2021.8 かたまり

かたまり①

ごろんとした塊?
うすい紙のような素材?
自分はいま、どんな「形」を見ているのかな。

平らな紙の上に
厚み、奥行きをもったものを描く。
目でなでるように
まっすぐ形を辿るように表現してみよう。

プロセス

  • 平面上に立体を表現する

    浮世絵やマンガのように、輪郭線を主にした表現はみなさんおなじみですね。でも、この表現はかなり特殊!ものには「輪郭線」というものがありません。輪郭線を描くと特徴がはっきりするため便利なのですが、今回はその輪郭線では描けない部分「かたまり感(量感・マッス)」を捉えていく制作をしてみました。

  • まっすぐな線に慣れる

    久しぶりの鉛筆制作。描写する前に、直線を描く手慣らし的な作業から。人の身体は、意識しないとまっすぐな線を引くことができません。自分の体のどこを使っているか意識しながら何本も線を引いてみよう。

  • 直方体を描く

    はじめに「直方体」を想像で描きました。スタートは輪郭線で捉えて、それから輪郭線では描けない部分(面)も意識していきます。描写の違いによって、豆腐みたいなやわらかい物体に見えたり、硬い金属のようなものに見えたりするのが面白いところ。

  • 円筒形を描く

    次に「円筒形」のトイレットペーパーを観察しながら描きました。円形の面がふたつある形です。隠れた部分の形もしっかり捉えることができると、いわゆる奥行きを感じさせる表現につながります。

  • もののかたまり感を描く

    今回は色を使わず、ハッチング(線のあつまり・重ね)の効果で「かたまり感」を表現します。自分がどんな物を描いているのかを説明するように、線で流れを作ります。やはりデッサン経験を重ねた高学年のラボの子を中心に描写のコツを掴む子が多かったですね。

  • 少し複雑な形を描く

    シンプルな形を描いた後に、少し複雑な形のものをじっくり描きました。下絵を描いた後は、うすい紙1枚を上に重ねて、その上に「かたまり感」を表現する描写だけを重ねていきます。

  • かたまり感だけを残す

    ペンも使うと、よりくっきりと形態感が出てきました。複雑な形になったため、途中で「あれ?」「ここ、どう描いたらいいかわからない!」という声も。物は目の前にあるけど、それをどうやったら表現できる?どう描くと伝わるのか?それぞれ考えながら表現していました。

かたまり②

こどもたち同士、モデルと描き手になって
お互いをスケッチしました。

たくさん数を重ねていく中で、
見え方・捉え方がだんだんシンプルになる。
そのものがもつ特徴を捉えることで、
どんなモチーフでも描くことができます。

プロセス

  • 友達の頭部を描く

    2週かけた、クラスの友達をモデルにした制作です。ポイントなのは、「似顔絵」ではないこと。似ている、似ていないというよりも、その人のもつ凸凹感を捉えることを大事にした制作です。とはいえ、それができるようになると自然と似てくるのが面白いところ。

  • 1分間でスケッチ

    いきなり細部を仕上げていくのではなく、全体からものを捉えてみるトレーニングとして、頭部、目、鼻、口、耳の5点を1分間で描きこむ制作をしました。こどもたちは「モデルの緊張感がやばい」まずは描くよりもモデルになるほうが大変みたい!?

  • 1分から5分へ

    短時間で最小限のポイントを描けるようになったら、5分間ではもっと進んだ描き込みができます。目、鼻、口、耳、顎など、特徴的な凸凹を、それぞれ同じ目線で、偏りなく見てあげるのがポイント。

  • 特徴をとらえる

    短時間で何回も1からチャレンジすることは、自分の描いているものの確認にもなりました。消して直すよりも、制作の流れを止めずスムーズです。後から並べて見てみると「絵が変わってる!」と自分でも驚く子も。

  • いろんなモデルに挑戦

    席替えをしながらいろんな友達をモデルにスケッチ。同じパーツをもっていても、凸凹はまったくちがうことがわかります。毎回変わるモチーフの描写は面白い!教室ならではの制作です。

  • 一人をじっくり描く

    授業後半は、来週に仕上げるための下絵を描きました。一人のモデルを時間をかけて描き込みます。進めていくうちに、最初に決めたパーツの位置も、納得するまで修正しながら。少しずつ凸凹が伝わるような描き込みも進めていきました。

  • 下絵の完成

    プログラム終了後、「なんか体育の後みたい…」「おなかすいた!」と言っていた子もいたくらい、モデル&描き手の制作はハードだった!その分充実感は満点だったようです。来週はさらに描き込みを進めます。

かたまり③

まるで粘土のように
削り出したり付け足したり…

色の強弱をしっかり
使い分ける経験を重ねよう。

紙の中に手をのばせそうな
奥行きを感じながら描こう。

プロセス

  • 色面で描く

    今月の集大成の制作。目の前にある形、そのままの印象を平らな紙の上にどう表現する?アクリル絵の具(色)で捉えてみよう。

  • 手前に出てきた?

    形をポリゴン(多面体)化して、画面の中で使える色を限定してみると色のメリハリがつけやすい。この色の差が、立体感やかたまり感をうむことを体験しました。

  • 絵とモデルを見直す

    前回描いた作品と、モデルをあらためて観察しました。時間が空いた分、自分の絵を冷静に見直しすることができます。特に、中1の子たちの今月の表現の変わりようにはびっくりしました。

  • 部分的に調整する

    観察によって気がついたところを修正したり、まだ形になっていなかった部分を描き足したり。

  • 画材を選ぶ

    今回は、アクリル絵の具で仕上げるか、鉛筆で仕上げるか、どちらか選択をして描き込みを進めました。得意な画材で、アタックの強さをねらいます。

  • 色の差をつけて描く

    どちらの画材でも、色のメリハリを大事に。凸凹の描き込みには、みんなかなり意欲的な制作をしていました。ただ、距離をとって作品を見た時の印象がまだ薄い子もいるかな?時間をかけただけに惜しいところも!これから、よりディープな描写も重ねていこう。