1960年代に生まれたアート"ソフト・スカルプチャー(柔らかい彫刻)"をラボのみんなに紹介しました。形・質が変化しにくい石や銅などの安定した素材ではなく、ゴムや布など作品自体が変形・変質してしまう素材で作られたアート。質感や形自体が変わっていく様子、存在感を使った表現方法です。
ごつごつしていたり、ざらざらしていたり、ずっしり重たかったり。ラボのみんなが挑戦したモチーフは"石"。ハードな印象があるものをソフトな素材で形作ってみたとき、どんな感覚が起こるだろう?
本物の石ころをスケッチしました。一方向からだけでは分からない形を捉えるために、三面図のように正面・側面2ヶ所を観察しました。
本物の石を参考にしたり、頭の中にある「こんな石がいい」の形を目指しながら、紙で立体模型を作りました。最初の1面の形を作ったら、隣り合う面を次々作り、つなげながらの制作。
「ここをぼこっとへこませたい」「とんがらせたい」「宝石みたいな形にしたい」…石の形にこだわりをみせるみんな。目立つ凸凹を作って石の形の特徴を表現しました。起伏を大胆に表現するのがコツでした。
シンプル&抽象化のトレーニングのような制作でした。デッサンの時の「ざっくり捉える」表現を立体で実践している感覚がありました。面を作る作業量は実際とても多く大変そうでしたが「面白い」「なるほど」と楽しんでいる子も。それぞれ納得のいく形ができたようです。
前回、多面体の石の立体模型を作ったラボのみんな。模型を解体して型紙とし、布地を使った制作に取り組みました。
布地に型紙でひとつずつ形をなぞりました。さらに縫い代を作った上でカット。縫い代を作ったり、生地の端の折り加工など洋裁の要素も。
「なぞる型の表裏が逆だった」「これは何番目の形?」など混乱し焦る声も。パーツ数も多く制作どうぐもたくさん。机の上と手順を整理したり、型と素材をきっちり照らし合わせたり。ほとんどのピンチは自分で冷静にカバー!さすがラボ。
布パーツを作ったら、描写で石を表現しよう。お好みの石の色にペイント加工しました。
石全体の印象を作ってしまうため、まず全てのパーツに下地となる色を塗りました。パーツ数が多くてペイント時間が少なかった子は、絵の具と水で即席の染め液を作り、布を浸して一気に色をつける作戦に!
さらに上から色を重ねて質感をアップさせました。筆を叩くように置いたり、絵の具をこすりつけたり表現を研究・工夫しながら理想の石の肌を描きました。
布パーツに仕込んでおいた糊代(のりしろ)部分を、折って立ち上げました。絵の具がしっかり染み込んだ布は、ある程度パリッと張りが出て、折りやすくなっていました。
針と糸で縫う代わりに布用ボンドを使って組み立てました。1辺ずつ確実に接着していく地道な作業。焦らず、でも手際よく!
すんなり進む子もいれば、パーツの表裏さかさま問題がここで発覚し、パズル的に答えを探し出す迷宮作業に入り込む子も!?完成までもう一歩。
布は柔軟性があるためにゆがみが出やすい素材ですが、形のつじつまが合わない時には、自分なりにアレンジすることもできる。わたを入れる口を残して、袋状に仕立てました。
ペイントした石の肌が見えるように裏表を返し、わたをふんわり入れて、閉じたら完成。手塩にかけた作品の完成です。
硬いのかやわらかいのか?自分の中にある硬い石の印象と、目の前のふわふわやわらかい感触が混ざって、独特な存在感。その感覚を楽しんでみよう。親御さんたち、おとなの方から「欲しい…」の声もありましたよ。