の技法を体験するため、和紙と墨で模写をしてみることに。

長谷川等伯 『松林図屏風』
長谷川等伯は安土桃山時代に活躍した絵師。この絵は、中に入っていけるような奥行を感じる表現が特徴です。誰のために描かれたのかなどもはっきりしておらず、使われている用紙も、作品としてはざっくりとした練習用のような紙とのこと。謎の多い絵とも言われています。現在は国宝となり、京都の国立博物館に収蔵されています。

幅1.5mほどの画面に、霧の風景を慎重に描写。描き進めていくと、はじめは気づかなかったごく薄い墨で描かれた部分までじわじわと見えてきました。薄墨でとても繊細な表現が隠されている。

白から黒までモノトーンの色の違いを、1枚の絵の中でこんなに使い分けているとは!自分の手を動かして実際に体験しないと、なかなか気が付かないところです。

こちらは等伯が描いたもの。

こちらはラボの生徒が描いたもの。

「描き込むこと」から「描かずに残すこと」にみんなの意識をスライドしていくと、何も描いていないはずの余白に少しずつ霧の気配が感じられるようになっていきました。

描かずに表現するって、うーん…むずかしい!でもすごくおもしろいテーマで、その分手応えも大きかったようです。墨と和紙の組み合わせも新鮮で、雰囲気のある作品になりました。