6月のキッズコースは、こどもたちがはじめて知るであろう、現代アーティストのダミアン・ハーストのアートを参考にした制作を実施します。まずは作品を見てみることに。
生物の身体そのものを素材にしたアートが最も有名です。「ざんこく」「なんで?」「きゃー」こどもたちの素直な反応です。世界中のアートシーンでも、同じく賛否両論が起こりました。
蝶々の羽根を使った万華鏡のような絵画シリーズもあります。「ほんものはだめでしょ」「かわいそう!」もっともです。でも見ていると…「きれい」「すごい!」少しずつちがう反応が。
もようの秘密を探るため、自分たちで万華鏡を手作りしました。ミラーに指紋をつけないように、糸1本分の隙間をあけて紙を貼って…など細やかな工程を、ひとつずつ進めてみんなでクリア!
できた形は三角形。のぞくと中の2枚のミラーが合わせ鏡になって、ぐるりと回転対象の模様に展開します。きれいな模様ができそうなところはどこかな?教室の中を探検しよう。
自分の手、友達の服・カバンの模様、本、画材などをのぞいては「ここいいね!」「見てみて!」大興奮のキッズたち。なんでもないものが、すごくきれいな模様に展開する発見でした。
ひとしきり万華鏡の制作を楽しんだ後は、来週以降の絵画制作のために大きな板をペイントする工程がありました。それぞれ使いたい色の絵の具をひとつ選びます。
大きな平筆で板を塗りました。なるべく平坦になるよう、筆で何度か表面を撫でて絵の具だまりをなくしました。板の厚みの部分までしっかり塗り広げて、今週の制作は完了!
前回つくった万華鏡、おうちでもいろんなものを見てきたこどもたちがたくさんいました。今回と次回のプログラムでは、この万華鏡とおなじ仕組みの「回転対称」の絵画づくりにチャレンジします。
大きさや色、形もそれぞれの、花や葉っぱを用意しました。この植物たちは、モチーフとして見て描くものではなく、そのものを素材にして、絵を描きます。「これが好き」「きれい」こどもたちそれぞれ、使ってみたい好花や葉っぱはどれかな?
今回作る絵には、同じ色・同じ形の素材が複数必要です。今回は「8個ずつ」をルールにして、素材づくりを進めました。香りに惹かれた子はいいにおいの葉っぱをチョイスししたり、爪より小さいお花まで上手にカットして素材を集めている子も!
立体的な植物の形を平らに残せる「押し花」は、絵画の素材にぴったり!大事に切り取った植物を、本にはさんで押し花にしました。たくさん作りたいけど、急いではこぶと風でとばされる!ゆっくり、慎重に、でもてきぱきと行動するこどもたち。
次は絵の下地づくり。絵のガイドを書くための型を作りました。必要な長さを数値で出すのはキッズたちには少しむずかしいですね。でも折り紙ならできる!角に合わせて折ると「等分」、2回折り畳むと「中心」が出ます。作る絵と同じくジャンボサイズの紙でチャレンジ!
「おりがみとくい!」「できるよ!」とあっという間に型が完成。すごい!前回色を塗っておいた板に折り紙の型を重ねて、しるしをつけました。特に小学生の子たちはひとつずつの工程が丁寧でした。
自分でつけた点と点を、長めの定規でしっかり線で結びました。この線が絵づくりの際のガイドとなります。学年関係なく、みんなていねいに、とても集中していたことに驚きました。
さらに「円」のガイドも加えました。普通のコンパスでは書けないくらいのおおきい円が必要なので、紙製テンプレートを用意。使い方を知ると「使ってみたい!」みんな一気にぐるりと描き上げました。「すごくきれいにかけた」来週の完成が楽しみになってきた様子です。
前回に押し花の素材をたくさん作ったこどもたち。約1週間、本にはさんでいた素材を取り出すと「ぺらぺらになってる!」「おもしろい」とても小さな花びら、大きめの葉っぱ、サイズ、色、形もさまざまな素材が揃いました。
押し花を自分の板に接着するために、ボンドと水を混ぜたのりをたっぷり用意しました。乾くと透明になるボンド。素材の上に塗ると、絵画のトップコート剤にもなって便利!フランス語で「デコパージュ」というコラージュ技法の方法で、たくさんの素材を貼りましょう!
板の真ん中から押し花を貼りはじめました。今回は「8個ずつ」が基本のルール。前回自分たちで引いた8本のガイドラインを手がかりに、どこから見てもぐるりと同じ方向になるよう規則ただしく。いきなりすごい集中力で、細やかな調整をしながら貼り始めたこどもたち。教室がしーん……張り詰めたような静けさになったクラスも。
「(花びらが)1個たりない!」「おなじはっぱでも大きさがちがうよ」こどもたちからの困った声。友達と似ているものを交換し合ったり、ちがう形を交互にならべてバランス調整したり。とても柔軟性をもったこどもたちの解決方法に、先生たちも本当にびっくり!じわじわと少しずつ絵の外側に向かってもようを広げます。
押し花素材を使った後に「まだまだ貼りたい」「素材がもっとほしい」というこどもたちのために、追加の素材として蝶々の紙素材も用意しました。「わあ!きれい」「ほんものみたい!」ここでさらに制作への意欲がアップ!
絵の中で、素材同士のすきまがだんだん詰まってくると…「なんかすごいかも!」ある時点から急に作品の雰囲気が変わりました。「もっと貼るともっとすごいにちがいない」こどもたちはわくわくしながらいろんな蝶々の素材を絵に追加していました。鮮やかな蝶々の色の組合せを考えるのも、とても面白い!
こどもたちが無我夢中になって素材を貼り進めていく中で、回転対称のもようのほかにも、左右対称、上下対象などのもようの展開が自然と生まれていました。また、小さい子はとにかく貼ること自体を楽しみ、とても長い時間制作に集中していたり。こどもたちそれぞれの方法でエネルギー満点の作品が完成しました。