レポート

カテゴリー: ラボ

カントリー

2018.07

▶ロードアートカントリーのイラストは、出口先生がアクリル絵の具で描いたもの。この絵を大きなポスターにして、キッズ・ジュニア・ラボの授業で絵画作品のベースとして使いました。4歳から17歳のこどもたちのバリエーション豊かな作品が誕生!

 

【キッズコース】
ベースのポスターに、それぞれカントリーに登場してほしい動物、人々、植物、くだものなどをクレヨンやペンを使ってひとつずつ描き加えていきました。

住んでみたいカントリーを想像しながら、「くまさん!」「りんごもほしい」「山の上におうちがあるといいな」「おはなばたけもいいなあ」…

クレヨンが鮮やかに映えるようにしっかり強めに色を塗るのがポイント。

 

【ジュニアコース】

田植えをする人、散歩している人、ピクニックをしている人……カントリーの絵の中の人びとはどんなことをしているポーズが似合うかな?

カントリーの絵の制作前に、北斎の『雀踊り図』という作品を模写して、ポーズ描写のトレーニングをしました。踊っている活動的なポーズをひたすら描く!それにしてもこんなに上手に、躍動的な表現ができる北斎はすごい。漫画が大好きなこどもたちも多く、「ひえ〜たいへん」と言いつつ、リスペクトをもって制作。

その後のポスター制作では、活き活きとした人々がたくさん登場しました。おうちに帰ってからも制作の勢いが止まらず!?いろんなポーズの絵を描いてた子もいるようです。

 

【アートラボ】
時間・季節・空気感を、アクリル絵の具の色・タッチで表現しました。構図は変わらなくても、全体感のつくり方で絵の雰囲気はいかようにも変化する。あらためて表現の面白さを感じる制作でした。

ふわふわとした雪の質感や、夕日を浴びた時のあのあたたかさなどが感じられるよう。それぞれの作品が絵本の1ページみたい!季節感のある作品をピックアップしムービーにまとめてみました。静かに移り変わる風景はカントリーのムード満点です。

しみじみ

2018.05

古びたものの質感にチャレンジするプログラム。
使い込まれたもの、時間が経ったものは、新品にはない質感があります。

1週目に、ジャケットの風合いの表現にチャレンジしました。古着の質感をペインティングナイフや筆で描いてみます。絵の具の使い方ひとつで、革っぽい質感にみえたり、ごわごわした綿の布風になったり、薄手のやわらかな布のような風合いになったり、いろんな見え方に変化しておもしろい。

 

次に、2週を使って1枚の絵画を制作しました。モチーフは、誰かがかつて使用していたであろう、古びてかなり年季が入った工具たち。いろんな種類があり、各自好きなものをいくつかセレクトしました。

鉄・木などの素材によっても、いろんな『古び』のちがいがあります。これをいろんな方法で実験的に探りながら表現していきました。鉛筆で下書きをしたら、あとはアクリル絵の具を使って、手数を重ねます。

絵の具を盛る。乾いてからけずってみる、やすってみる。重ねる、混ぜる、表面に傷をつけてみる、など。筆のほかにも、ペインティングナイフを使いこなせるようになってくるといろんな表現ができるようになります。

アクリル絵の具をたっぷり載せて使うことと、それを削ったりやすりをかけたり、鉛筆のように取ってしまうという足し引きの制作がいつもと違うアプローチで、気持ちよかったようです。

シュプール

2018.02


長谷川等伯の『松林図屏風』の模写に続き、描かずに表現する制作第二弾。この週は北海道のこどもたちにはなじみ深い、冬のスキー場がテーマです。リフトの上から撮影した映像を大きなスクリーンに映しながら、風景画の制作をしました。

真っ白い斜面にたくさんのスキーヤーやボーダーが点在している様子は、改めてよく見てみるとなかなかおもしろい。遠くの人がミニチュアに見えたり、着ているウェアもカラフルで、なんだかコミカルな感じ!

スキー好きな人も多いらしく、映像がはじまると「滑りたいなあ」「スノボやってみたいな」「ここのスキー場知ってる!」ひんやりと気持ちの良い雪山ならではの空気を思い出しながら見ていきました。

さて制作は、構図について考えるところから。正方形のキャンバスに、どのシーンを切り取って描くかじっくり慎重に検討していきました。

構図が決まったら、さっそく絵の具で描き込み。斜面で動いている人、たくさんの木、ライトのポールなど、雪の白以外のものをとにかく細かく描写していきます。

小さな筆を使ってちまちまと緻密に描写していくのが新鮮なのか、みんなの手が止まらない!

