絵は脳の錯覚を利用した「うそ」と言えます。六角形の形の中に色をつけただけで、まるで立方体があると感じてしまう!さらにその形に穴をあけたり、硬さや重たさまで表現できてしまう…うーん、不思議。ジュニアのみなさん、なかなかうそがお上手では?
イギリス出身の画家デイビッド・ホックニーさんをみんなに紹介しました。84歳になった今でも制作の勢いが止まらないすごい作家。PCやiPadでのアート制作も10年以上前から楽しんでいます。ポップで挑戦的なホックニーさんの作品はトルネードの先生たちも大好き!
今回ジュニアのみんなが描くのは、ホックニーさんのこの作品。「人、ぺらっぺら!」「いや、人なのかな」「イスは本物みたい」「カーテンもすごいよ」ざわざわ……違和感ありまくり!?
落書きのような人、丸っこい形にみえる花瓶。1枚の絵の中で、表現方法がまぜこぜに!絵画は写真のようにそっくりにもできるし、そうじゃなくてもいいし、混ぜちゃってもいい。ホックニーさんのテクニックと遊び心が満載です。
鮮やかな発色のサインペン、クレヨンやクレパス。こどもたちはそれぞれ、使い心地や塗った時の見え方を想像しながらつかう画材をセレクトしました。
触り心地が良さそうなカーテンの布を表現するには?ペンで塗った上にクレヨンで描き足す、指でクレヨンを伸ばして滑らかに…この部分だけでもいろんな描き方、工夫がありました。
コロンと球体であるかのように見える花瓶。一見「白っぽいな」と感じる(感じさせられている?)のですが、実際は白い部分がほとんどない…というのもポイントでした。
絵の隅にある、妙に存在感のあるイス。「なんだか遠くなっちゃった!」「かたむいた」「イスがういてる…」描いた絵への自分ツッコミがなかなかきびしく、つい笑ってしまいました。ホックニーさん、すごいなあ。絵の中の空間で遊ぶような感覚がとても面白い制作でした。
人の脳は目に見えていないものも見えているように感じさせることができるそう。「ビー玉」を知っている人は、この写真を見た時に見えてない部分も想像できますね。でも実際見えている形は丸が欠けた形。絵を描く時は「ほんとにこんなふうに見えてる?」と自分に聞いてみながらすすめてみよう。
ジュニアのみんなで紙の箱を描いてみました。直線でできた形です。形はゆがんでいても、線と線のつながりをよく見て描いている子、箱全体の形を理解しながら、バランスをとることができている子。こどもそれぞれの見方が表れました。
今回は、お皿に盛りつけたフルーツがモチーフです。おいしそう!色合いのちがい、形のちがいがあるフルーツをセレクトしました。ひとつずつの特徴を見つけて描いていこう。みんなでぐるりと囲んでみているので、同じモチーフでも見え方は一人ずつちがいます。
モチーフのひとつひとつは、色のかたまり。子どもたちはクレヨン・クレパスの色を紙の目がなくなるまで塗り込み、さらに重ねて複雑な色味を再現しました。特に大好物のフルーツはつかう色も一味ちがう!?
鮮やかな色彩のモチーフの中に、実はとても暗くて渋い色が混ざっていることも。陰影の色も形を表す描きどころになります。つやっと光るフルーツ、紙の少しのめくれ……ドキっとするくらい、リアル!
色がはみださないように少し気をつけてみたり、形のはじっこまでしっかり色をのせることで、もの同士の関係がよく分かります。自分が見えたものはこうだったんだよ、という声が聞こえるような力作になりました。