機械工学を学び、自動車技師、製図工などの経験を経て彫刻家になったカルダー。天体・宇宙に強い関心がありました。針金や平らな金属板を使った抽象彫刻を数多く作りました。
現在はインテリアとしても人気の「モビール」。このモビールという言葉は、当時類を見ないカルダーの作品を名付けるために生まれました。なんだか有機的で不思議な形のしくみを理解するため、簡易的な素材でモビール試作にチャレンジ。
完成品の写真を見て、その通りにパーツを並べて接合しただけではパーツの角度があべこべに!重力が作品全体に影響していました。
モビールの一番下のパーツからひとつずつ。パーツ自身の重さ、連結部分の位置を微調整して、天秤のようにバランスを取ってつなげていきます。自分の手指の感覚を使ってそのものに近づける作業に、「これ、面白い!」
試作を踏まえて、これから本格的に模刻するモビールをセレクト。シンプルに色や形の好みで選んだり、または家のリビングや自分の部屋の天井から飾る場面をイメージして選んでいた子も。
作る大きさも自分たちで検討して、実寸サイズで模写をしました。次回の制作に使う図面にするため、縮尺を緻密に計算する子も!シンプルな形だからこそ、細部まで丁寧に模写していました。
前回制作した図面をトレースして、木の板でパーツ作りからスタート。曲線を切り出すために糸鋸を使って大小いろんな形をカットしました。数がたくさんあると、淡々と制作する体力・気力も必要!
なんとか切り出し、それぞれ気になる細部をやすりなどで削って整えました。細部の観察が得意なラボ、ここはハマる子も多いポイント。
木製パーツができたら、針金で金具を制作しました。針金は形を変えやすく自由度が高い反面、一度歪んでしまうと修正や調整が発生してしまう、一癖ある素材。パーツの自重で針金がたわむのを抑えるため、ステンレス製、鉄製の丈夫な針金を使いました。
カルダーのモビールに使われている針金の加工方法を、何度も試作しながら習得していったラボ。「かっ硬い…」「手の筋肉が!」力づくでなく、必要なところだけを確実に固定して加工するコツがわかると効率が上がります。
コツをつかんでとてもきれいなパーツが作れるようになった子も、分かりかけてきたところでパーツが制作途中になった子たちも。次回の制作で挽回しよう!
木と針金、短時間で異なる素材同士を接合するために、今回はグルーガンを使いました。針金には接着剤が染み込まないので、抜けたり剥がれたりしないように意識してグルーをつけます。
針金パーツ同士を連結するのには「C管」という小さな金具を使用しました。手先を使うとにかく細かい作業。シンプルな作業は意外とハマるのか、みんなもくもくと作業…
すべてのパーツがひとつになったら、ゆっくり吊り下げてみました。ゆらゆらとする動きがいい感じ!一気にモビールらしさが全開に。「おお〜!」「いいねえ」
吊るしながらのバランス調整作業。モビール全体の形は図面通りにできているので、バランスが取れていない箇所のパーツに石粉粘土を付け足し、重さで調整しました。
バランス調整しても全然成り立たない!? 一部ちがう組み立て方があることが判明。写真や図面を見直して「ここは連結じゃなく接着みたい」「そもそもパーツがちがう!?」いろんな修正パターンを検討し、それぞれの方法で解決していきました。
形づくり、バランス調整まででタイムアウトになってしまった子もいましたが…到達できた子は、しっかりペイントを施して雰囲気満点の完成度に。模写から模刻、実験的な作業なども混じえた複合的なプログラム、面白かったですね。