ミニチュアみたいに見える遠くのスキーヤーを描き込むことで空間に奥行きが出てきたり、雪上にできている影を描き込んでみると、ゲレンデにふわっと光が指しているように見えてきたり。雪のひんやりとした感覚まで想像してしまう!冬の雪山にいる時の感覚が呼び起こされるような作品になりました。

 

 

はせがわさん

2018.02

 

水墨画の最高傑作のひとつとしても知られている長谷川等伯の『松林図屏風』。屏風の中に、霧がかった昔ながらの日本の景色が広がり、しっとりとした空気まで伝わってくる作品です。この絵がおもしろいのは、実際に描かれているのは松の木や竹だけで、霧や空気はどこにも描かれていないということ。まるでマジックのようなこの余白の技法を体験するため、和紙と墨で模写をしてみることに。

長谷川等伯 『松林図屏風』
長谷川等伯は安土桃山時代に活躍した絵師。この絵は、中に入っていけるような奥行を感じる表現が特徴です。誰のために描かれたのかなどもはっきりしておらず、使われている用紙も、作品としてはざっくりとした練習用のような紙とのこと。謎の多い絵とも言われています。現在は国宝となり、京都の国立博物館に収蔵されています。

幅1.5mほどの画面に、霧の風景を慎重に描写。描き進めていくと、はじめは気づかなかったごく薄い墨で描かれた部分までじわじわと見えてきました。薄墨でとても繊細な表現が隠されている。

白から黒までモノトーンの色の違いを、1枚の絵の中でこんなに使い分けているとは!自分の手を動かして実際に体験しないと、なかなか気が付かないところです。

こちらは等伯が描いたもの。

こちらはラボの生徒が描いたもの。

「描き込むこと」から「描かずに残すこと」にみんなの意識をスライドしていくと、何も描いていないはずの余白に少しずつ霧の気配が感じられるようになっていきました。

描かずに表現するって、うーん…むずかしい!でもすごくおもしろいテーマで、その分手応えも大きかったようです。墨と和紙の組み合わせも新鮮で、雰囲気のある作品になりました。

 

表現サンプル

2018.01

「キャンバスにはアクリル絵の具」「画用紙には鉛筆」「原稿用紙にはつけペン?」描画のフォーマットはいろいろあるけれど、そこから概念をくずしてみようというプログラム。現代美術家ロバート・ライマンの仕事を紹介しました。

「何を」描いたかという目線で見ると、ライマンの作品はなんだか同じ形の真っ白な絵ばかり!? でも「どうやって」描いたかを見ると……絵の具の塗り方や使う道具の違いによる表面処理の違いが見えてくる。ライマンにならい、様々な素材の中から支持体/画材をセレクトし、絵の表面を実験的に探りながら制作しました。

この作業には2週をかけて、自分なりにしっくりくる表現を見つけられるよう試行錯誤。やればやるほど表現の多様さを感じて、さらに踏み込みたくなるような制作でした。

表現サンプルの制作を経て、最後の週の制作テーマは「はくさい」。画材・道具やベースになる支持体、絵画を構成するすべての材料を一から自分で決めました。選んだ道具や技法の面白さを生かしながら、白菜らしいチリチリした葉っぱ、茎の質感など、特徴をきちんと表現できているところは、さすがラボ!

静寂のひかり

2017.12

 

教室は明るいままに、暗闇の中の炎をイメージしながらデッサンしました。これはなかなかの難易度!黒い画面からスタートしたことで「影を足していく」のではなく「光を置いていく」という取り組みが新鮮でしたね。

まる・さんかく・しかく

2017.12

12月1週目のプログラムでは、大塚いちおさんの絵本『かたちのえほん』をテーマに制作を実施。キッズコース・ジュニアコース・アートラボのこどもたちが、それぞれえらんだ「まる・さんかく・しかく」のものをデッサンしました。

キッズコースのこどもたちは、教室で「まる・さんかく・しかく」のもの探しでひと盛り上がり。自分の描きたいモチーフを選んだら、絵の具で一気に描き上げました。ものの印象をダイレクトにとらえた表現がいいね。影や光沢感まできちんと観察して描き込んだ子も。いちおさんの影響!?

ジュニアコースでは、コンセント、スイッチ、ドア、エレベーターのボタン等、教室の中の普段描かないようなものをモチーフにしていた子もいました。微妙な色味なども絵の具を調整して表現することで、ペインティング作品としてすごくかっこいい仕上がりに。絵の具の扱いがとても上手になってきたね。

アートラボの子たちが選んだモチーフは、好きな作家の本、乗り物好きな子はバス、ファッション系アイテム、フィルムカメラ……それぞれの気になるものや好みが強く出ていました。そのせいか、細部までこだわりのある作品に。「この時間内で描ききれるかな?」というものも、なんとか工夫して仕上げていました。

今回制作した作品は、いちおさんの絵本よりもひとまわり大きい、トルネード版『かたちのえほん』として3冊にまとめ、翌月の1月8日(月・祝)〜27日(土)に開催された『大塚いちお原画展○△□』の会場(場所:D&DEPARTMENT HOKKAIDOの2Fギャラリー)にて、いちおさんの作品と同じ空間に展示させていただきました。

訪れた人たちが、いちおさんの原画とともにこの絵本作品も楽しんでいたようです。展示後は、トルネードの教室でいつでも閲覧できるようにする予定なので、あらためて教室でもじっくりご覧ください。

