2022.9 ピース

ピース①

大きな薪(たきぎ)を描きました。
「いったいどこからどう描くの?」と
目が迷いそうなモチーフ!
一度に全体を見るのではなく、
ごく一部だけを虫眼鏡のように
見てみよう。

見つけた色を、パズルのように
少しずつ紙の上に並べていくと…
触り心地、おもたさ、森のにおいまで
感じられそうな質感がたっぷりの作品に。

プロセス

  • 絵の具の水加減を確かめる

    水彩絵の具は水加減で透明・不透明が調整できる画材。このプログラムでは「色」がカギになるため、絵の具の発色を最大限発揮させる「不透明」で使えるようにコツをマスターするところからはじまりました。濃すぎてベトベトギトギトはNG、筆はこびがスムーズでなおかつ透けないように…

  • 茶色いろいろ

    ちょうどいい絵の具の水加減がマスターできたら、次はパレットの上に茶系の色をたくさん作ってみました。短時間で色のバリエーションを作ること、また先生からもらった色チップの通りに色を作ってみるチャレンジなどもびっくりするほど上手!この時点でなかなか高レベルな制作を見せていたこどもたち。

  • 薪を描こう

    なぜこんなに茶色を作ったのか…モチーフを見せたらみんな納得!? いろんな材質の薪が教室に登場しました。表面の色合いも色々なので、それぞれ自分なりに描いてみたいものを選んでセッティングしました。

  • どこから描く?

    木の肌は一番の描きどころなのですが、いろんな色がいっぱいでとにかく目が迷うのでいったん布で隠してしまいました。まずはスパッと切られた断面にのみ注目!

  • ぴったりの色を置く

    断面にある色とパレットに作った茶色を比べてみることで「この色はちょっとちがう」「この色はぴったりだからすぐ使える」色の違いに敏感になるこどもたち。そうすると断面の中にもちがう色が少しずつ見えてくる…

  • 見つけた色を置いていく

    この先はこどもたちそれぞれのペースで、見えてきた色をその都度自分で混色して作り、紙の上に置いていきました。薪全体の形をまったく気にせず、見えている色を見えたと思う位置においていくことで、やがてひとつの形が現れてくる。不思議な気持ちよさがある制作で、なんだかハマっているなという子がちらほら。

  • 細部を描き込む

    クレヨン・クレパスなど、絵の具の上にしっかりのる画材で細部も描き込んで仕上げました。久しぶりの絵画制作で、どっぷり知恵熱が出るくらい集中していたみんな。各クラスの何人かは、先生たちが止めなければ延々描いていたかも?と思えるような勢いを持つ子も…。ずっしりと存在感のある力作だらけ!

ピース②

"ピース"第二弾は「ベーコン」。
まずは形に注目し、その凸凹を
そっくりに再現してみよう。

形をじっくり見て描いたら
板材のカット、布の貼り込みまで
工程をしっかりこなして
存在感抜群のキャンバスができました。

プロセス

  • ベーコンを作ろう

    食べても美味しいベーコン。脂身から赤身の色の層がたくさんあり、その色も独特の形も、アートのモチーフとして魅力的!今回・次回のプログラムで"ベーコン"を作ります。

  • 目でなぞるように見る

    今回はベーコンの「形」に注目した制作。ベーコンの形をそっくりそのまま作り、ベーコン形のキャンバスを作ります。形を目で追うトレーニングを少し実施して、それぞれ好みのベーコンの起伏をひとつずつ目で追いかけながら描きました。

  • 形を描く

    下書きをせず、ペンでダイレクトに描くのはみんな緊張したようです。さらに今回ビッグサイズに挑戦したので、より丁寧に進めないと…とみんなぎゅっと集中して描きました。いい凸凹感のある形がたくさん。

  • 形を切る

    板材を、糸鋸で自分の描いたベーコンの形通りに切り出しました。ちょっとした出っぱりもきれいに切り出せると気持ちいい。刃を当てる角度や使う時の姿勢などもずいぶん上達した子が増えました。

  • 布を貼る

    カットがスムーズに終わり、板に布を貼り込んでキャンバス化させるところまで進みました。布をかぶせ、その上から下地の絵の具を広げて染み込ませ、布を貼り付けました。

  • 側面も仕上げる

    側面も布を貼り込みました。凸凹があるため布がつっぱりやすく「うまく貼り付かない!」と大変そうな場面も。素材の状態を見て、原因を解消しつつ進めてなんとか達成!

  • キャンバスの完成

    ビッグサイズのいろんなベーコン型のキャンバスができました。厚みもリアルでよい感じ!真っ白な状態だとなんだか新大陸みたいで不思議な存在感。次回のペイントも楽しみです。

ピース③

白いキャンバスの上に
たっぷりと絵の具をのせていく
ペインティング制作。

画面の上で、絵の具と絵の具が
混ざり合っていく感触を楽しみながら
ベーコンのもつ自然な色合いを
作り込んでいきました。
ふちまでしっかりおいしそう!

プロセス

  • 色作りを極める

    今回は"色"がポイントになる制作。ねらった色とまったく同じ色作りに挑戦。近い色はすぐに作ることができるこどもたちですが、"まったく同じ"を目指してみると…頭の中でいつもと違うセンサーが働き出した!?目を凝らしてもちがいが分からないほどの色を作った子が何人も!

  • ベーコンの色を作る

    本物のベーコンを見ながら色づくりスタート。いい色ができても、本物とくらべると「なんかちがう」と声があがりました。自然の色合いは1色ではなく複雑な組み合わせでできているので、まだまだ色数が足りないというだけ。まずはキャンバスにのせてみよう!

  • 明るい色を塗る

    ベーコンの脂身のような、明るめな色からたっぷりのせていきました。少し厚めに塗ることで絵の具の乾きが遅くなり、次の色と混ざりやすくなってキャンバス上で新しい色を生み出すことができるようになります。ペインティングの面白さのひとつです。

  • じんわりさせたい

    色と色の境目を筆で撫でると、じんわりと混ざってグラデーションになります。ベーコンの中にはそんな部分がいくつもありました。

  • くっきりさせたい

    脂身と赤身はメリハリのある関係。色合いは似ているけど明度にはっきりとした差があります。明るくしたい時は白、暗くしたい時は…?彩度が落ちやすい黒色だけは今回使わなかったので「いったい何色を混ぜたらいいの!?」というところから、色の配分を考えた混色のコツを手を動かしながら掴んでいきました。

  • ふちまでそっくりに

    ベーコンには厚みがあるので、キャンバスのふちもしっかりペイント。すごい!大きなベーコンを作った子ほど塗る部分が大きいので「間に合わなかったら大変…」と必死に頑張っていました。

  • 大きなベーコン完成

    大きな画面に色を重ねていく制作で、気力も体力もかなりギリギリ!?のこどもたちも。色が増えていくほど、ぐっとリアルな存在感が出てきて面白い作品になりましたね。「やっとできた!」達成感いっぱいでした。