ウェザー・リポート

2017.11

札幌、東京、ロンドン、ニューヨーク、アントワープ…。いろんな場所の、いろんな時間の空。TORNADOのスタッフが撮影した空の写真をベースに、「写っていないところ」を想像して描く授業をしました。

まずはスティーグリッツの空の写真や、ターナーやリヒターの空の絵画表現などを鑑賞。イメージをふくらませます。次にさまざまな青をつくる訓練。用意したプリントの青にできるだけ近い青を、絵の具を混ぜあわせてつくっていきます。目指す色をほぼ完璧にすんなりつくれる特殊能力(?)を持つ人もいれば、やればやるほど他の色になっていってしまい落ち込む人も…。

好きな空の写真を選んだら、マットに貼って、空を描き広げていきます。現実にあるものを描くのではなく、現実にあったものをもとに想像で描く。空や雲がゆっくりしみだして広がっていくように、少しずつ少しずつ描いている人が多かったのが印象的でした。

2週目は、それぞれの作品をさらに大きな紙に貼り、自分の空とだれかの空のあいだを描く授業。空と空とのあいだにある空間や時間を思いながら、色を変化させてつないでいく。

いったいどこの、いつの空を描いているんだろう? 不思議な深さにとけおちていくような制作でした。

EXPOSED

2017.11

 

写真家・杉本博司さんのシリーズ作品「TIME EXPOSED」を鉛筆で模写する制作を行いました。船・構造物などの現代文明の要素もなく、世界各国の空と水平線のみを写した作品は、シンプルなだけに見る人のイマジネーションをかきたてます。場所、天候、時間帯によっていろんなバリエーションがある作品から、それぞれお好みをチョイス。今回、1990年代に少部数出版された貴重な杉本さんの写真集をモチーフとして借りることができました。美術作品に間近に触れるとてもいい機会に。じっくり見た後に制作したこどもたちの作品からは、なんだか舞台の空気まで伝わりそうな質感がじわり。

 

存在

2017.10

身長約25cmの「自分像」の制作に挑戦。自分の癖や表情などをできるだけ思い出しながらの立体制作は、絵画の自画像制作とはまた一味ちがった発見がありました。仕上がった作品にはその人らしい雰囲気が出ていて、見ても見ても不思議と見飽きない。

教室にしばらく飾っておきましたが、キッズ・ジュニアのみんなはもちろん、宅配便のお兄さんまでびっくりするくらい、妙にリアルな存在感のある作品になりました。中高生の自分の姿をこんなふうに残せるのは、なんだか良いものですね。

みえないとこまで

2017.10

ピーテル・ブリューゲル、ルーベンス、ピカソ、ゴッホ、ムンク……好きな美術家の自画像をもとに、「美術家像」を立体で制作しました。絵で描かれている姿から、前〜横〜後ろまでぐるり全体を想像して制作。

現代の作家もいれば、何世紀も前の絵描きさんもいますから、細かなところまで作りこむのはなかなかむずかしい。特に、絵に描かれていない後ろ側の部分などは完全に想像で作るしかありません。でっぱりや凹みなどの形は強調して作ったり、色つけでは陰影や特徴的な色を強めに使う。さらに作家ごとの絵のタッチまで真似してみると……。それぞれのキャラクターがよく出た仕上がりに。おもちゃみたいでどこかユーモラスな作品がずらり並びました。

自画大絶賛

2017.09

9月のアートラボの授業は「自画像」がテーマでした。「自分で自分を描く」というのは、考えてみるとなかなか不思議な制作です。自画像は鏡が発明された13世紀頃からはじまり、いろんな時代、いろんな画家が描いてきました。自画像専門の大きな美術館が存在するほど、見応えのある名作ばかり! そんな世界の画家たちの自画像から、気になるものを選んで模写しました。

色づかいや構図が画家によってばらばらで、見るだけでもたのしい。描いてみるとさらに発見があるね。

制作後、みんなの作品を教室にしばらく飾ってみると、キッズやジュニアの子たちは「う、うまい!」「おんなじにみえる」、親御さんまで「すごい!」「おもしろーい」大盛り上がりでした。


クレヨンで描いたゴッホ(1889年の自画像)。ゴッホの油絵の具の色の強さ、タッチがよく出てる。


黒い絵で有名なゴヤ(1815年頃の自画像)。この黒い背景もすべて、透明水彩で何度も塗り込むように着彩しています。雰囲気たっぷり。


ブリューゲル(父)。1525年頃の肖像画をサインペンで模写!キッズやジュニアの子たちに「本物?」「え、描いたの?」と驚かれていました。古い紙の黄ばみの質感など、絵ではないところにもこだわったのがポイントかな?


作品『叫び』で有名なムンク(1895年の自画像)。タッチや色づかいが雰囲気ある!パステルを使い、下からあたる光の感じも工夫しています。

 

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